前回は「裁判と国家の姿 2〜「勝てない」から「勝てる」方法・意見書・判例・法的根拠〜」の話でした。
多数の不自然な証拠

中学〜大学の同級生(専門は異なります)の弁護士から相談を受けた建築に関する裁判。
証拠である設計図書などの資料を読むと、即座に「不自然な箇所」が沢山出てきました。

これは
おかしい・・・
経験豊富な建築士であれば、すぐに分かることが沢山あるのです。
「不自然な箇所」と表現するよりも「偽造している箇所」と感じる点も多いです。
これは、建築設計のプロであり、日々実務を行っている立場だから「分かること」なのでしょう。
「不自然な点」や「設計・工事の進行の問題点」は、考え方が様々あると思います。
一方で「建築基準法等の法律違反」に関しては、明確です。
建築士の設計・工事への姿勢


建築士や施工業者の「設計や工事に対する姿勢」は、実に様々です。
建築士が「建築基準法を守って設計する」のは当然のことですが、「法律遵守の姿勢」によって大きく変わります。
2005年に発生した「耐震偽装事件」は、日本全国で大きく報道され、連日テレビを賑わしました。
この「耐震偽装事件」には建築士、指定確認検査機関、不動産業者などが関わった大規模な事件でした。
この事件の大きな問題は「構造計算書を偽造した」ことですが、「柱・梁の鉄筋量が明らかに少なかった」のです。
つまり、設計のプロであれば「見れば一目瞭然に分かる」程度の「偽装」であったことが問題でした。
2023年2月には、トルコ・シリアで大規模な地震が発生し、実に多くの方が亡くなりました。(上記リンク)
コンクリートは非常に硬く、容易には破壊されないものです。
一方で、コンクリートには、地震などの揺れによる「ずれる力」には弱い特徴があります。
この「ずれる力」は専門用語で「せん断力」と言います。
鉄筋量が少ないと「せん断力」に対する抵抗力が弱く、コンクリートの柱が破壊されてしまうのです。
「建築のプロが見れば、すぐに分かる」レベルの偽装された設計図書が審査をスルッと通過。
そして、実際に施工された建築業界。
そのプロセスにおいては、



これは、
明らかにおかしい!
「おかしい」と主張した方もいたことでしょう。
建築確認の実態と耐震偽装事件


ところが、「審査が通り、建築確認がなされた」ことから、その声が封印されたのが現実です。
数年前から、建築の裁判に関するコンサルティングをしていて感じる「プロなら即座に分かる」ことが実に多いこと。
耐震偽装事件から18年が経過しましたが、肝心の「法律の総本山」とも言える裁判においては、相変わらず状況は同じです。
法律違反が即座に判ったので、



建築基準法違反があるから、
これを書面にまとめる。



建築基準法違反が認定されれば、
裁判は、すぐに終わるのでは?
「違反があれば、即終了」と考えて、友人の弁護士に聞いてみると、



「法律違反の認定」は
裁判では、なかなかされないんだ・・・
「法律違反の認定は、あまり関係ない」のが友人の回答でした。



えっ、
そうなんだ。
初めて知る事実でした。



裁判では判例が
非常に大事なんだ。
まさに日本で多い「前例主義」である「判例主義」です。
何はともあれ、建築基準法を明確にして、判例に対抗できるような意見書を作成してゆきます。
次回は下記リンクです。