前回は「リメンバー・パール・ハーバー 8〜彷徨う人事〜」の話でした。

悩む山本長官。
最も相応しいのは、空母の専門家である小沢治三郎でした。
経歴的にも能力的にも、小沢が最も第一航空艦隊司令長官に相応しいのは。自明でした。

海軍の人事権を握る及川海軍大臣。

及川海軍大臣は、

ダメだ!



指揮官は南雲!
及川古志郎 海軍大臣は海軍兵学校31期卒業で、山本長官の一つ上に当たります。
大変熱心な読書家で、中国の古典をよく読んでいました。
考え方は、非常に保守的でした。
そして、かつては海軍兵学校校長を務めていました。
まさに「校長先生」にうってつけの及川古志郎は、顔つきからして、「軍人らしくない」です。


及川海軍大臣が海軍兵学校校長を務める以前に、永野修身軍令部総長が海軍兵学校校長を務めていました。
永野は海軍兵学校28期を、次席卒業した優等生です。
そして、永野が進めていた改革案を、及川は継承した人物でした。



及川は、私の言うことをよく聞く。



先輩を立てることを、よくわかっている。
つまり、及川大臣と永野総長は非常に仲の良い関係でした。
真珠湾作戦計画をゴリ押しした山本長官に対して、永野は及川に相談していたでしょう。



山本が強情でさ・・・



山本も困ったものですな。
山本のゴリ押しを「どう扱うか」と悩み、永野総長と及川大臣は、色々と話し合ったでしょう。
永野総長は山本に折れましたが、及川大臣は山本に対して絶対に折れません。



みんな海軍兵学校の同窓生なんだ!



学校の上下関係は、一生変わらないだろう!
及川大臣が折れない理由があったのです。
当時、日本海軍における「軍令承行令」という絶対に破ることは認められない不文律があったからでした。

