林則徐欽差大臣登場〜19世紀の欧米列強のアジアを見下す姿勢・激怒した林則徐・大英帝国の反撃・交渉決裂から強行姿勢へ〜|欧米とアジア3

前回は「大英帝国が目論んだ大貿易戦略〜英国と中国とインドの三角貿易・民主主義の発祥の地の大英帝国・英国から中国への大量の金銀流出・青ざめた「世界一の領土を持つ」国〜」の話でした。

目次

林則徐欽差大臣登場:19世紀の欧米列強のアジアを見下す姿勢

林 則徐(Lin_Zexu)欽差大臣(Wikipedia)

当時、GDP世界一の清国の市場へ麻薬であるアヘンを大量に流して、銀を得る大英帝国。

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英国・インド・中国の三角貿易:銀の流れ
清→大英帝国
大英帝国→インド綿製品
インド→清アヘン
大英帝国・清国・インドの三角貿易

主に茶・綿製品・アヘンの3つの製品が大英帝国・清国・インドを駆け巡りました。

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英国・インド・中国の三角貿易:銀の流れ

その物品の流れと逆回りにお金が回ります。

そして、大英帝国で大流行であった茶によって「清国に流れていた金銀」が大英帝国に戻ってくるスキームです。

言われてみれば当然のことですが、実に巧妙に考えられたスキームでしょう。

ここで、大問題だったのは、インドから清へ持ち込まれた製品が「アヘンという麻薬」だった点でした。

Indiaで沢山栽培しているアヘン(麻薬)を、
Chinaに売れば良い!

と考えた大英帝国の当事者たち。

ここで、なぜよりによって麻薬であるアヘンを大量に清に売りつけたのか。

ここには、19世紀の欧米列強の「アジアを見下す」視線があったのでしょう。

これに対して、当時高級官僚だった林則徐は、

アヘンを
撲滅すべきです!

と皇帝へ上申します。

清8代皇帝:道光皇帝(Wikipedia)

ならば、
取り締まってくれ。

お前を臨時大臣に
任命しよう。

ははっ!
お任せを!

「アヘン撲滅」という特定分野において、皇帝の全権委任を受ける欽差大臣となった林則徐。

早速、
広東へ向かいます!

大英帝国から大量のアヘンが持ち込まれていた広東(Guang Dong)へ向かいます。

激怒した林則徐

清国 地図(1820年頃 Wikipedia)

太平洋の入り口に位置する広東は、当時も非常に栄えていました。

この大繁盛の港で、大英帝国の商人たちが「大っぴらに」アヘンを荷上げしているのを見た林則徐。

なんだ!
これは!

あれが
全部アヘンか!

こんなこと、
許せるか!

怒りに震える林則徐欽差大臣。

皇帝の全権委任を受けているので、全てを林則徐が判断できます。

アヘンをまとめて、
取り上げよ!

そして、
燃やしてしまえ!

大英帝国が荷上げしていたアヘンを全て没収し、焼き捨てます。

おい。
ちょっと待て!

勝手なこと
するな!

大英帝国の商人たちは、激怒します。

本来、「麻薬であるアヘンを持ち込んでいる」彼らが悪いのですが、そんなこと関係ありません。

こうなったら、本国に伝え、
厳正に対処してもらう!

大英帝国の反撃:交渉決裂から強行姿勢へ

大英帝国首相 William Lambby(1835-1841)(Wikipedia)

そして、「アヘン密輸を妨害されて、商品が焼かれた」と英国本国に通報が入ります。

正規商品であれば、強く出れる大英帝国ですが、

アヘン
だからなあ・・・

大英帝国・外務省としても、なんとも対応しにくいです。

しかも、Chinaは
世界一のGDPを持つ・・・

あまり、
敵対しない方が良さそうだ・・・

そして、外交官を派遣して、清国と大英帝国は折衝します。

ところが、超強硬姿勢の林則徐。

交渉も
何もない!

麻薬など
持ってくるな!

この強気の姿勢が道光皇帝から買われて、大役を任された林則徐。

ここで、
脅しに乗ってたまるか!

損失は
補填して頂きたい!

焼却した
損失補填?

何言ってるんだ!
お前たちが悪いのだ!

林則徐大臣が強行姿勢すぎて、
どうにもなりません!

やむを得んな・・・
我がGreat Britainの力を思い知らせよう・・・

非常な強硬姿勢に、ついに大英帝国は東インド艦隊を清へ向かわせました。

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