「通貨の司令官」であるべき中央銀行総裁〜プロ意識が強い海外中央銀行総裁たち「通貨の番人」である日銀の怠慢・「何もしない」気楽な番人・危険な円安水準と高騰する日経平均〜|世界経済・戦略

前回は「世界と逆行する日銀の発想〜「経済の舵取り」の認識が強いFRB・「経済の真のプロ」のパウエル議長と「学者中の学者」の植田総裁・優れた学者を崇拝する傾向が強い日本・全く無能だった「作戦の神様」〜」の話でした。

目次

「通貨の番人」である日銀の怠慢:「何もしない」気楽な番人

新地球紀行
日本銀行(Wikipedia)

「通貨の番人」と呼ばれる日本の中央銀行である日本銀行。

日銀の司令塔である幹部は9名います。

日本銀行幹部

・総裁:1名

・副総裁:2名

・理事:6名

そして、この9名の合議制で政策金利などの大事な方針を決定します。

新地球紀行
日米欧の政策金利(Bloomberg)

ところが、FRBやECBと全く日銀が異なる点があります。

それは、「政策金利をほとんど変えない」ことです。

新地球紀行
Jerome Powell FRB議長(Wikipedia)

インフレが非常に強いので、
金利を急速に引き上げる!

近年の米国消費者物価指数CPIの強烈な上昇を受けて、パウエルFRB議長は急速に利上げしました。

俺たちが司令塔となって
このインフレを退治するのだ!

政策金利の決定こそが、
極めて大事なのだ!

過去においてもFRBは急速に金利を引き上げたり、引き下げたりしています。

俺たちFRBが米ドルを
守っているのだ!

新地球紀行
植田和男 日本銀行総裁(Wikipedia)

対して、歴代の日銀総裁や理事たちは、

私たちは「通貨の番人」だから、
じっと番人として見守っています・・・

ということなのか、FRBやECBと比較すると「何もしていない」とも言える状況です。

状況を注視して、
しっかり番人をしています・・・

確かに「番人」なので「何事もなければ、見守っていること」が仕事かもしれません。

「何もしない」のが
私たちの仕事!

ところが、この四半世紀=25年の間、「何もない」ことは絶対にありません。

現に2020年の新型コロナ発生以降の4年ほどの間だけでも、世界は激動しています。

そして、日本円もドルも激しいインフレを迎えています。

実際は「激しいインフレが発生」しているのに、

何も起きていないから
万事OK!

私たちは、
しっかり見守っています!

日本国内においても強いインフレ傾向にあるのに、「何も起きていない」と考えているようです。

何も起きていないから、
何もしません!

つまり「何もしない」ことが仕事である「気楽な番人」たちのようです。

これが仕事であり、一般的な基準と比較して莫大な報酬を手にしている日銀幹部たち。

「通貨の司令官」であるべき中央銀行総裁:プロ意識が強い海外中央銀行総裁たち

新地球紀行
Christine Lagarde欧州中央銀行(ECB)総裁(Wikipedia)

この「仕事をしない番人」である日銀総裁に対して、

過度な期待は、
インフレとの戦いに役立たない!

早期の利下げは
しないだろう!

「通貨の番人」ではなく「通貨の司令官」という認識が強いChristine Lagarde欧州中央銀行(ECB)総裁。

ハッキリと様々な方針を明確にしています。

方針は状況によって変化することがあっても良いので、現時点の方針を発信することは大事です。

・・・・・

対して「沈黙は金」とばかり、あまり発信しない日銀総裁。

そろそろ
日銀は利上げするのでは・・・

これに対して、市場は日銀総裁たちの「心のうち」を推し測って、金融市場が動きます。

物価の安定と雇用の最大化は、
我々の使命!

特に物価の安定と
適切な為替の維持が重要だ!

日本銀行の幹部の方々も「通貨の番人」ではなく「通貨の司令官」というプロ意識を持って欲しい。

危険な円安水準と高騰する日経平均

新地球紀行
ドル円相場2000年-2024年(日銀のデータをもとに筆者作成)

上のグラフは2000年から現在2024年1月までのドル円相場の変遷です。

2012年には、1ドル80円を切っていたドル円相場。

2022年頃から猛烈な勢いで円安が進み、現在では1ドル150円ほどです。

新地球紀行
ドル円相場2020年-2024年(日銀のデータをもとに筆者作成)

2020年以降に限ると、上のようなグラフになり、2022年4月以降に急速な円安が進んだのが分かります。

その後、一度は円高傾向になりましたが、再度円安傾向になりました。

円安は構わない・・・
むしろ歓迎!

と考えているとしか思えない日銀総裁や幹部たち。

この円安傾向に押された形で、最近日経平均株価が急上昇しています。

ところが、ドルで考えれば、日経平均上昇は「即座に喜ぶべき状況」ではないことが分かります。

1ドル140円から、5%円安になった1ドル147円になった時点の日経平均株価を考えます。

日本国内限定の視点であれば、

株価が上がって、
日本企業が評価されている!

となりますが、「世界の視点」で考えれば「日経平均も5%上昇」は当然と考えて良いでしょう。

バブル期以降、日本という国家の力が縮小する一方であるとしても、現在の1ドル150円程度の円安は危険です。

世界の視点で考えれば、自国通貨が安くなって「良いことは何もない」のは考えなくても分かるはずです。

自国通貨下落を「見守る」だけの日銀幹部たちは、「仕事をしていない」と考えるのが真っ当でしょう。

少なくとも、日銀幹部たちには「通貨の番人」ではなく「通貨の司令官」というプロ意識を持って欲しい。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次