裁判と国家の姿 1|建築裁判・不動産裁判

前回は「日本と戦争 1」の話でした。

今回は、裁判と国家の姿に関する話です。

私は一級建築士の免許によって、建築設計・監理のプロフェッショナルである建築家として活動しています。

昔からよく言われることですが、日本の職能である一級建築士は欧米と比較すると「曖昧な資格」です。

設計のプロフェッショナル=Architect、構造や設備などのプロフェッショナル=Engineerが明確に分かれている欧米。

それに対して、日本の一級建築士はArchitectもEngineerも含み、「構造一級建築士」などがありますが曖昧です。

この「曖昧さ」が「日本らしい」と言えばそうなのですが、非常に前時代的であると感じます。

設計・監理など「建築をつくり出す」立場ですが、数年前から建築・不動産に関するコンサルティングもしています。

建築設計に関する話は、「新建築紀行」でご紹介しています。

コンサルティングの幅は広く、様々な建築・不動産、あるいは土地に関する相談があります。

中には、建築・不動産に関する訴訟もあります。

訴訟大国と言われる米国などと異なり、一般の方は滅多に関わらない訴訟。

弁護士など法曹関係の友人がいますが、僕自身も訴訟は自分とは違う世界のように感じていました。

その僕が建築・不動産訴訟のコンサルティングに関わるきっかけは、やはり弁護士の友人でした。

ある時、弁護士の友人から電話があって

やあ。
今、建築裁判の案件を抱えているんだけど・・・

工事の見積書、工程表、
打ち合わせ記録など沢山書類があるんだ。

しかし、見ても何が何だか
よく分からないから、相談に乗ってくれ。

中学〜大学まで同じ学校の同級生(大学の専門は異なります)からのSOS。

いいよ。
とりあえず、資料を送って欲しい。

と二つ返事で応じます。

建築工事現場(新地球紀行)

送られてきた資料を見て、まず驚きます。

その資料の枚数の多いことと言ったら、膨大です。

こんなに
あるのか・・・

友人なので、とりあえずは業務としてやるのではなく、「図面・見積などをみてアドバイス」と考えていました。

これは、資料を読むだけでも、
大変だ・・・

と思いましたが、何はともあれ困っている友人を助けることも大事です。

しかも、その友人からは過去に自宅の建築設計の依頼を受けた仲。

大事な友人であると同時に、僕が運営する会社の顧客でもあります。

そして、膨大な資料を読み始めます。

建築実務が全く分からない弁護士の方々が見ていた、様々な見積書・申請書・工事写真の数々。

私たち建築の専門家が見れば、すぐに

これは絶対に
おかしい・・・

と感じることが多数あります。

中には、見積の項目や金額が明らかに不自然であったり、打ち合わせ議事録も違和感を感じます。

一通り見て、問題点を洗い出すのに半日弱時間がかかったのですが、友人の弁護士に連絡します。

送ってもらった資料を
読んだよ。

〜と〜などが
明らかにおかしい。

なるほど、
やはり建築のプロが見ると、すぐに分かるんだ。

やっぱり、
お前に相談して良かったよ。

友人の弁護士は嬉しそうです。

有難い。
簡単で良いから、ちょっとまとめて欲しい。

了解。
すぐにまとめて送るよ。

ありがとう!

場合によっては、
専門家からの意見書にまとめてもらうかも。

意見書って何?

専門家としての意見を
まとめてもらって、裁判官に出す書類だよ。

「裁判に出す書類」を作るのは、初めての経験です。

建築に関する様々な書類・文章はたくさん作成したので、自信がありますが、裁判となると別です。

うまく
書けるかな?

大丈夫。
建築のプロとしての意見をまとめてもらえば。

裁判の進行や依頼者の意向次第で、意見書を作成することになりました。

ここで感じたことは、「建築のプロが一目見て不自然な書類」が多数あることです。

一級建築士と言っても専門分野がたくさんあるので、「どういう業務をしてきたか」にもよります。

しかし、「プロが一目見ておかしい」書類が、裁判で「証拠」となっている事態はおかしい。

裁判の和解などの際に「調停員」がいて、中には一級建築士など「建築のプロ」もいるようです。

しかし、「証拠」となる書類は、見ても分からない裁判官や弁護士ばかり議論しても意味がないように思います。

裁判のプロセスの中で、そういう「専門的書類の鑑定」をしっかりする職能があっても良いと思います。

欧米の裁判がどうか分かりませんが、非常に不自然に感じました。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次