学校と塾の持つ「それぞれの役割」〜学ぶことと勉強・教育と受験・低年齢化する通塾開始時期・マイナス面が多い「塾にたくさん通う」環境〜|教育問題

前回は「母国語:日本語と英語〜難しい日本語と子供の教育〜」の話でした。

目次

教育と受験:低年齢化する通塾開始時期

新地球紀行
東京大学(Wikipedia)

海外でも似た環境の国もあるでしょうが、日本では教育と受験は「切っても切れない関係」です。

子どもがもう「中学受験を終えた」友人がいますが、彼の話を以前聞いて驚きました。

それは、子どもの塾へ入学する年齢が「低年齢化している」ことです。

2010年頃から顕在化している現象のようですが、

塾へ行くのが、
小学校3年生は当たり前だよ。

早い子だと、
小学校1年生から行っているし・・・

小学校1年生から塾へゆくのは、
全然珍しくないよ。

と聞き、驚きました。

ふ〜ん・・・
そうなんだ・・・

僕は、日本のバブル景気真っ只中の1990年に中学受験しました。

そして、東京都内にある武蔵中学校・高校へ進学しました。

当時、僕は小学校4年生の12月から、とある塾の「日曜教室」という「毎週試験を受ける」教室に通いました。

現実的には「通わされた」という表現が正しく、この「毎週試験」という環境は結構辛かったです。

日曜日に試験を受けたら、その週の木曜日頃には採点結果が返却されます。

それも、偏差値や成績優秀者一覧表も一緒に送られてきて、

今回は
あまり成績が良くなかった・・・

それに一喜一憂します。

小学校5年生の2月、つまり「翌年に受験する」立場になると、

もっと塾に
行かなければならない・・・

日曜教室以外にも塾へゆくことになりました。

その時は、

みんな、
結構出来る・・・

大勢の方が、小学校5年生くらいから塾へ行っていたので、周りには出来る子ばかりでした。

これは、とってもマズイ・・・
もっと勉強しなければ!

と思ったものです。

つまり、受験一年前の「小学校5年生の2月」から塾を本格化させた僕は「少し遅いスタート」だったのです。

マイナス面が多い「塾にたくさん通う」環境

M中学校・高校(新地球紀行)

それが30年少し経過した今や、

塾へ行くのが、
小学校3年生は当たり前で・・・

むしろ遅いくらいかも
しれない。

という事態になりました。

この1990年から現在の2023年の33年間の間に、日本の環境は大きく変化しました。

日本の半導体シェア(経産省)

「日の丸半導体」と言われ、1988年には50.3%を誇った半導体シェア。

それが、2019年時点で10.0%まで急速に減少し、今後も減少の一途をたどり、復活はないでしょう。

日本が光り輝いていたバブル時代と比べると、「凋落した」日本。

その「凋落した日本」において、少子化が猛烈な勢いで進行しました。

そして、今度は「塾に行く年齢が、非常に低年齢化している」という事態。

これは、長期的視点から考えると、かなり由々しい事象だと思います。

幼稚園・保育園から小学校に行き、ひらがな・カタカナ・漢字を勉強します。

そして、さらに足し算・引き算などの算数を学びます。

さらにはテストで点数をつけられて、「成績表が出る」環境に移行します。

小さな子どもにとっては「かなり大きな環境の変化」です。

これにさらに塾が加わったら、「環境の大変化」です。

子どもたちにとっては、大変なことです。

塾に通う結果、勉強ができるようになることは大変好ましいことです。

ところが、物事には「メリットばかり」ということはありません。

メリットがあれば、必ずデメリットがあるのが現実です。

「塾にたくさん通う」環境は、ただ勉強する姿勢が強まり、マイナス面が多いと考えます。

学校と塾の持つ「それぞれの役割」:学ぶことと勉強

新地球紀行
木製こま(新地球紀行)

塾へ行く年齢が下がり、頻度が上がると、子どもたちの遊ぶ時間は、もちろん少なくなります。

親としては、

子どもを自由に遊ばせたい。
でも受験するなら失敗したくない。

周りの子が塾に行っているなら、
早く塾へ行かせた方が良いのでは・・・

と考えるのは当然だと思います。

勉強することは、非常に大事なことです。

一方で、あまりに「テストで良い点数を取ること」ばかりに向かってしまうと、大きな弊害があります。

それは、「解答が用意された」テストでうまく解く「受け身の姿勢」ばかりが育ってしまうことです。

小学校1,2年生から塾に行き、「テストで高得点を目指す」が本当に良いことなのかどうか。

テストで、
高得点は取れるけど・・・

特に、何かを
目指しているわけではないけど・・・

という風に子どもが成長するのは、親ならば「避けたいこと」です。

学校と塾では役割が全然異なります。

この「役割が違う」のは、様々な意見がありますが、僕は下記のように考えます。

学校と塾の役割

・学校:幅広い学びをする場・人間関係や社会を学ぶ場・将来を構築する場

・塾:とにかくテストの成績を上げる場

学校と塾では役割は全然違います。

その中、塾に早期に行き頻度が上がれば、塾での成績がどうしても気になります。

そして、本来「主・学校、従:塾」の関係が、主客転倒して「主・塾、従:学校」になってしまうと考えます。

ノーベル賞や日本の科学技術におけるイノベーションの状況は、非常に危機的状況です。

「勉強することは大事」ですが、「勉強」は「試験・テストの点数を上げること」だけではありません。

「学校は学校、塾は塾」と、明確に役割を分けるべきだと思います。

新地球紀行

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