偽造書類を証拠として認める裁判所と裁判官〜裁判官が考える「正しそうなストーリー」・国民が考える裁判所の役割・問われる裁判官の責務〜|建築裁判・不動産裁判

前回は「堂々と偽造書類を裁判所へ提出する東証上場ゼネコン・総合建設業者〜とても大事な工程表・年間工程表と月間工程表と週間工程表・重要な証拠を提出する者は「第三者」なのか?〜」の話でした。

目次

国民が考える裁判所の役割:問われる裁判官の責務

新地球紀行
東京地方裁判所(新地球紀行)

一般的な国民にとって「縁が遠い」存在である裁判所。

「訴訟社会」と言われ、「何かと弁護士が登場する」と言われる米国。

この米国と比較すると、日本では裁判は非常に少ないのが実情です。

「裁判所がある」ということは認識していても、普通の方は「裁判所と関わる」ことは非常に稀です。

何かトラブルがあるとしても、なかなか訴訟にはいかないのが日本。

これは、日本社会の「良い面であり、悪い面でもある」かもしれません。

筆者は建築裁判のコンサルティングに関わるまでは、弁護士や検察の友人がいるのみで、

裁判所と
言われても、縁遠い存在だ・・・

と考えていたのが本音でした。

そもそも、一般の方にとって「裁判所」はどのような役割をする組織でしょうか。

多くの方が、

当事者の訴訟・揉め事の
正当性を判断して、判決を下す場・・・

訴訟に対して、様々な証拠などを
元に正しいことを判断して、問題を解決する場・・・

こういう意見が多いと考えます。

筆者も一昔前までは、このような考えを持っていましたが、実情はどうやら違うようです。

本来であれば、様々な訴訟・揉め事に対して、

この訴訟は、
原告の方に問題があるから、棄却する!

とか、

この訴訟は、確かに
被告の方に問題があるから、被告を〜円を支払え!

と「裁判官が事情・状況を精査して、正当性を判断し判決下す」と考えるのが当然と考えます。

それこそが、裁判所の役割であり、裁判官の責務であると考えます。

裁判官が考える「正しそうなストーリー」

新地球紀行
工事現場(新地球紀行)

本来は「正しいこと」や「正当性」を裁判所、裁判官には判断して欲しいものです。

ところが、建築裁判・不動産裁判における裁判官の裁判指揮を見ていると、実態は異なると考えます。

どう考えても、「正当性を判断しよう」としているとは考えにくいのが実情です。

これは、建築裁判の特殊性であるかも知れず、他の民事・刑事事件では異なるかも知れません。

「正当性を判断する」ためには、少なくとも「証拠や書証が正しい」必要があります。

それは、「係争中の案件の正当性の判断」には、証拠や書証が最も重要であるからです。

ところが、実際に裁判では、

原告は、〜のような被害を
受けたので、損害賠償請求する!

その理由は〜であり、
証拠・書証は添付のとおり!

と原告代理人の弁護士の主張に対して、

原告の主張は分かりました。
それでは被告は反論ありますか?

被告は反論しますので、
次回書面で提出します。

それでは次回に反論して下さい。
次回期日は・・・

と裁判は「粛々と進行してゆく」ことが多いです。

そして、次回期日(裁判)において、被告代理人は、様々な証拠や書証を元に、

被告は、原告の〜という主張に対して、
〜と反論します!

と論を展開します。

このように、双方が「主張=言いたいこと」を繰り返すのが「裁判の実態」です。

これは、弁護士や裁判官など法曹関係の方から見れば、

主張を繰り返すのは
当然だろう・・・

と考えるかも知れません。

ところが、この「主張を繰り返す」ことと「真実が浮き彫りになる」ことは別と考えます。

このように、双方が主張を繰り返し、多くの場合で2年〜3年ほどがすぐに経過します。

その中、裁判官は色々と考えて、

どうも原告のストーリーの方が
正しそうだな・・・

と考えれば、「原告側に有利な和解案」を提示します。

裁判官提示の和解案でまとまれば、それで終了しますが、まとまらなければ継続します。

このように、裁判の場は「真実を明らかにする」ではなく「正しそうなストーリー判断」となります。

偽造書類を証拠として認める裁判所と裁判官

新地球紀行
建築工事・年間工程表(新地球紀行)

この「正しそうなストーリー」を裁判所・裁判官が判断するのは、一面正当性があります。

実に多岐にわたる様々な裁判が行われ、一人の裁判官が「100以上の裁判を抱える」事態もあると聞きます。

「100以上もの裁判」があり、それぞれに膨大な書類がある中、

警察でもないのに、
真実など分かるはずがないだろう・・・

我々の役目と責務は、
提出された書面を元に、真実性を判断すること!

であるかも知れません。

仮に裁判所と裁判官がこのように考えているならば、それはそれで一定の理解が出来ます。

ところが、「提出された書面を元に判断」する場合に、大きな問題を孕んでいます。

それは、「提出された書面」の中に「偽造された書面」が多数見受けられることです。

「提出された書証・証拠が正しいかどうか」を審査した上で、裁判所・裁判官は判断すべきであるのに、

提出された書証・証拠を是として
進めなければ、裁判は進まない・・・

というのが裁判所・裁判官の姿勢です。

建築裁判において、筆者が「明らかに偽造書類であり、合理性がゼロ」と判断して、

この書面は、〜法に明確に違反しており、
〜の理由から合理性がないので、偽造です!

と意見書等で主張しても、裁判官は、

それは一建築士の
意見であって・・・

と考えるのか、「ほとんど重視しない」傾向があります。

現実問題として、

裁判に提出された書証・証拠を
偽造と言われても・・・

証拠を偽造と認定することは
裁判所として難しい・・・

という気持ちがあるのでしょう。

これは、「法の総本山」である裁判所の立場としては理解できなくはないです。

一方で、「専門家が偽造の疑いあり」と指摘した書証に対しては、少なくとも、

被告側の専門家が
この書証を偽造と主張していますが、反論はありますか?

とハッキリと相手側の代理人に指示をして欲しいものです。

そして、その双方の主張を聞いた上で、

この書証は
正当なものなのか、偽造なのか?

を「裁判官として判断」することは必要でしょう。

このように「書証の正当性」が「置き去りにされがち」なのが、裁判の実態です。

裁判所・裁判官には「訴訟の正当性の判断」の前に、「書証・証拠の正当性の判断」をして欲しいと考えます。

それを「全て行うのは不可能」だとしても、どちらかから疑義が呈された書類に対しては、

しっかりと
「書証・証拠の正当性」を判断しよう!

と考えるべきでしょう。

この「偽造書証・証拠」の作成には、様々な「第三者」が関わっている場合があります。

この時、裁判所としては、

「偽造書証・証拠」の作成に
関わった「第三者」は「単なる第三者」ではない!

関わった「第三者」は、積極的に裁判に関与している以上、
一定の法的責務を負う!

とハッキリとした姿勢を明確にすべきと考えます。

そうではない、現行の「偽造書証・証拠が跳梁跋扈する」裁判制度では、適正な裁判は不可能と考えます。

新地球紀行

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