前回は「「通貨の司令官」であるべき中央銀行総裁〜プロ意識が強い海外中央銀行総裁たち「通貨の番人」である日銀の怠慢・「何もしない」気楽な番人・危険な円安水準と高騰する日経平均〜」の話でした。
「影響力が強い」日銀総裁と副総裁
日本円の根幹を握っている日本銀行。
そして、近年異常な速さで円安が進んでいます。
日本銀行の幹部が、
ゼロ金利を解除しても
当面緩和を続けます・・・
と話したら日経平均が暴騰しました。
何か言葉に発するだけで、株式市場や為替に甚大な影響を与える存在の日銀幹部。
いわば、日本円だけではなく「日本という国家を背負っている方々」と言えるでしょう。
・総裁:1名
・副総裁:2名
・理事:6名
日銀の政策運営は総裁・副総裁・理事の9名の方々の合議制です。
とは言っても、当然のことながら総裁が最も強いのは当然であり、ついで副総裁の2名が続きます。
先に紹介した、
ゼロ金利を解除しても
当面緩和を続けます・・・
は内田日銀副総裁が言い放った言葉ですが、
日銀副総裁が
「緩和を続ける」と言っている!
ということは、
当面日本の金利は上がらないな!
と市場は判断しました。
それだけ「影響力が強い」のが日銀総裁と副総裁というポジションです。
全員東大卒の日銀総裁と副総裁:多様性ゼロの組織
2024年2月現在の日銀総裁と日銀副総裁は、どのような方々でしょうか。
名前 | 出身大学 | 職歴 |
植田和男 | 東京大学理学部・経済学部 | 東京大学経済学部教授 |
内田眞一 | 東京大学法学部 | 日本銀行 |
氷見野良三 | 東京大学法学部 | 大蔵省(財務省)・金融庁 |
なんと、全員東大卒です。
学部はバラけていますが、3名中2名が東大法学部卒で「法学部が強い」印象があります。
そして、特徴的なのは3人とも揃って「学者か管理する側の立場の出身」であることです。
つまり、実際にビジネス経験や会社を運営した経験が「ゼロ」ということになります。
米国のパウエルFRB議長は、
かつて、ディロン・リード&カンパニーの
上席役員をした経験がある・・・
そして、カーライル・グループ共同経営者の
経験もある・・・
実に様々なビジネス経験があります。
つまり、理論ばかりではなく実践でビジネスの最前線に立ったことがあるのがパウエル議長です。
対して、日銀の植田総裁は、
私はビジネス経験はないが、
高度な学びをずっとしてきた!
経済理論なら
私の右に出るものはいない!
まさに「机の上のこと」ならば、抜群の自信があるようです。
ところが、何事も「実務は理論通りにはいかない」のが実社会です。
世の中で「多様性向上」が叫ばれている中、全員が東大卒という異常な共通性を持つ日銀総裁と副総裁。
これが歪であるのは、論を待たないでしょう。
異常な「円安誘導」続ける日銀:日本国を安売りして株価暴騰誘導
そして、この「机上の空論家」たちが推進しているのが、異常な円安誘導です。
円高に触れそうになると、それらの要素を片っ端から叩き潰します。
とにかく
円安なのだ!
円安こそが
日本にとって最高!
どんな経済理論によるのかは知りませんが、「円安は最高」と信じているのが日銀幹部たちのようです。
ところが、この「通貨を安くする」ことは、「国家を安売りする」ことに他なりません。
何事も「安売りする」のは最後の手段であります。
特にビジネスにおいては「値決め」は最も重要なことの一つであり、「値段を下げる」のは最終手段であるべきです。
値段を下げれば、「薄利多売」と言っても限界があり、いくらビジネスを広げても利益が上がりません。
この中、異常な円安誘導を続けている日銀幹部たち。
それは「彼らの持論」によるのかもしれませんが、円安によって株価暴騰を誘導しているようにも思えます。
実際、「円安になると日経平均株価が上がる」という明確な相関関係が見受けられます。
それは、「円安になると、ドル建てて日経平均株価が安くなる」ことが最大の理由です。
国家の勢いが衰えた中、まだまだ優良企業が多数ある日本。
日本企業の株価は
まだまだ割安!
とう声もあり、それに筆者も一部同意しますが、「円安による株価上昇の誘導」は頂けません。
結果として「円建てで株価上昇」しても「日本の国家が安くなっている」のでは、何の意味もないです。
これは、支持率が下がっている岸田内閣の意向か、内閣に対する忖度のようにも感じられます。
円安を誘導して株価を上昇させて、「日経平均バブル超え」となれば、
岸田内閣の支持率が
回復するのでは・・・
という意思があるとも考えます。
いずれにしても、日本という国家を安売りし続けている「ビジネスど素人」の日銀総裁・副総裁。
日本という「国家を背負っている」という強い認識を持って頂きたいものです。