美しくない日本の都市景観〜建築・都市の美観と防災性・首都高地中化プロジェクトと未来の日本・「規則ですから」に終始する東京電力との協議・電柱の必要性と東京電力の姿勢〜|都市問題

前回は「未熟な日本の都市景観〜電柱が支配する都市と街並・増加する日本の電柱の本数・景観と防災の大問題・醜く危険な柱上変圧器〜|都市問題」の話でした。

目次

美しくない日本の都市景観:電柱の必要性と東京電力の姿勢

新地球紀行
工事現場(新地球紀行)

僕は建築設計の仕事しています。

過去に集合住宅(マンション)を設計した際、東京電力と新築建物の配電に関する協議する機会がありました。

その時、

この集合住宅に配電するには、
電柱を新設する必要があります・・・

と言われて、驚きました。

思わず、

えっ、
なぜですか?

と聞き返してしまいました。

大規模な集合住宅ならまだ「電柱新設」は分かります。

例えば、三井不動産や野村不動産などの大手不動産業者が展開するような大規模なマンションなど。

ところが、僕たちが設計した集合住宅・マンションは6階建で、25戸ほどの規模です。

「大規模」ではないのですが、

新しい電柱が、
必要です・・・

とのことです。

「規則ですから」に終始する東京電力との協議

京都(新地球紀行)

これには困りました。

僕は

電柱を減らす方向なのに、
なぜわざわざ新設するんですか?

周りにも既存の電柱があるので、
なんとか新設せずに配電できる方策を考えて頂けませんか。

と、「検討すること」を東電担当者にお願いしました。

ところが、担当者の回答は

規則
ですから・・・

で終わりです。

電柱本数の推移(国土交通省)

このように役所や役所に類する機関との協議は、「話し合いにならない」で「却下」が多いです。

少しは前向きに考えて欲しいです。

粘り強く何度も何度も

なんとか、
電柱を新設しないで欲しい・・・

既存のインフラで、
配電できるようにしていただけませんか?

と依頼しましたが、どうにもなりません。

規則
ですから・・・

で終わりです。

結局、新しく建築した集合住宅のすぐ脇に「新たな電柱」を、設置せざるを得ませんでした。

建築・都市の美観と防災性:首都高地中化プロジェクトと未来の日本

松山(新地球紀行)

せっかく外観も綺麗に設計したのに、すぐ隣に「この建築のために、新設した電柱」が建ちました。

・・・・・

なんだか、すごく複雑な気持ちになりました。

完成した後に見てみても、やっぱり不自然というか、なんというか。

電柱と電線があるだけで、建築の外観の美観は大きく損なわれてしまいます。

そして、電柱があることは「高圧電流が上空を舞っている」ことになります。

そして、鉄筋コンクリートの太い棒である電柱。

日本のように地震が多く、大震災も想定される国では、「大変危険なもの」であります。

新地球紀行
東京(新地球紀行)

小泉内閣の時に、

日本橋を
復活させよう!

と日本橋周辺の首都高を「地下化する」ことが真剣に検討されました。

そして、今はその工事が進行しています。

2040年完成に向けて、少しずつ首都高の「地下化」が進められています。

このことは、大変良いことです。

できれば、もう少し工事を急いで、2030年頃に完成してくれれば尚良いです。

「首都高を運営しながら」なので、時間がかかるのはやむを得ません。

一方で、もう少し思い切ってやって欲しい。

行政の権限で、首都高を一時的にストップさせても良いでしょう。

超高齢化・少子化が異常なスピードで進行する日本。

17年後の2040年には、どうなっているのでしょうか。

少しずつ動いている「電柱地中化」ですが、まずは少しでも都内の電柱を地中化して欲しいと思います。

London(新地球紀行)

まず「電柱新設」は、極力控えて欲しいと思います。

そして、東京電力など電力を支える各社の担当者も、

規則
ですから・・・

と言う前に「考える余地」が欲しい。

「上手く配電できないか」を。

そして、担当者がきちんと考えるシステムにして欲しいです。

その上で景観・防災の観点から、きちんと予算をつけて欲しい。

そして、既存の電柱の地中化を今まで以上に進めて欲しいと思います。

熊本(新地球紀行)

電柱は「倒れないように建てている」はずです。

阪神淡路大震災の時、高速道路の高架がバタンと倒れた衝撃的な写真・映像が世界中を駆け巡りました。

大震災の際に電柱が倒れたり、上部のトランスが落ちてくることは「十分に想定されること」です。

無電柱化には大きな費用がかかりますが、防災にも大きく貢献します。

国土強靭化にもつながるので、ぜひ予算をつけて具体的に対処して欲しいです。

様々な地域で、大規模な再開発工事が進んでいる東京。

再開発の際には、周辺の電柱は地中化されるケースが多いと思いでしょう。

ところが、「再開発の対象にはならない」エリア、普通の住宅地もたくさんあります。

沢山ある電柱を出来るだけ早く、出来るだけ多く地中化することが大事です。

このままでは22世紀になった時も、日本の街のこの景観は変化がなさそうです。

「変わらないで、醜さそのまま」の日本の街になりそうな気がします。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次