前回は「インフレとエネルギー〜米政策金利・米国のウクライナ支援・苦境の米ハイテク企業〜」の話でした。
欧州のエネルギー対策

ロシアからのガスパイプラインを止められている欧州各国。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から、積極的にエネルギー問題に取り組んできました。
欧州各国は、LNGガス設備を有する浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の確保を進めています。
エネルギーのロシア脱却を急ぎ、海上輸送によるエネルギー確保を目指して、大急ぎの欧州。
ところが、問題はこの浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)は、世界でわずか50台しかないことです。
LNG再ガス用の「戦艦」とも言われる浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)。
再ガスを貯蔵し、各国で配送する意味では「空母」とも言えます。
日本と空母

明治維新以降、異常なまでに急速なスピードで近代化を果たした日本。
江戸末期に、米国からペリーが来日し、砲艦で脅迫された時は、まともな軍艦をほとんど持っていませんでした。

その後、海軍増強を急ぎ、日清・日露戦争では、大国である清国(中国)・ロシア相手に海戦で大勝利しました。
その後、第二次世界大戦の時期には、海軍力では世界第3位に上り詰めた日本。
山本五十六 連合艦隊司令長官は、ハワイ真珠湾奇襲攻撃を強硬に主張し、実行します。
この「真珠湾奇襲攻撃」は、米国に事前に察知されていたこともあり、「空母を討ち漏らす」結果になりました。

さらには、「宣戦布告前の奇襲」となり、「卑怯者」のレッテルを貼られるに至った日本。
実は、当時の大日本帝国の海軍力は、かなり強力で「米国と日本の二強」でした。
敗戦後、旧日本海軍は解体されたものの、技術力は残り、造船業で日本は世界を席巻しました。
20世紀末頃から、コストなどで韓国・中国等にシェアを大きく取られたものの、まだ造船業が盛んな日本。
浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)に対する、欧州各国の熱い視線はチャンスです。
欧州各国から浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の注文が増え、これからも一定数見込まれます。
中国・韓国の造船業界の動き

おそらく、中国・韓国はすでにこの「大きなチャンス」に気づき、政府主導で動き始めているでしょう。
台湾の巨大半導体メーカーTSMCが、日本に幾つかの工場を建設する方向を大いに歓迎している日本。
これはこれで「一つの方針」ですが、国内の製造業・メーカーの養成・復活を急ぐべきでしょう。
その時には、「全体的に復活」という「玉虫色」の無意味な政策では難しいでしょう。
米国・中国・韓国の政治で、最先端技術に対する大きな姿勢は、「どの分野に注力するか」が明確なことです。

TESLA、SPACE Xのみならず、Twitterでも奮闘を続けるイーロン・マスク氏。
「米国が成長させる」という意志のもと、マスク氏の企業には、米政府の多額の助成金などが入っています。
マスク氏の異常なまでのパワーと、マスク氏自身の投資で急成長したこれらの企業。
TESLAはトヨタ等を時価総額で一気に抜き去り、大きなブームを巻き起こすに至りました。

マスク氏やその周辺の人物たちの大いなる貢献が、TESLA等の「ブレイクの最も重要な推進力」でした。
そして、米国政府が強力に「マスク氏の企業養成・増進に動いた事実」もまた重要です。
日本造船業の凋落

比較的、古い企業に入る造船業で、一時は世界シェアトップだった日本造船業。
現在は、中韓に抜かれて、世界3位のシェアに落ち込みました。
ダントツトップの存在から一気に凋落してしまった、日本造船業。
1990年代以降、「抜かれてばかり」の日本企業・組織。
そして、日本の最先端科学に対する懸念は、「論文数も急速に減少」もあります。
これら科学技術・製造業に対して、日本政府が「本気で取り組む時期」は、すでに過ぎています。
そろそろ、ラスト・チャンスかもしれません。
FRBの利下げは12月は減速するも、来年まで利上げを継続する姿勢を強めています。
その懸念により、昨日は米ドルが円などに対して急上昇し、Dow,Nasdaq等が急落しました。
復調傾向にあったものの、再びS&Pは4,000を割り込む勢いです。
大きなレイオフが続くも、雇用環境等、非常に強力な米国経済。
当面は、FRBの支線で調整が続きますが、年末〜年始にかけて、米株は再度復調傾向になると考えます。
次回は上記リンクです。