前回は「新たな時代の受験制度のあり方〜共通テストの問題点・画一的・知識偏重主義〜」の話でした。
ペーパーテスト重視・暗記重視の日本の受験界
AO入試や推薦入試が本格導入されて、20年以上経過する日本の大学受験。
いまだに、ペーパーテスト重視・暗記重視です。
この前時代的な試験は、早急に改革すべきだと思いますが、子どもたちは「ペーパーテストに挑む」必要があります。
子どもたちが学んでゆく過程で、ある程度のことを「覚える」ことは大事です。
社会人になって仕事をする上でも、ある程度「業務を覚える」ことは大事です。
その「覚える」プロセスを経た上で、「しっかり理解する」ことが続くのでしょう。
暗記ばかりは良くないですが、英単語等は「暗記するしかない」のです。
その意味では、「ある程度は理解力をペーパーテストで問う」のは、理解ができるでしょう。
ところが、「ペーパーテストの点数によって、子ども・青少年の能力を測る」のは、時代遅れでしょう。
偏差値と子どもたち:偏差値というレッテル
そして、大学受験に限らず、中学受験・高校受験に挑む子ども・青少年たちは「偏差値」に縛られます。
模擬試験を受けると、点数だけではなく、ご丁寧に偏差値まで教えてくれます。
あなたの四科目合計の点数の
偏差値は60です。
とか、
あなたの数学の
偏差値は55です。
などです。
この偏差値という数字が、高ければよいでしょう。
自分の学力を適切に知ることは、大事かもしれません。
その一方で、「偏差値」で序列化される子どもたち・青少年たちは、大変です。
あなたの数学の
偏差値は55です。
と言われることは、
僕の数学の
学力・レベルは55なんだ・・・
となり、いわば「偏差値というレッテル」が子どもたち・青少年たちに貼られます。
そして、この「偏差値という数」のレッテルは、大学受験では、様々な大学すべてに貼られます。
この「偏差値のレッテル」によって、大学が序列化され、
A大学X学部の
偏差値は55。
B大学X学部の
偏差値は58。
となると、同じ学部・学科で比較すると、「A大学よりもB大学の方が、良い大学」に見えます。
それが、「数字のマジック」であり、数字の持つ怖さでもあります。
共通テストの存在意義
そして、大学受験では、多くの青少年たちが「受けさせられる」共通テスト。
あのマーク式の「答えを選ぶ」テストで、「短時間で手際よく高い点数が取れる」方が「良い大学」へ入れます。
ここでの、「良い大学」とは「偏差値の高い大学」であり、大学の教育内容等は、あまり加味されません。
共通テストは基本的に廃止して、TOEIC等の試験を代用すれば良いと思います。
そして、「各大学ごとに試験を行うのが負担」であれば、一定の共通テストがあっても良いです。
ところで、わざわざ共通テストのようなテストを作る必要はないでしょう。
既存の〜検定などの試験・テストの成績をもって、代替できないでしょうか。
米国では、大学入試の方法が全面的に見直されました。
詳しくは、上記のWSJの記事をご覧ください。
今まで必須だったSATのスコアを、多くの学校が必須から外しました。
そして、試験の合格判定が多様化したため、入試倍率が急増した結果、多くの成績優秀者が不合格となったようです。
米国では昔からエッセイなどが重視されてきましたが、SATのスコアは非常に重視されてきました。
このSATという、日本の共通テストのようなペーパーテストの成績は、
別にSATの
スコアは必要ない!
と、一気に変えたのです。
さらに広がる日米の教育格差:米国の方針転換「ペーパーテスト不要」
小学校以降の教育・授業において「ディベート」が、日本よりもはるかに多い欧米の教育。
この意味では、日本の教育よりもはるかに先をいっている米国です。
この米国が「ペーパーテスト不要」へ一気に舵を切りました。
この「一気に方針転換」は、いかにも米国らしいと思います。
そして、志願者の能力と個性を見極めて、合否を判断しているのでしょう。
ひたすらペーパーテストの数字だけで、
個性など、
どうでもよい!
と言わんばかりの日本の受験制度とは大きな違いです。
この基本的姿勢が、日本と米国のイノベーションのレベルの大きな差をもたらしているのでしょう。
最近も、日本の科学者たちの地位や手当に関する問題が報道されました。
教育、とりわけ科学に対する姿勢を、大きく変化させねば、日本は立ち行かなくなるのではないでしょうか。
少子化対策と受験制度
こういうことは、「官ではなく民」が主導して行くべきかもしれません。
教育に関しては、受験制度が非常に大きな影響を持っています。
そのため、「民で出来ること」には限界があります。
「共通テストの点数」という本質的ではない、「どうでもよいこと」に振りまされる高校生・大学受験生。
もっと基本的な視点から、政府には教育を見直して欲しい。
異次元の
少子化対策だ!
自らの政策を「異次元」という時点で、どうかと思わざるを得ない日本政府と岸田総理大臣。
「異次元かどうか」「効果があるのか、ないのか」を評価するのは、別の方であります。
強烈な勢いで進む日本の少子化には、日本の受験制度は「決して無関係ではない」のです。
子どもを一生懸命育てても、日本の「良い大学」「良い高校・中学校」(偏差値の高い学校)目指すこと。
僕ね、
勉強頑張る!
もっともっと
偏差値あげなきゃ!
ああ、
頑張ってな!
しかし、偏差値という数字にいつも
追い立てられるのは、大変だろう・・・
いつもいつも「営業ノルマ」に
追い立てられるのと同じだ・・・
こんな暗記ばかりの短期的視野の
学びで、子どもは大丈夫だろうか・・・
これは、子ども・青少年たち本人だけではなく、大人も疲れます。
そして、「その先に未来が見えない」のが問題でしょう。
少子化の原因は、金銭だけではなく、「お金でサポートする」のは限界があります。
日本政府は、この「丸暗記一辺倒」で「ペーパーテスト主体」の受験制度改革にも着手すべきでしょう。
「子どもたちに、日本の明るい未来を見せる」ために。
次回は上記リンクです。