前回は「英国の未来 4」の話でした。

まもなく首相を、正式に辞任することになるジョンソン英首相。

下院議会で、最後の「首相質問」に出席して、答弁をしました。
映画「ターミネーター」のセリフを引用して、”Hasta la vista, baby”と締めくくりました。
これは、スペイン語で「また、会いましょう」という意味とのことです。
ロシアのウクライナ侵攻当初から、最も明快かつパワフルな外交を展開してきたジョンソン首相。
その猛烈なパワーに、独仏伊などの欧州も引っ張られてきた感があります。
そこで、降って沸いた「パーティーゲート事件」でした。
類い稀なる外交力・政治力で、これは乗り切ると思っていました。
しかし、閣僚の辞任が続き、倒閣に追い込まれました。
「パーティーゲート事件」は、内容としては大きな問題ではないように感じます。
しかし、英国民は「嘘をついたこと」を許さなかったのでしょう。
これもまた、英国の民主主義が成熟していることの証拠だと思います。
次期首相は、トラス外相とスナーク前財務相で争われ、全ての保守党員16万人の投票で決定します。


現時点では、「トラス外相が優勢」という報道です。

ウクライナでは、トルコのエルドアン大統領が間に入り、穀物輸出が再開される方向です。

昔からの「大穀倉地帯」であるウクライナからの穀物輸入に頼る国々は、非常に多い中、大きな一歩です。

英国MI6のムーア長官が、「ロシアは近くウクライナで失速の可能性」と明言しました。

そして、MI6は「中国の監視を非常に強化している」状況です。
中国がロシアに明確に加担している状況の中、ウクライナ侵攻の方向性が見えません。
その中、「欧州をまとめてきた」とも言えるジョンソン首相が、表舞台から消えるのは、非常に残念です。
“Hasta la vista, Boris.”=「また会おうね。ボリス」と思いますが、世界がジョンソン首相を必要としています。
9月5日に決定する新英首相。
一時は「英国民の信用を失った」一方で、「世界の首脳の信用は、非常に高い」ジョンソン首相。
近い将来、首相以外でも外相・特使などで、活躍することを願いたい。
それは英国の国益になるのみではなく、世界のためにもなると考えます。