前回は「最後通牒のタイミングの攻防〜「ギリギリ」と「攻撃前」と・野村吉三郎米国大使の超重大な任務・海軍仲間と安心した山本長官〜」の話でした。
緊張感みなぎっていた欧米首脳陣:独ソ戦開始とドイツの戦線拡大

第二次世界大戦が1939年に勃発し、世界中が混迷を極めていた1941年12月。

世界を我が手に!
まずはEurope全土を我が手に!
欧州では、ヒトラー率いるドイツ軍が猛烈な勢いを持っていました。


前年である1940年9月27日に調印を迎えた、日独伊三国軍事同盟。
日本の視線から見れば、「日独伊三国軍事同盟」ですが、世界から見れば、



JapanとMussoliniが
Hitler側についたか・・・
「ヒトラー率いるドイツに、日本とムッソリーニ率いるイタリアがくっついた」という印象でした。
ヒトラーの発想としては、



さっさとUnited Kingdom(大英帝国)を
屈服させたい・・・



なぜJapanは、早々に我が戦いに
参戦しないのか・・・



JapanはChinaでばかり
戦っているが、こっちに来てもらいたいのだ・・・
猛烈な勢いのHitlerといえど、欧州全土を戦場にしていたドイツは、戦線を広げ過ぎていました。



さらに、Russiaへも
攻め込むぞ!



まさか・・・
Germanyは強すぎる・・・
勢いに乗ってソ連にも攻め込み、まさに「全方位での戦い」を繰り広げていたドイツ軍。


後世の視点から見れば、このドイツ軍の勢いが「続くはずがない」です。
一方で、当時は猛烈な勢いのドイツ軍に対して、日本国内では、



このままでは、早晩ドイツが
全欧州を占領するだろう!



我が軍も、早々に対米戦に
乗り込んで、バスに乗り遅れるな!
こういう勢いが強い中、対米戦と対米融和で揺らいでいた日本。
そして、1941年11月26日にハル・ノートが出てきて、日米交渉は「ジ・エンド」となりました。
異様に楽観的だった野村米大使と大使館員:対米戦決定の御前会議


そして、1941年12月1日開催の御前会議で、正式に「対米戦開始」が決定されました。
1941年12月8日に予定した真珠湾奇襲攻撃の「わずか一週間」でした。
「事実上決まっていた」とはいえ、少し「遅すぎる決定」ではありました。





いよいよ、米国と
戦争か!



我が陸軍は
中国から南へ向かう!



真珠湾奇襲攻撃は
乾坤一擲の大作戦!



米国に勝つには、
この奇襲攻撃しかないのだ!
このように、世界中の首脳が緊張感がみなぎっていたのが、1941年12月1日以降の状況でした。
対米戦が決定し、真珠湾奇襲攻撃に向かう第一航空艦隊。


後世、「真珠湾奇襲攻撃」と呼ばれる「誰も想像しなかった」空母六隻による大奇襲攻撃。
この「前代未聞の大奇襲攻撃」を考え、「実行に移した」というより「強行した」のが山本長官でした。



本当は、私自身が一航艦(第一航空艦隊)長官と
なって、ハワイに乗り込みたいくらいだ・・・
山本長官の真珠湾奇襲攻撃にかける思いを、上記リンクでご紹介しています。



奇襲攻撃を
断固敢行する!



だが、必ず事前に
最後通牒を出してもらいたい!
「奇襲」ですが、「最後通牒後」であることを「絶対条件」としていた山本長官。



武士が寝込みを襲うとしても、
枕を蹴り上げてからでなければ・・・



相手が寝ている状況で
切りかかるようなことをしてはならん!





河井先生のように
堂々と武士のように戦うのだ!
故郷・長岡の大先輩であり、幕末維新の時期に官軍と死闘を繰り広げた河井継之助。
わずか七万四千石の小藩である長岡藩を率いて、



何が「官軍」
なのだ?



お前たちは「薩摩と長州一派」
だろう!
どう考えても「分が悪い」戦争を戦い抜いた「将軍」だったのが河井でした。
その河井を尊敬したのが、山本長官でした。



必ず、必ず
宣戦布告は奇襲攻撃の前に!



「寝込みを襲う」ようなことは
世界の不評を買ってしまうな!



必ず三十分前に
米国に宣戦布告を!
日本の陸海軍首脳がボルテージあげて、テンションが絶頂になっていました。
ところが、野村米大使及び大使館員たちは、反対にのんびりした空気でした。





本国は米国と
戦争するようだ・・



一生懸命、日米交渉して
きたのに・・・
最初からハル長官に「見限られていた」と思われる日米交渉。
対して、何度も案を練り直して「日米交渉を進めていた」つもりになっていた野村大使。





まあ、なんとか
なるのでは・・・



ひょっとしたら、また
交渉になるかもしれないし・・・
なんとなく「緩い感じ」が続く米大使館の雰囲気は、緊張感のかけらもない状況でした。
この本国と米大使館の「謎の巨大な感覚のズレ」は、一種異様な状況でした。
次回は上記リンクです。