日英伊:次世代戦闘機共同開発〜英国の戦闘機・欧州の文化の中心・日の丸半導体の凋落〜|最先端科学技術

前回は「欧州のエネルギーと造船業界」の話でした。

目次

日英伊の技術協力

ステルス戦闘機F-117 Nighthawk(Wikipedia)

「日英伊で次世代戦闘機を共同開発」することが発表されました。

これは日本にとって非常に歓迎すべきニュースです。

事実上、米国の独占市場となっている最新の戦闘機の開発。

様々な「ステルス戦闘機」が発表されています。

「ステルス戦闘機」と聞いてイメージするのは、冒頭の写真です。

あの角張っていながら「優美で最新な雰囲気」を醸し出す「不思議なデザイン」でした。

第二次世界大戦においても、特に中期以降は米国の戦闘機の存在が非常に強かった歴史があります。

英国の戦闘機

英戦闘機 Spitfire(Wikipedia)

第二次世界大戦前期までは、英国とドイツは「バトル・オブ・ブリテン」で熾烈な空軍の戦争をしました。

英国のスピットファイアを軸とする大編隊に対し、

独戦闘機 Messerschmitt (Wikipedia)

ドイツ空軍はメッサーシュミットを軸とする大編隊を組んで、血みどろの戦争をしました。

英国空軍が押され気味でしたが、防空レーダーシステムの構築でドイツ空軍の猛攻を切り抜けました。

戦後、米国ばかり目立つものの、英国空軍の技術力・ノウハウの蓄積は多大なものです。

零戦(Wikipedia)

我が国ではお馴染みの零戦が、第二次世界大戦の初頭は米国を圧倒しました。

当時の零戦は非常に高性能であり、特に旋回性能などで、米国製戦闘機を上回っていたのです。

ところが、アリューシャン方面の海戦において、零戦は「ほぼ無傷」で米軍に捕獲され、研究され尽くされます。

その結果、米軍は「零戦の良い面・悪い面」を完全に把握します。

そして、様々な次世代戦闘機を猛烈な勢いで製作しました。

Grumman Hellcat F6F(Wikipedia)

グラマン・ロッキードなどの軍事会社が、米国の全てを結集して大量の優れた戦闘機を開発したのです。

欧州の文化の中心・イタリア

Ferrari 296GTB(Wikipedia)

第二次世界大戦以降は、少し影が薄いイタリア。

しかし、なんと言ってもフェラーリのイタリアです。

「欧州の文化の中心」であるイタリアの存在もまた、非常に頼もしいものです。

戦前までは、かなり高い性能を持っていた日本の戦闘機製作能力。

戦後は自衛隊となり、戦闘機などは米国から購入することが非常に多い状態となっています。

この中、「日英伊での共同開発」は大きな進歩であり、思い切って大きな成果を上げてほしい。

「外国」というと「まず米国」になっている日本。

それは、第二次世界大戦後、「米国に単独占領」された現実と日米安保などの影響が強いのでしょう。

歴史的には、日英は様々な関係を持っており、非常に歴史が長いです。

様々な駆け引きがあったものの、第二次世界大戦で敵対するまでは、比較的良好な関係を続けた日英。

この「戦闘機共同開発」をきっかけに、日英、そしてイタリアも含めた協調関係を進めて欲しい。

米国の半導体規制と日の丸半導体の凋落

左上から時計回りにJoe Biden米大統領、Narendra Modi印首相、Xi Jinping(習近平)中国家主席、岸田首相(Wikipedia)

米国の対中規制とも言える半導体規制。

それに対して、各国が米国に「自国への規制緩和」を要望している中、動きがありました。

米国は日蘭と提携して、半導体装置の対中規制強化する方針を明らかにしました。

日本の半導体シェア(経済産業省)

1980年代「半導体といえば日本」と言われるほど、圧倒的シェアを持っていた日本。

最も高いシェアの1988年では50.3%と、「半分以上が日本製」でした。

その後、バブル崩壊となり、あっという間にシェアを急落させました。

現在は、「10%を切るシェア」になりました。

これは、バブル崩壊による日本経済の大ダメージ・混乱が大きな要因ですが、もっと根深いところにありそうです。

なんと言っても、日本は科学者・技術者を軽視しすぎています。

「理系など、どうでも良い。文系(法学部)こそが中心」と言わんばかりの姿勢が日本です。

最近、「日の丸半導体再生」を掲げて、様々な動きがあります。

一方で、「ただ連合を組んで、国が後押し」して挽回する可能性は、ほとんどないでしょう。

国がすべきは「介入」のではなく、「しっかり投資して、若い有能な人物をリーダーに」するしかないでしょう。

その動きは、もはや日本では難しそうです。

「台湾TSMCの工場誘致」は、日台関係強化の意味では、非常に良いことです。

一方で、自国での半導体などの「最先端技術の振興」を進める必要があります。

それには、「提携」ではなく「何に注力するか」を明確にするべきです。

新地球紀行

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