前回は「分かりやすい言葉で伝えよう〜「遺憾」は使わないようにしよう〜 1」の話でした。
遺憾=Regrettable
今回は、「海外の方に分かりやすい言葉を届ける」の話です。
この記事を書いていて、
遺憾は、
海外でどのように訳されるのかな?
と思い、BBCを聴いてみました。
北朝鮮のミサイル発射に対する岸田首相のコメントは、英語では”This is regrettable.” でした。
「Regrettable = 残念」
やはり「残念」でした。
とにかく外国との関係においては、「言葉は大事」で「言葉は相手あってこそ」なのです。
対外的な会見や、外電にのせる言葉は「相手国の言葉に翻訳しやすい言葉」を心がけて欲しい。
海外に、「分かりやすい言葉を届ける」事を最優先にしてほしいです。
この日本的な「曖昧な言葉」によって、甚大な被害の出た例があります。
ポツダム宣言
第二次世界大戦の末期、1945年はすでに日本の敗北が誰の目にも明らかになっていました。
同年7月26日に米国トルーマン大統領・英国チャーチル首相・中華民国蒋介石の連名で、日本へ降伏勧告をしました。
日本に無条件降伏を求める「ポツダム宣言」です。


Japanは、もはや我がUnited Statesに
勝つことは不可能!



UKもChinaも一緒なのだから、
無条件降伏しなさい!
そして、世界中が
Japanは、
日本がどうポツダム宣言に対応するか?
と、日本の対応に注目します。
ポツダム宣言に対する日本の総理大臣発言は、世界中の耳目を集めたのです。
これほど日本の総理大臣の発言が世界中から注目されたことは、これ以降ないでしょう。
鈴木貫太郎首相の対応:黙殺


「ポツダム宣言」に対し、当時の鈴木貫太郎首相は、7月28日に海外へ意見を発表します。



日本政府としては、
これ(ポツダム宣言)を・・・



価値あるものと認めず、
「黙殺」し、断固戦争完遂に邁進する・・・
と。
この鈴木首相の「黙殺」は外電には、
Japanが、
ポツダム宣言をignore(無視)した!
と伝わりました。
「黙殺」と言う言葉は、いかにも日本語らしいニュアンスを持ちます。
決して「無視」ではない「黙殺」。
日常生活でも、社会においても、
〜ということ
ですね?
・・・・・
黙殺ということは、
そう言うことだな・・・
「〜ということ」が、
事実・現実なのだろう・・・
となります。
日本語の「黙殺」は、「事実上の承認」に近いニュアンスを持ちます。
ところが、英語にはない「黙殺」。
そして、会話の最初がに”Yes”か”No”がくることが多い英語などの言語。
「正しい」なのか「正しくない」のか、はっきりしている言語です。
そこで、「黙殺」が「無視=ignore」に訳されて、外電に乗ってしまったのでした。
「無視=ignore」ならまだしも、「decline=拒否」と伝わったケースすらあったようです。
Japanは一体、
何を考えているのか?
その結果は、鈴木首相が「思いもかけない結末」を迎えます。