前回は「日本人とノーベル賞〜米国と日本の科学者の社会的地位・真鍋淑郎〜」の話でした。
2008年ノーベル賞受賞者たち:益川敏英・小林誠・南部陽一郎・下村脩
亡くなってしまいましたが、2008年度にノーベル賞を受賞した益川敏英さん。
益川さんは、その気さくな人柄で、好感持てました。
この時、ノーベル物理学賞・化学賞合わせて4名の日本人が同時受賞し、日本中が沸きました。
益川敏英 博士は小林誠 博士と共に 素粒子論に関する「小林・益川理論」の高い評価を発表していました。
その「小林・益川理論」が高く評価され、ノーベル賞受賞に至った二人。
同時受賞した南部陽一郎 博士から、大きな影響を受けた益川敏英 博士。
ここでは、南部陽一郎博士を「日本人受賞者」としますが、実際には南部氏は米国籍なので「米国人」となります。
南部先生の論文に、
大変大きな感銘を受けた・・・
南部先生の論文を、
しゃぶりつくすように懸命に学んだ・・・
その南部先生と同時に受賞するとは、
大変光栄です・・・
実際の師匠ではないものの、自らの専門の「先達者」として南部氏を尊敬していた益川氏。
その「正直な思い」を素直に語る姿勢に、多くの日本人が感銘を受け、励まされました。
もう一人のノーベル賞受賞者は、生物学者 下村脩 博士。
「緑色蛍光タンパク質」を発見し、生命医学への多大な貢献が高い評価を受けました。
益川敏英の「ノーベル賞受賞者はもっと多くていい」という意見
バンザーイ!
と、子どものように無邪気に「ノーベル賞受賞」を喜んでいた益川氏。
その素直すぎるくらいの姿勢は、とても好感が持てました。
その時、
今年は、
日本人がたくさん受賞しました!
みたいな風潮のメディアに対して、仰った言葉が印象的でした。
本当は、
もっと多くていいと思う。
えっ?!
本当は、
日本はもっとノーベル賞受賞者が多くて良いはず!
もっと高い視点を
持つべきだ・・・
確かにそうなのです。
ノーベル賞は、そもそもヨーロッパ中心主義ではあります。
アジアである日本人は、
ヨーロッパやアメリカと比較して・・・
受賞に
到りにくいのが実情では?
という考えもあるでしょう。
科学立国日本へ再起する道のり:国別ノーベル賞受賞者数と人口
ノーベル賞はヨーロッパ中心主義かもしれませんが、やはりもう少し高みを目指しても良さそうです。
自然科学分野のノーベル賞受賞者は、国別では日本は7位です。
国名 | 受賞者数 |
米国 | 403 |
英国 | 137 |
ドイツ | 114 |
フランス | 72 |
スウェーデン | 33 |
ロシア:ソ連 | 32 |
日本 | 29 |
カナダ | 28 |
スイス | 27 |
オーストリア | 23 |
上の表では、国別の受賞者数の上位10カ国を掲載しています。
アジアでただ一つベスト10に入っている日本。
7位は「健闘」しています。
米国・英国・ドイツの3国とは、人数でだいぶ水を開けられていて、フランスよりも少ないです。
米国の人口は日本の3倍近くで、同国が世界のイノベーションの中心であることから、米国は別格です。
日本の人口は英国の約2倍、ドイツの約1.5倍で平均的教育水準が、同等程度でああります。
すると、益川氏の言っていることは、正に的を得ています。
かつて大英帝国であった、英国。
英国は、一時は現在の米国のような立場で世界の中心でした。
自ずと多くの斬新な研究成果が集まったのでしょうが、近年の受賞者数を比較しても、日本よりも多いです。
英国はラザフォードのような超有名人物もおり、層が厚いです。
人口が倍も違うのですから、もっと日本は多くの素晴らしい科学的発見や斬新な成果を出せそうです。
日本の持っているポテンシャルは、もっと大きいかもしれないでしょう。
イノベーションの「一つの指標」となる「ノーベル賞の受賞人数」。
この人数を、日本はもっと高みを望んで良いでしょう。
そして、日本の教育をもっと高めれば、実現できる可能性は大いにあるはずだと思います。
次回は上記リンクです。