史上最高値の米国株と日本株〜「預金から株へ」の異常な勢い・年内利下げを目論むFRB・米国らしい合理的発想・米CPIの行方〜|世界経済・戦略

前回は「異常な「円安誘導」続ける日銀〜日本国を安売りして株価暴騰誘導・全員東大卒の日銀総裁と副総裁・多様性ゼロの組織・「影響力が強い」日銀総裁と副総裁〜」の話でした。

目次

年内利下げを目論むFRB:米国らしい合理的発想

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左上から時計回りにPowell FRB議長、Christine Lagarde欧州中央銀行(ECB)総裁、Andrew Bailey英国中央銀行総裁、植田和男 日銀総裁(Wikipedia)

パウエルFRB議長が、「年内利下げの方向性」を証言しました。

年内の利下げが適切とする
FRBの予想は変わらない・・・

と「従来の方針」を堅持する方向を明確にしました。

その一方で、

インフレが持続的に鈍化している証拠を
さらに確認したい・・・

として、「インフレの鈍化確認」が前提であることをハッキリ証言しました。

このパウエル発言は、大方の予想通りです。

一方で、「証拠を確認しなければ利下げしない」という米国的合理性を明示しました。

この「証拠確認後の実行」を、ハッキリ伝えた意味は大きいと考えます。

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日米欧の政策金利(Bloomberg)

2023年に猛烈な勢いで政策金利を上昇させたFRB。

2005年頃も、同様に強い勢いで利上げしましたが、その直後にリーマンショックが起きました。

その結果、「金利を急速上昇させて、すぐに急速降下」させた歴史があります。

このように、ジェットコースターのように金利を操るFRB。

我がFRBが米国経済の
行方を握っているのだ!

という強い信念を感じます。

米CPIの行方

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米CPI推移:2015年-2024年(The Wall Street Journal)

2022年に強烈な勢いで上昇を続けた米CPI。

最も大きい上昇は9%ほどに達し、異常事態を超えて非常事態となりました。

このCPIの伸びは
絶対に抑えねばならない!

と考えた、FRBは猛烈な勢いで政策金利を上昇させて、CPIは急速に低下しました。

それでも、「目標の2%」を上回り、直近の2024年1月は「3.1%の上昇」となりました。

この「3.1%」は「市場予想の2.9%」をわずかに上回りましたが、

CPIの急速な上昇は
抑えたが・・・

まだまだ、CPIの上昇は
予想を上回っている・・・

という状況が、現実です。

この中、

インフレが、今後
持続的に鈍化するかどうか・・・

その方向性をハッキリ
確認後に、利下げする!

と方針を明確にしたことに対して、市場関係者は

CPIの方向性次第で、
金利が変わることが確実になった・・・

と受け止めることになり、「方針がより明確になった」ことになります。

一方で、まだまだ強い伸びを見せている米CPI。

インフレが持続的に鈍化して「2%上昇」になるには、最も良い方向で2024年末頃と思われます。

史上最高値の米国株と日本株:「預金から株へ」の異常な勢い

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日経平均株価推移(社会実情データ図録)

FRBによる急速な金利引き上げによって、2022年に大きく下落した米国株。

AIバブルの雰囲気もある中、2023年から急速に復活しました。

そして、2024年3月現在「史上最高値」を更新し続けている米国株。

米国株上昇に引っ張られる形に、米中対立による中国の低下などの要因が同時に起きた日本。

日本株は、2024年初頭から異常な勢いで上昇を続け、

これはいくらなんでも
上昇が急すぎる・・・

そろそろ調整が入って、
一時下落になるだろう・・・

多くの方が株高を喜ぶ中、慎重な姿勢を保ちました。

ところが、そうした「下落の懸念」を暴風の如く吹き飛ばして、急進を続けているのが日本株です。

日経平均急上昇に吹いている4つの「強烈な追い風」

・米中対立による「日本の存在」急浮上

・AIバブル

・新NISAによる「日本人の貯蓄から投資へ」の流れ

・「異常や円安」による外国勢の買い

バブル最盛期の1988年〜1989年を超える勢いで上昇を続けている日本株。

どう考えても、「そろそろ一時的に調整が入り、10%程度は下落する」はずです。

ところが、「大きく下落する気配」すら感じられない日本株。

この「大躍進する日本株」の背景には、異常な円安と日本企業の再評価もあります。

これらの要因も大きいですが、「新NISAの影響」が甚大と考えます。

2024年2月末現在で、東証の全ての株式の時価総額合計が940兆円ほどです。

対して、日本の個人金融資産は2100兆円を超えて、2023年は「55%程が銀行預金」でした。

つまり、2023年末時点で「国内の個人金融資産の1200兆円ほどが銀行預金」だった日本。

ここで、日本の金融資産がわずかに株に流れ込むだけで、株価は高騰するのが必然です。

この急速な「預金から株へ」の方向は、日本の国家の姿も変える影響があり、良い方向です。

一方で、「預金から株へ」の勢いが少し急すぎるのは大きな懸念です。

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薩英戦争 歴史道vol.6(朝日新聞出版)

幕末に当時の大英帝国(英国)と戦争した、薩摩。

その後、一転して「大英帝国と同盟・協調体制」へ一気に転化させて、討幕に至りました。

第二次世界大戦後も「一気に変化・転化する」ことが得意な日本人。

一方で、この「一気に変化」は良い面とそうでない面があります。

この「預金から株へ」の異常な勢いが、2024年以降の日本にどのような影響を与えるか。

「変わらない日本」と言われる日本が「大きく変わりつつある」こと。

それは、とても好ましいことではあります。

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万里の長城(新地球紀行)

「中国減速」から海外資本が大きく日本株に流れ込んでいる状況が、今後どう変わるかも大きな要素です。

いずれにしても、「良い要素」がありすぎる日本株。

円安とインフレもあり、多少の調整があるも、もう少し堅調が続きそうにも見受けられます。

一方で、中国の不動産などの大バブル崩壊は、深刻な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、ウクライナやガザでの大戦争が継続する中、不安材料は山のようにあります。

あまりに急ピッチで「上がり過ぎた」日本株は、

Japanに大量のMoneyが
流れている・・・

ここは、上手く
空売り仕掛けて、利益とってやろうか!

海外勢のある勢力の投機的思惑によって、一時的に大きな下落がある可能性が一定以上あると考えます。

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