前回は「大きく揺れる世界市場〜ロシアによるウクライナ「四州の併合」・下落続ける米国株・ウクライナNATO正式加盟の高いハードル〜」の話でした。
大混乱の英国金融システム
英国イングランド銀行(中銀)による「10億ポンドの英国債買い入れ」で揺れる英国。
英国の金融システムの混乱が顕在化しています。
この中、S&Pが英国国債格付を、「安定的」から「ネガティブ」に落とすことを決定しました。
世界経済6位の英国の経済的混乱は、非常に大きな問題です。
そして、「モノづくり」よりも「金融」で成り立っており「世界の金融の中心」を自負する英国。
その英国が「大量国債の自国中銀買入」という、いわば禁じ手を使うに至り、大きな混乱となっています。
中国政府の不動産市場の舵取り
ウクライナ四州の一方的編入を宣言した、ロシア・プーチン大統領。
世界中が「予想していた」とはいえ、その強硬で「着実に見せる」姿勢に押されています。
かねてから、「不動産バブル崩壊」と見られてきた中国。
ついに、中国政府が国有銀行に、不動産業界の支援要請するに至りました。
これによって一時的に危機は回避できるものの、「不動産業界の危険性」を内外に知らしめてしまいました。
中国不動産・経済の悪化している状況は、これからも続き、世界経済にも大きな影響を与えます。
見えない「日本という国家の姿勢」:口実に使われる「日本の原爆投下」
プーチン大統領は、自国の正当化に「米国による日本への原爆投下」に言及しました。
あまり世界政治では語られない存在の、我が国日本。
こういうネガティブな内容に、世界中の避難を浴びている国から「利用される」のは残念です。
ウクライナ戦争では、米国の軍事援助でロシアは苦境に陥っています。
しかし、欧州の状況が想定以上に悪化している、この状況をうまく突いたプーチン大統領率いるロシア政府。
この「併合」を認めることが出来ないのは、当然ですが、政治的手腕としては上手いと考えます。
この混乱時に、さらに混乱に拍車をかけようとしている英国・トラス政権。
トラス首相が外相だった時の、非常に筋の通った強気姿勢は、大きな好感を持ちました。
ところが、経済政策に関しては経験が少なく、その「甘さ」を曝け出す形となってしまいました。
「大減税」に関し、党首選(首相選)でRishi Sunak元財務相は「おとぎ話」と、繰り返し強く非難しました。
その「おとぎ話」をトラス政権は強行し、英国の経済のみならず、「英国の国家としての存在の根幹」が揺れています。
英国は方針転換し、米国などと更に顕密に協力して、事態の収集を図った方が良いと思います。
英国と歴史が深く、「近代日本」に対して大きな役割を果たした英国(大英帝国)の大混乱。
英国なくして、明治維新も近代日本もありません。
経済力のある日本もまた、「日本の姿勢」をハッキリ示して、英国と大いに協力してゆくのが望まれます。