海軍内部の交錯する人間模様〜奇襲攻撃のうやむやの決定と具体的作戦・ベテランと若手の急先鋒がタッグ・大西瀧治郎と源田実・山本長官と草鹿参謀長と山口司令官〜|リメンバー・パール・ハーバー6・真珠湾奇襲攻撃

前回は「「禁じ手」使う山本五十六連合艦隊司令長官と対峙する伊藤次長〜永野総長の甘い観測・異例のトップダウン決済・日米の意思決定の違い・米国の合理的判断と日本の感情的なノリ〜」の話でした。

目次

奇襲攻撃のうやむやの決定と具体的作戦:大西瀧治郎

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

なんとか真珠湾奇襲攻撃を軍令部に呑ませた山本長官。

私の辞任を
チラつかせて・・・

やっと真珠湾奇襲攻撃を、
承認させることに成功した・・・

学生時代から優等生肌の山本五十六。

「辞任をチラつかせる」ことが禁じ手であることは、本人が一番分かっていました。

あのような
強硬策はやりたくなかったが・・・

我が信念を
つらぬく!

そして、真珠湾奇襲攻撃の作戦指導の具体的な協議に入ります。

軍令部と連合艦隊の間で、ハワイ真珠湾奇襲攻撃の是非が論じられている間の作戦実施部隊。

大西瀧治郎・源田実らによって、ハワイ攻撃に向けた具体的計画の詰めが行われていました。

大西瀧治郎 第十一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

山本長官の
悲願だ!

なんとか実現
できる様考えねば!

猛将でしられる大西参謀長は、海兵40期卒業です。

大西参謀長が学生の頃は、まだ空母・航空隊は一般的ではなかったのですが、実戦の過程で、

これからは
航空機の時代だ!

と喝破し、この計画作成以前には中国で航空機による重慶爆撃などを指導しました。

いわば、航空隊の叩き上げのベテランです。

ベテランと若手の急先鋒がタッグ:大西瀧治郎と源田実

源田実 第一航空参謀(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

そして、大ベテランの大西参謀長に対して、若手の理論派のベテランがいました。

海兵52期卒業の源田実 第一航空参謀です。

航空隊の
指揮において、私の右に出るものはいない!

私が
「ザ・航空隊」なのだ!

10歳以上年齢が離れた「大ベテラン」の二人は、それぞれ航空隊に関する理論・経験が豊富でした。

航空隊の指揮・作戦計画に関して、大西・源田のコンビに匹敵する人材は、世界の海軍でも稀だったでしょう。

いわばベテランと若手の急先鋒がタッグを組んで、奇襲攻撃の作戦を練ってゆきました。

真珠湾は海底が浅いから、
通常の魚雷では海底に突き刺さってしまう・・・

深度を小さくして、
魚雷を発射するような工夫が必要だ・・・

そのためには、兵器の改良と
もう訓練が必要だな・・・

それに並行して、猛烈な実地訓練が内地(日本国内)で行われていました。

この時点、第一航空艦隊のもと、下記の三つの戦隊に分かれていました。

第一航空戦隊(南雲司令長官直卒):空母 赤城・加賀

第二航空戦隊(山口司令官)   :空母 飛龍・蒼龍

第五航空戦隊(原司令官)    :空母 翔鶴・瑞鶴

第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

海軍内部の交錯する人間模様:山本長官と草鹿参謀長と山口司令官

空母 赤城(Wikipedia)

各戦隊の隊員等は、真珠湾奇襲攻撃を成功させるために、一生懸命に文字通り「血の滲むような」努力を続けてきました。

真珠湾周辺が浅瀬であったため、魚雷での攻撃は困難を極めます。

真珠湾の浅瀬に
似た鹿児島湾で猛訓練だ!

月月火水木金金で、
訓練だ!

この点は、決死の訓練により、なんとか攻撃の成功が見込まれました。

兵器の改良と
訓練により、深度浅く魚雷発射出来るようになりました!

これで、真珠湾で
米艦隊を魚雷攻撃に成功しそうだな!

最終的には空母飛龍・蒼龍の二隻は、真珠湾奇襲攻撃部隊から外されかけました。

この二隻は最新鋭でしたが、「航続距離がやや短い」のが問題でした。

この前後、真珠湾奇襲攻撃に反対していた作戦の総指揮を執る南雲忠一・第一航空艦隊司令長官。

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

依然として、反対の姿勢でした。

こんな無茶な作戦、
出来っこないだろう!

もともと、山本長官と南雲長官はあまり折り合いが良くない関係です。

荒々しい性格で知られる南雲忠一は、山本とは性格が合いません。

南雲では
話にならん!

作戦実施部隊に関しては、南雲司令長官は蚊帳の外におかれます。

草鹿くんと
話をつけよう。

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

草鹿くん!
私の信念に賛同してもらいたい!

はあ・・・・・

山本長官に懇願された草鹿参謀長は、消去的賛成に回ります。

参謀長の草鹿龍之介が賛成することで、「外堀が埋められた」状況となりました。

私は
別に賛成してないが・・・

この「外堀を埋める」発想もまた、非常に日本的でした。

南雲長官、
腹を決めましょう!

まあ・・・・・

最高責任者たる司令長官に話を通さず、No.2である参謀長に承認をさせて、長官は「追認」となります。

これでは、「誰が最高意思決定者か」が非常に曖昧になります。

米国・英国の非常にハッキリした指揮系統に対して、いつも曖昧な日本の指揮系統。

第二航空戦隊 空母飛龍(WIkipedia)

「第一航空戦隊と第五航空戦隊の空母四隻で、ハワイ真珠湾奇襲攻撃実施」と決まりました。

ちょっと
待った〜!

烈火の如く怒る男が登場します。

攻撃隊から外された第二航空戦隊の山口多聞司令官でした。

山口多聞 第二航空戦隊司令官(Wikipedia)
新地球紀行

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