日本の受験制度の問題点〜ペーパーテスト重視・暗記重視の日本の受験界・偏差値と子どもたち・偏差値というレッテル・共通テストの存在意義・さらに広がる日米の教育格差・少子化対策と受験制度〜|世界の教育と日本の教育1

前回は「新たな時代の受験制度のあり方〜共通テストの問題点・画一的・知識偏重主義〜」の話でした。

目次

ペーパーテスト重視・暗記重視の日本の受験界

東京大学(Wikipedia)

AO入試や推薦入試が本格導入されて、20年以上経過する日本の大学受験。

いまだに、ペーパーテスト重視・暗記重視です。

この前時代的な試験は、早急に改革すべきだと思いますが、子どもたちは「ペーパーテストに挑む」必要があります。

子どもたちが学んでゆく過程で、ある程度のことを「覚える」ことは大事です。

社会人になって仕事をする上でも、ある程度「業務を覚える」ことは大事です。

その「覚える」プロセスを経た上で、「しっかり理解する」ことが続くのでしょう。

暗記ばかりは良くないですが、英単語等は「暗記するしかない」のです。

その意味では、「ある程度は理解力をペーパーテストで問う」のは、理解ができるでしょう。

ところが、「ペーパーテストの点数によって、子ども・青少年の能力を測る」のは、時代遅れでしょう。

偏差値と子どもたち:偏差値というレッテル

M中学校・高校(新地球紀行)

そして、大学受験に限らず、中学受験・高校受験に挑む子ども・青少年たちは「偏差値」に縛られます。

模擬試験を受けると、点数だけではなく、ご丁寧に偏差値まで教えてくれます。

あなたの四科目合計の点数の
偏差値は60です。

とか、

あなたの数学の
偏差値は55です。

などです。

この偏差値という数字が、高ければよいでしょう。

自分の学力を適切に知ることは、大事かもしれません。

その一方で、「偏差値」で序列化される子どもたち・青少年たちは、大変です。

あなたの数学の
偏差値は55です。

と言われることは、

僕の数学の
学力・レベルは55なんだ・・・

となり、いわば「偏差値というレッテル」が子どもたち・青少年たちに貼られます。

そして、この「偏差値という数」のレッテルは、大学受験では、様々な大学すべてに貼られます。

この「偏差値のレッテル」によって、大学が序列化され、

A大学X学部の
偏差値は55。

B大学X学部の
偏差値は58。

となると、同じ学部・学科で比較すると、「A大学よりもB大学の方が、良い大学」に見えます。

それが、「数字のマジック」であり、数字の持つ怖さでもあります。

共通テストの存在意義

そして、大学受験では、多くの青少年たちが「受けさせられる」共通テスト。

あのマーク式の「答えを選ぶ」テストで、「短時間で手際よく高い点数が取れる」方が「良い大学」へ入れます。

ここでの、「良い大学」とは「偏差値の高い大学」であり、大学の教育内容等は、あまり加味されません。

共通テストは基本的に廃止して、TOEIC等の試験を代用すれば良いと思います。

そして、「各大学ごとに試験を行うのが負担」であれば、一定の共通テストがあっても良いです。

ところで、わざわざ共通テストのようなテストを作る必要はないでしょう。

既存の〜検定などの試験・テストの成績をもって、代替できないでしょうか。

米国では、大学入試の方法が全面的に見直されました。

詳しくは、上記のWSJの記事をご覧ください。

今まで必須だったSATのスコアを、多くの学校が必須から外しました。

そして、試験の合格判定が多様化したため、入試倍率が急増した結果、多くの成績優秀者が不合格となったようです。

米国では昔からエッセイなどが重視されてきましたが、SATのスコアは非常に重視されてきました。

このSATという、日本の共通テストのようなペーパーテストの成績は、

別にSATの
スコアは必要ない!

と、一気に変えたのです。

さらに広がる日米の教育格差:米国の方針転換「ペーパーテスト不要」

ニューヨーク(新世界紀行)

小学校以降の教育・授業において「ディベート」が、日本よりもはるかに多い欧米の教育。

この意味では、日本の教育よりもはるかに先をいっている米国です。

この米国が「ペーパーテスト不要」へ一気に舵を切りました。

この「一気に方針転換」は、いかにも米国らしいと思います。

そして、志願者の能力と個性を見極めて、合否を判断しているのでしょう。

ひたすらペーパーテストの数字だけで、

個性など、
どうでもよい!

と言わんばかりの日本の受験制度とは大きな違いです。

この基本的姿勢が、日本と米国のイノベーションのレベルの大きな差をもたらしているのでしょう。

最近も、日本の科学者たちの地位や手当に関する問題が報道されました。

教育、とりわけ科学に対する姿勢を、大きく変化させねば、日本は立ち行かなくなるのではないでしょうか。

少子化対策と受験制度

岸田文雄 総理大臣(Wikipedia)

こういうことは、「官ではなく民」が主導して行くべきかもしれません。

教育に関しては、受験制度が非常に大きな影響を持っています。

そのため、「民で出来ること」には限界があります。

「共通テストの点数」という本質的ではない、「どうでもよいこと」に振りまされる高校生・大学受験生。

もっと基本的な視点から、政府には教育を見直して欲しい。

異次元の
少子化対策だ!

自らの政策を「異次元」という時点で、どうかと思わざるを得ない日本政府と岸田総理大臣。

「異次元かどうか」「効果があるのか、ないのか」を評価するのは、別の方であります。

強烈な勢いで進む日本の少子化には、日本の受験制度は「決して無関係ではない」のです。

子どもを一生懸命育てても、日本の「良い大学」「良い高校・中学校」(偏差値の高い学校)目指すこと。

僕ね、
勉強頑張る!

もっともっと
偏差値あげなきゃ!

ああ、
頑張ってな!

しかし、偏差値という数字にいつも
追い立てられるのは、大変だろう・・・

いつもいつも「営業ノルマ」に
追い立てられるのと同じだ・・・

こんな暗記ばかりの短期的視野の
学びで、子どもは大丈夫だろうか・・・

これは、子ども・青少年たち本人だけではなく、大人も疲れます。

そして、「その先に未来が見えない」のが問題でしょう。

少子化の原因は、金銭だけではなく、「お金でサポートする」のは限界があります。

日本政府は、この「丸暗記一辺倒」で「ペーパーテスト主体」の受験制度改革にも着手すべきでしょう。

「子どもたちに、日本の明るい未来を見せる」ために。

新地球紀行

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