米国の挑戦 16〜米株の今後・利上げ継続の是非・猛烈な円安・米ハイテク企業〜|国際情勢

前回は「米国の挑戦 15〜民主党の底力〜」の話でした。

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米政策金利:利上げ継続の是非

Neel Kashkariミネアポリス連銀総裁

利上げを緩めるとみられていたFRBの動きに対して、カシュナリ・ミネアポリス連銀総裁がタカ派発言をしました。

インフレがピークつけるまで、「利上げ継続必要」とはっきりと明言しました。

12月のFRBの利上げは、「0.75%から緩んで0.5%になる」と見越して、大きく復調傾向にあった米株価。

徐々に下げる傾向を見せており、昨日はDow変わらず、S&P、Nasdaqは0.3%減となりました。

中でも、原油先物が大きな影響を受け、3%以上の下落となりました。

下落基調にある米株価ですが、一度に上がりすぎていたこともあり、市場は様子見をしています。

市場とFRBの思惑がずれている面もあり、今後の動きは非常に読みにくい状況です。

Jerome Powell FRB議長(Wikipedia)

「再度のインフレ増加基調」だけは絶対に避けたいFRB。

12月の利上げを0.75%とするか、0.50%とするか、非常に難しい判断を迫られます。

様々な経済理論・モデルがありますが、いずれの理論等でも先を読むのは困難です。

世界情勢が複雑であり、ウクライナ戦争・コロナもあり、先行きを考えるのに不確定要素が多すぎます。

あまりに急速に利上げを実施したFRBに対して、ドルと各国通貨のバランスが一気に崩れて、ドル単独高となりました。

日本円は対ドルで150円/1ドル程度まで、一気に円安が進みました。

なんと、年初来で日本円は30%ほど下落しました。

「猛烈な円安」と言えるでしょう。

その後、調整して少し下げ、「利上げ減速見込み」で、この10日ほどで一気に6円円高となり、140円/ドル程度です。

あまりに、通貨の動きが大きいため、輸出業に関わる業種の方々は、広く不安を抱えています。

米国会と米ハイテク企業の人員削減

中間選挙で「思わぬ苦戦」を強いられた共和党は、下院(House)では僅差で過半数獲得しました。

上院(Senate)では、民主党が50vs49で僅差での勝利が確定しています。

再投票となったジョージア州では、12月6日に決選投票となります。

ねじれ国会が決定した米国の政治ですが、上下院ともに僅差であり、両党とも「党内引き締め」の動きが強くなります。

人員削減が続く米ハイテク企業。

ついに、「新規採用見送り」のAmazonが「1万人の人員削減」を発表しました。

削減する対象は、倉庫は対象外であり「物流面」は堅調なAmazon。

削減する人員は、クラウドサービスなどであり、ハイテク・IT分野の減速が明確化しました。

減速傾向にありますが、それは多くは株価の「あまりに急速な下落」と、決算悪化によります。

世界中で最も投資環境が進んでいる米国。

それだけに、「株価と決算」に対する市場・投資家からの視線は、世界でダントツに厳しい米国。

そこで、一時的に企業の財務状況を良くするためには、人員削減しか方法はないのです。

企業業績が、本来の企業の実績・売上高よりも、FRBの利上げなどの経済環境に依存する状況です。

この中で、「株価が上がりすぎていた」Nasdaq関連企業は、一時的に調整期間が必要です。

その調整のプロセスの一環としての人員削減であり、この傾向は「悪い傾向」ではないと考えます。

むしろ、調整・再編成し、さらに米国のハイテク・IT分野が来年には復調して、増進してゆくと考えます。

世界中の半導体業界が苦しむ中、台湾ではテック企業のR&D(研究開発)に対して、減税対策を強化します。

Tsai Ing-wen(蔡英文) 台湾総統(Wikipedia)

半導体・ハイテク立国となった台湾。

「アジアにおける科学技術の最先端を担う」姿勢を明確にしました。

かつて、科学技術・ハイテクといえば、30年ほど前は日本が世界一でありました。

2000年ごろまでは、アジアにおいて日本に対抗できる国は「なかった」と言っても良いでしょう。

しかし、この20年余りで情勢は急変し、科学技術における日本の優位は消えてしまいました。

非常に慎重かつ大胆な動きを見せる台湾、あるいは中国に対して、何を目標としているのか不明な日本。

アジアにおける日本の地位の下落は続きそうです。

米国株は、当面「FRBの動き注視」の状況が強まり、調整期間となりそうです。

その上で、12月にFRBの利上げ幅次第で大きな影響が出るでしょう。

急速な動きは、物理的には思わしくないため、一度は0.5%へ減速するのが望ましい利上げ。

米国株・日本株ともに、見通しが非常に不明瞭な状況が続きます。

新地球紀行

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