欧州のエネルギーと造船業界〜浮体式LNG貯蔵再ガス化設備・日本と空母・中国・韓国の造船業界・日本造船業の凋落〜|最先端科学技術

前回は「インフレとエネルギー」の話でした。

目次

欧州のエネルギー対策

Scholz独首相(Wikipedia)

ロシアからのガスパイプラインを止められている欧州各国。

ロシアによるウクライナ侵攻開始から、積極的にエネルギー問題に取り組んできました。

欧州各国は、LNGガス設備を有する浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の確保を進めています。

エネルギーのロシア脱却を急ぎ、海上輸送によるエネルギー確保を目指して、大急ぎの欧州。

ところが、問題はこの浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)は、世界でわずか50台しかないことです。

LNG再ガス用の「戦艦」とも言われる浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)。

再ガスを貯蔵し、各国で配送する意味では「空母」とも言えます。

日本と空母

第二次世界大戦の日本空母 赤城(Wikipedia)

明治維新以降、異常なまでに急速なスピードで近代化を果たした日本。

江戸末期に、米国からペリーが来日し、砲艦で脅迫された時は、まともな軍艦をほとんど持っていませんでした。

Matthew Perry米提督(Wikipedia)

その後、海軍増強を急ぎ、日清・日露戦争では、大国である清国(中国)・ロシア相手に海戦で大勝利しました。

その後、第二次世界大戦の時期には、海軍力では世界第3位に上り詰めた日本。

山本五十六 連合艦隊司令長官は、ハワイ真珠湾奇襲攻撃を強硬に主張し、実行します。

この「真珠湾奇襲攻撃」は、米国に事前に察知されていたこともあり、「空母を討ち漏らす」結果になりました。

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

さらには、「宣戦布告前の奇襲」となり、「卑怯者」のレッテルを貼られるに至った日本。

実は、当時の大日本帝国の海軍力は、かなり強力で「米国と日本の二強」でした。

敗戦後、旧日本海軍は解体されたものの、技術力は残り、造船業で日本は世界を席巻しました。

20世紀末頃から、コストなどで韓国・中国等にシェアを大きく取られたものの、まだ造船業が盛んな日本。

浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)に対する、欧州各国の熱い視線はチャンスです。

欧州各国から浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の注文が増え、これからも一定数見込まれます。

中国・韓国の造船業界の動き

Yoon Suk Yeol韓国大統領(Wikipedia)

おそらく、中国・韓国はすでにこの「大きなチャンス」に気づき、政府主導で動き始めているでしょう。

台湾の巨大半導体メーカーTSMCが、日本に幾つかの工場を建設する方向を大いに歓迎している日本。

これはこれで「一つの方針」ですが、国内の製造業・メーカーの養成・復活を急ぐべきでしょう。

その時には、「全体的に復活」という「玉虫色」の無意味な政策では難しいでしょう。

米国・中国・韓国の政治で、最先端技術に対する大きな姿勢は、「どの分野に注力するか」が明確なことです。

TESLA 創業者 Elon Musk(Wikipedia)

TESLA、SPACE Xのみならず、Twitterでも奮闘を続けるイーロン・マスク氏。

「米国が成長させる」という意志のもと、マスク氏の企業には、米政府の多額の助成金などが入っています。

マスク氏の異常なまでのパワーと、マスク氏自身の投資で急成長したこれらの企業。

TESLAはトヨタ等を時価総額で一気に抜き去り、大きなブームを巻き起こすに至りました。

White House(Wikipedia)

マスク氏やその周辺の人物たちの大いなる貢献が、TESLA等の「ブレイクの最も重要な推進力」でした。

そして、米国政府が強力に「マスク氏の企業養成・増進に動いた事実」もまた重要です。

日本造船業の凋落

戦艦大和(Wikipedia)

比較的、古い企業に入る造船業で、一時は世界シェアトップだった日本造船業。

現在は、中韓に抜かれて、世界3位のシェアに落ち込みました。

ダントツトップの存在から一気に凋落してしまった、日本造船業。

1990年代以降、「抜かれてばかり」の日本企業・組織。

そして、日本の最先端科学に対する懸念は、「論文数も急速に減少」もあります。

これら科学技術・製造業に対して、日本政府が「本気で取り組む時期」は、すでに過ぎています。

そろそろ、ラスト・チャンスかもしれません。

FRBの利下げは12月は減速するも、来年まで利上げを継続する姿勢を強めています。

その懸念により、昨日は米ドルが円などに対して急上昇し、Dow,Nasdaq等が急落しました。

復調傾向にあったものの、再びS&Pは4,000を割り込む勢いです。

大きなレイオフが続くも、雇用環境等、非常に強力な米国経済。

当面は、FRBの支線で調整が続きますが、年末〜年始にかけて、米株は再度復調傾向になると考えます。

新地球紀行

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