日本の教育の問題点〜あるべき教育の姿・「詰め込み」と好奇心・増加する中学受験・パターン・暗記〜|教育問題

前回は「新たな時代の受験制度のあり方〜共通テストの問題点・画一的・知識偏重主義〜」の話でした。

目次

「詰め込み教育」と「本来の教育」

東京(新地球紀行)

今回は「あるべき教育の姿」に関する話です。

様々な教育論が、世の中にあります。

詰め込み教育は、
良くない!

とか、

もっと子供は子供らしく、
自由に遊ばせるべきだ!

などの意見が、比較的多いです。

「詰め込み教育が良くない」のは事実です。

一方で、「教育は詰め込まないと始まらない」のも現実です。

そもそも、「詰め込み教育」とはなんでしょうか。

「なんでもかんでも覚えたり、ひたすら勉強する」のが「詰め込み教育」のイメージです。

ただ、ある程度は「詰め込んで初めて教育が始まる」のも事実だと考えます。

好奇心と「詰め込み」

毎日のドリル「たしざん」(学研)

小学校1年生が取り組む「たしざん」も、最初は、

1+1は2、
1+2は3・・・

で始まるしか、「やりようがない」のではないでしょうか。

算数・数学や理科では、基本的な原理・法則を理解することが非常に大事です。

「1+1 = 2」は「基本的原理」から説明することができますが、これ自体が「決まり」とも言えます。

発明家 Thomas Edison(Wikipedia)

大発明家のエジソンは、小さい頃から好奇心が極めて旺盛でした。

そして、小学校一年生の時に、

なぜ、
「1+1 = 2」なの?

ねえ、
なんで?

うるさいな!
そう「決まっている」事なんだ!

ガタガタ
うるさいな!

もういいです!
うちの子は、私が育てます!

小学校の教師と揉めてしまったエジソン少年を、その母が引き取り、自宅で教えました。

あの大発明家エジソンは、「小学校すら卒業していない」のです。

これは、「個性・創造性を重視する米国」らしからぬ姿勢です。

エジソンが生まれたのは1847年で、まだ米国が成立して間もない頃でした。

その意味において、米国の大いなる特徴が未熟だったのでしょう。

本来、このような「好奇心を持つ子ども」に対して、

なぜ、「1+1 = 2」になると
いうとね・・・

と丁寧に教えてあげて、好奇心を喚起するのが「本来の教育」かも知れません。

ただ、それを一クラス30名以上抱える教師・教員に求めるのは、大変な事でしょう。

すると、

「1+1 = 2」は、数の基本だから、
分かってね・・・

など説明して、「分かってもらう」のが現実的でしょう。

毎日のドリル「かん字」(学研)

小学校1年生は、漢字もたくさん覚えなければなりません。

漢字を覚えるのは、「書いて、声に出して覚える」のが一番良いのです。

それは、「頭に詰め込んでいる」とも言えます。

「詰め込み教育は良くない」ですが、「詰め込み」と「あるべき教育」は相反する概念ではないです。

中学受験の「詰め込み」教育:「パターン」と「丸暗記」

M中学校・高校(新地球紀行)

その中、首都圏を中心に中学受験をする子どもが増えています。

「少子化」にも関わらず、「増えている」のです。

これは、かなり衝撃的な事実です。

この中学受験に関しては、様々な意見があります。

大学受験や
高校受験は仕方ないが・・・

まだ小さな子供に、
無理矢理勉強させて・・・

中学受験させるのは、
子供の成長を妨げる!

と主張する方もいらっしゃいます。

確かに、小学生の頃に「一生懸命遊ぶ経験」は非常に大事です。

それに対して、中学受験する方が、

僕は
勉強する!

と考えるのもまた自由だと思います。

中学受験を「子どもから自発的にやる」ことは、非常に考えにくいのが現実です。

実際は「親が決めている」のが実態でしょう。

そして、子どもが

勉強するのは、
あまり好きでないけど・・・

と「無理やり勉強させられ続けている」のならば、問題だと思います。

僕も中学受験しましたが、実際は多くの中学受験生は、大きなプレッシャーにさらされながらも、

塾で
できる学校外の友達も楽しい!

と、「楽しんでいる面」もあるのです。

ただし、中学受験でも高校・大学受験でも、受験勉強は「パターン化」をもたらします。

小学校から、この「パターン化」や「丸暗記」を強化することは、「詰め込みを超えた」学びでしょう。

小さな頃から、「受け身」で「パターン化する勉強」をしすぎること。

この問題は、
このパターンだね!

そうか。
「パターン」に当てはめて、早く解けるようにならなきゃ!

それは、その後、その子ども自身が成長してからも、

これは、
どんな「パターン」に当てはまるだろう?

と考えるようになり、弊害が大きいように考えます。

中学受験と教育

東京(新地球紀行)

「正しい教育」「あるべき教育」という議論。

「そもそも正しい答え=正しい教育」は、存在しないと思います。

「それぞれの価値観による」ことに過ぎないと思います。

数学や物理では、論理的に「正しい」か「正しくない」かハッキリすることが多いです。

「教育はどうあるべきか」ということに関しては、それぞれの個人・家庭次第でしょう。

それぞれのスタンスや価値観によって、前提も結論も異なります。

それが本来であって、「人それぞれの考え方」で良いように思います。

例えば「人殺しは正しいか?」に関しては、正常な人間であれば「正しくない」となります。

実際には、「国家国民を守るために」人殺しをしている「軍隊」という組織も世の中にはあります。

そして、実際に「自国の為に、侵攻した」と主張する国もこの世に存在しています。

米国と日本の教育・受験

左上から時計回りに、Volodymyr Zelenskyウクライナ大統領、Joe Biden米大統領、Xi Jinping(習近平)中国家主席、Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

ウクライナの悲惨な状況が、連日続いています。

この世界的に地政学が変化している中、日本はなんとなく蚊帳の外に置かれています。

基本は「ロシア・中国vs欧州・米国」という構図です。

カナダも日本も「米国の一部」みたいな扱いです。

カナダは立派な国家で、ウクライナに関して、独自の支援を明確に打ち出しています。

日本は、強い自己主張すらせずになんとなく、「米国の言う通り」みたいな感じです。

これも、戦後の「暗記中心」教育の影響は大きいと思います。

そして、

これは、
どんな「パターン」に当てはまるだろう?

という思考で学び続けてきた方が成長して、社会人となってもなお、

これは、
どんな「パターン」に当てはまるだろう?

これは、
どんな「前例」に当てはまるだろう?

では、「国際政治・国際社会で戦って勝つ」のは、難しそうです。

この中、米国で新たな動きがありました。

米国の超名門校アイビーリーグなどで、入試が大きく難化しました。

「難化」の理由もまた、「米国らしい」です。

それはSATというペーパーテストの点数を「必須としない」学校が3/4ほどになりました。

そして「入試の合否判定が多様化した」ため、「志願者が大幅増加した」為です。

いかにも、イノベーション世界超最先端の米国らしいです。

ペーパーテストは、
どうでも良い!

という姿勢を明確に打ち出した米国。

対して、推薦入試・AO入試があるものの、基本的に「ペーパーテストの成績」が「合否の基準」の日本。

この差は極めて大きく、さらに米国と日本の差は広がるばかりと考えます。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次