前回は「オーストリアの交渉」の話でした。
ゼレンスキー大統領が米CBSの単独インタビューに応じました。

ロシア軍に猛烈な攻撃を受け、国民・国土共に非常に大きな損失が出ている中、「ロシアに領土割譲は認めない」とハッキリと主張しました。

その一方で「交渉の議題に上がることは分かっている」とロシアが領土割譲を交渉議題に挙げてくることをはっきりと認めています。
つまり「ロシアが交渉議題に挙げてくる以上、交渉はするが私たちの立場は『割譲を認めない』立場だ」と言うことです。

日本の外交下手・交渉下手とは対局にあるような感じです。
と言うよりも、世界においてはこれが「当たり前」でしょう。
すぐに感情的になる日本はレベルが低くて、「まともにディベートもネゴシエーションも出来ない」のでしょう。
受け入れられない交渉事が出てくると、ただ突っぱねる日本。
かつて、第二次世界大戦末期に連合国からポツダム宣言が出された時、時の鈴木貫太郎首相は日本国内の情勢に配慮して「黙殺する」と発言しました。
この「黙殺発言」は、海外には”Japan ignores・・・”と「日本が無視した」と伝わります。
外電に”Japan rejects・・・”と「日本が拒否した」と伝わったケースすらあるようです。
交渉で「無視」されては話し合いも何もありません。
これは連合国に「格好の口実」を与えることになり、「米国の原爆投下」及び「ソ連の日ソ不可侵条約の一方的破棄・侵攻」に繋がりました。
この「無視」は、トルーマン大統領の原爆投下許可サイン後であり、「無視しようが結果は変わらなかった」と言う意見もありますが、「口実を与えたこと」は極めて大きなことです。
戦争状態にあったとはいえ、「無視せずに、何はともあれ、交渉を行う」と言う姿勢を日本が見せれば、合理的思考で民主主義国である米国は「原爆投下を中止」したかもしれないのです。
ソ連は無視しても交渉しても「変わらなかったのが事実」でしょうが、国際政治において「口実を与える」ことは避けねばならないです。
対して、最も「交渉力が高い」英国。
ジョンソン英首相、トラス外相の世界を股にかけた「獅子奮迅の外交交渉」がロシアに対する包囲網を構築しています。


この中、ウクライナ侵攻の一つの理由であった「NATO加盟申請」をフィンランドとスウェーデンが行う方針である報道が出ました。

もちろん、ロシアは猛反発です。
フィンランドはロシアとの戦争に敗北し、長らくロシアの一部となっていた歴史があります。
正式に独立したのは1917年で、領土大好きなロシアにとっては「そもそもフィンランドはロシア」ということでしょう。
女性進出が極めて進んでいるフィンランド。

マリン首相は1985年生まれの36歳です。
若いと言うより「若すぎる」のですが、すごい国です。
拡大を続けるNATOは1997年以降に、一気に東に広がってゆきました。

「NATO拡大を止めなければ」と考えるロシア。
今、このタイミングでフィンランドとスウェーデンが加盟申請を明らかにしたのは、大きな意味を持ちます。
対して、日米安全保障条約で「米国に守られ、支配下にある」日本。
地理的条件で、西側の中でNATOグローバル・パートナーに留まる日本。
AUKUSなどを積極的に活用して、国際舞台で発言力を強めて欲しいと考えます。