前回は「アジアの未来 6〜アジアと中国〜」の話でした。

アダニ・ショック
アダニ・ショックで揺れるインド。
米投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが公表した「アダニ・グループの詐欺」で株価が暴落しています。
少し下げ基調だったAdani Enterprisesの株価は、この5日で最大70%ほど下落しました。
現在は、少し値を戻して10日前の50%程度の価格となっています。
成長著しいインドのエネルギー事業・インフラ事業を担うアダニ・グループ。
2023年に入って欧米ともに株価は復調基調ですが、インドSensex市場はコロナ前の150%程度の基準です。
昨年大きく下落した米国株と比べると、インド株の堅調さが際立ちます。
その中で、公表された今回のレポート。
アダニ・グループの経営面に問題点があるも、タイミングとしては「米国によるインドへの攻撃」とも取れます。
英国とインド

長く大英帝国の植民地であったインド。
大英帝国と清国との間のアヘンをめぐる関係においても、インドは非常に重要な役割を演じました。
そして、大英帝国と清国は「アヘン戦争」に至った経緯があります。
莫大な人口を抱え、中国ほど独裁政治ではないインド。
ウクライナ侵攻においても、ロシアと欧米の間で中立的立場を守っています。

インドの狙い
一方で、ロシア・中国などが加盟する上海協力機構(SCO)にしっかり加盟しているインド。
ロシア・中国と欧米の亀裂が深まる中、インドはどちらかというと「ロシア・中国側」なのかも知れません。
上の図の通り、地政学的には「上海協力機構(SCO)に加盟せざるを得ない」立場のインド。
昨年末に誕生した英国の若きスナーク首相がインド出身でもあり、英印関係は強化の方向です。
「英国との堅調な関係」と「SCO加盟によるロシア・中国との関係」、そして膨大な人口と民主的な方向。
インドの状況は非常に良い方向です。
この最中に生じたアダニ・ショックが、インドという国の根幹を揺るがしています。

ちょうど、米国による「中国のスパイ気球撃墜」もあり、アジアの状況は困難になりつつあります。
アダニ・ショックに対するアダニ・グループの対応によりますが、下落は一時的となると考えます。
そして、堅調なインド経済は一時的に下降した後、再び復調傾向となるでしょう。
FRBによる金利引き上げは、米株・債権への悪影響が大きく、少し緩やかになってゆくと考えます。
「米株の大きな下落の可能性」が指摘されていますが、FRBの利上げが緩やかになれば回避されると考えます。