塾の費用が促進する少子化〜塾と予備校は「第二・第三の学校」・子どもと青少年少女の学びと様々な体験・肥大化する塾の存在感・少子化と塾の運営〜|教育問題

前回は「「良い学校=偏差値の高い学校」という日本の教育・受験界の狭き価値観〜「 教育は教育、受験は受験」という本来の姿・中学受験と塾・中学高校の部活動の大いなる価値〜」の話でした。

目次

子どもと青少年少女の学びと様々な体験

M中学校・高校(新地球紀行)

子どもが一生懸命頑張って勉強して、学力をつけてゆくことは、大いに奨励したいです。

この間の算数のテストが
あまり良くなかった・・・

今度は
もっと頑張っていい点数をとるぞ!

テストの点数ばかりを追い求める「点取り虫」になることは避けたいことです。

一方で、青少年・子どもたちが「良い点を目指す」のは良いことです。

この「点取り虫」と「良い点を目指す姿勢」は、紙一重の違いともいえます。

中学生・高校生ならば、ともかく、小学生が

点数、点数を
上げるぞ!

となることは少ないでしょうが、中学受験のために塾へ通う頻度が上がると、こうなるでしょう。

特に小学生の間には、さまざまな経験を子どもにはして欲しいです。

やはり低学年の時に友達と外で遊んだ経験・体験は、極めて重要です。

人間としての基礎を形成する上で、大事なことではないでしょうか。

肥大化する塾の存在感:少子化と塾の運営

新地球紀行
M中学校・高校:物理実験室(新地球紀行)

中学受験の入塾年齢が下がっていることは少子化のために、運営面を考慮した塾。

少子化で子どもの人数自体が
減ってしまうと、運営が苦しい・・・

そこで塾は、

早めに塾に入って貰えば、
売り上げが上がる!

「受験の準備は、
早め、早めのスタートが良い」と宣伝しよう!

と考えたのでしょう。

それは、「塾側の論理」としては当然のことです。

教室のエリアによりますが、

定員になってしまって、
希望する年齢で入塾できない・・・

という事態まで出ているようです。

そうすると、親としては、

早めに入塾して、
子どもの席を確保しよう!

と考えるのは当然で、塾側の思惑通りとなります。

塾歴社会(おおたとしまさ著 幻冬社新書)

最近、おおたとしまさ著「塾歴社会」を読んで、日本は大丈夫か?と思いました。

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、「学校よりも塾」みたいな風潮すらあることが指摘されています。

これはもちろん「一つの見方」です。

ところが、小学生が1〜2年位から塾へ行き始めれば、その子の人生において「塾の比重」が高くなるのは当然でしょう。

本書では、大学受験・中学受験で有名な2つの塾の話が出ています。

その出身者の経験談もあり、なかなか興味深いです。

仕事でも資格試験でもノウハウやコツはあるので、受験に対する塾の存在はあって良いと思います。

資格試験においても、予備校に通わずして合格することは「難しい」のが現状です。

ただ、小学校から高校の教育において、塾が中心になるようなことは避けるべきです。

塾の費用が促進する少子化:塾・予備校は「第二・第三の学校」

M中学校・高校(新地球紀行)

学校と塾の立場が主客転倒してしまうことは、あってはならないことでしょう。

本質的には、塾・予備校はあくまで「第二・第三の学校」であるべきでしょう。

膨大な宿題をやらせて「問題解決能力」ばかりを上げる教育は、大きな問題を孕んでいると思います。

そういう教育を受けると「受動的」で「与えられた問題を解決する能力」ばかりが高くなってしまうでしょう。

「与えられた問題を解決する能力」の増強は、即座に「受験に対する力」の増強につながります。

このことが果たして、小学校から高校の教育において良いことかどうか。

それが「良いかどうか」は、価値観次第でもあります。

現実問題として、塾はお金がかかり、家庭にとって大きな負担になります。

上記のような展開は、

中学受験の通塾の低年齢化

少子化→ 入塾の低年齢化→ 教育に膨大なお金・時間がかかって大変→少子化→ ・・・

という「最悪のループ」になってしまう危険性を大いに孕んでいます。

こんなことで、日本は大丈夫でしょうか。

人口が減るのは、国家にとっては「最も避けなければならない事態」と思います。

これを解決する主導力は、「政治」なのでしょう。

賛否両論あるでしょうが、高校までの子どもを持つ世帯に対しては、抜本的改革が必要でしょう。

「子どもの人数によって、所得税をある程度減税する」などの方法があるでしょう。

ただし、この政策は、

子どもが欲しかったのに、
うまく行かなかった・・・

その結果、子どもがいない
私たちの世帯は減税対象外というのは不公平だ!

という反論があるので、難しいところです。

一方で「不公平のない政策」というのは、原則として存在しないでしょう。

そして、「反対者のいない」政治というのは、健全な民主主義国家では「あり得ない姿」です。

M中学校・高校(新地球紀行)

そのためには、「国家の未来」の鍵を握る「子どもたちを大事にする」姿勢を、日本政府は思い切ってやるべきです。

また、上記の様な流れの中、「子どもたちへの投資・助成金」は「塾・受験産業への助成金」につながりかねません。

それもまた、大きな問題でしょう。

「とにかく塾、塾、塾」の生活は、子どもたちは可哀想です。

まずは、各家庭の親が「学校は学校、受験は受験」という意識を明確に持つべきと思います。

そして、「教育のメインは学校である」ということを、文科省・政府が強く推進すべきでしょう。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次