リメンバー・パール・ハーバー 9〜山本長官の先輩たち〜

前回は「リメンバー・パール・ハーバー 8〜彷徨う人事〜」の話でした。

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山本五十六(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

悩む山本長官。

最も相応しいのは、空母の専門家である小沢治三郎でした。

経歴的にも能力的にも、小沢が最も第一航空艦隊司令長官に相応しいのは。自明でした。

小沢治三郎 南遣艦隊司令長官(別冊歴史読本 戦記シリーズNo.65 「空母機動部隊」新人物往来社)

海軍の人事権を握る及川海軍大臣。

及川古志郎 海軍大臣(Wikipedia)

及川海軍大臣は、

ダメだ!

指揮官は南雲!

及川古志郎 海軍大臣は海軍兵学校31期卒業で、山本長官の一つ上に当たります。

大変熱心な読書家で、中国の古典をよく読んでいました。

考え方は、非常に保守的でした。

そして、かつては海軍兵学校校長を務めていました。

まさに「校長先生」にうってつけの及川古志郎は、顔つきからして、「軍人らしくない」です。

永野修身 軍令部総長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

及川海軍大臣が海軍兵学校校長を務める以前に、永野修身軍令部総長が海軍兵学校校長を務めていました。

永野は海軍兵学校28期を、次席卒業した優等生です。

そして、永野が進めていた改革案を、及川は継承した人物でした。

及川は、私の言うことをよく聞く。

先輩を立てることを、よくわかっている。

つまり、及川大臣と永野総長は非常に仲の良い関係でした。

真珠湾作戦計画をゴリ押しした山本長官に対して、永野は及川に相談していたでしょう。

山本が強情でさ・・・

山本も困ったものですな。

山本のゴリ押しを「どう扱うか」と悩み、永野総長と及川大臣は、色々と話し合ったでしょう。

永野総長は山本に折れましたが、及川大臣は山本に対して絶対に折れません。

みんな海軍兵学校の同窓生なんだ!

学校の上下関係は、一生変わらないだろう!

及川大臣が折れない理由があったのです。

当時、日本海軍における「軍令承行令」という絶対に破ることは認められない不文律があったからでした。

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

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