裁判で重視されるべき法律違反〜六法よりも存在感薄い行政法・裁判で最重視される「因果関係」・損害賠償と建築関連法規〜|「法治国家」日本の未来2

前回は「処罰されるべき「建設業法違反」のゼネコン〜法律違反是認の裁判所・建設業法違反は「損害賠償事件とは無関係」〜」の話でした。

目次

裁判で最重視される「因果関係」:損害賠償と建築関連法規

新地球紀行
東京(新地球紀行)

建築裁判・不動産裁判に対して、建築の専門家として多数関わってきました。

筆者は一級建築士であるため「法律の門外漢」ですが、

Yoshitaka Uchino

建築基準法、建設業法、
建築士法等の建築関連法規があり・・・

Yoshitaka Uchino

これらの法規を
遵守しなければならない立場です。

これら建築関連法規には、消防法などもあり、建築基準法には建築基準法施行令もあります。

これら全てを「完全に」とまで行かなくても、「ある程度は理解して」仕事する必要があります。

弁護士A

私は法律の
専門家であるが・・・

弁護士A

建築基準法は知っているが、
内容は、よく分からない・・・

建築に関わらない弁護士・裁判官などの法曹関係者の方々は、建築基準法等が分からないのが現実です。

そのため、建築関連法規に精通している一級建築士は、「建築関連法規の専門家」となります。

そして、一級建築士が遵守しなければならない、これら建築関連法規は重要であるべきですが、

裁判官B

これは損害賠償事件だから、
建築関連法規の違反は無関係!

原告または被告が建築関連法規に違反しても、損害賠償事件では「ほとんど影響がない」ことが多いです。

この「法律的論理」に対して、当初、筆者はどうしても理解し難いのが現実でした。

Yoshitaka Uchino

なぜ、法律違反をして
許されるのだろう・・・

裁判において、最も重視されるのは「因果関係」であり、

裁判官B

法律違反が、損害に
どんな因果関係があるのですか?

裁判官B

「因果関係がない」ならば、
本件には当然関係ありません!

「因果関係がない」ならば、損害賠償事件とは「関係ない」という扱いになることが多いです。

建築裁判において損害賠償の対象は、建物の瑕疵、工事金額、設計または工事内容が多いです。

例えば、工事金額に関して、建主とゼネコンが争う場合、

裁判官B

工事金額で揉めているのだから、
建築関連法規の正当性は関係なし!

工事金額が対象の場合、裁判官は「設計・工事や契約の流れ」ばかりを議論の対象とする傾向があります。

裁判で重視されるべき法律違反:六法よりも存在感薄い行政法

新地球紀行
東京地方裁判所(新地球紀行)

一般の人にとって、ほとんど関係がない裁判の現場。

大抵の人は「裁判所の存在」を知っていても、「裁判に関わる」ことは極めて稀です。

日本人D

裁判所のことは、
知っているけど・・・

日本人D

裁判所に行ったことはないし、
どこにあるのかも知らない・・・

そして、ほとんどの方は「裁判所の位置を知らない」方が多いと思われます。

日本人B

多分、各地方の
官庁街にあるんだろうけど・・・

おそらく「官庁街の一角」にあることは想像されますが、具体的位置は知らない方が多いでしょう。

日本における地方裁判所

・本庁:全国50箇所

・支部:全国203箇所

・本庁と支部合計で253箇所

日本には、253箇所もの「裁判執行機関」があります。

例えば、東京ならば、霞ヶ関の東京地方裁判所と立川支部があります。

最初は、友人の弁護士の依頼で初めて建築裁判・不動産裁判のコンサルティング。

Yoshitaka Uchino

ここが、東京地方裁判所か・・・
初めて来た・・・

代理人・依頼者の要請で、筆者も傍聴することがあり、初めて裁判所に行ったのは40歳頃でした。

それまでは、裁判所は「遠い遠い存在」でした。

建築裁判・不動産裁判は、民事事件の損害賠償事件であることが、ほとんどです。

この時、因果関係と契約などの民法に関する事項が、最も重視される傾向があります。

日本における六法

・日本国憲法

・民法

・刑法

・商法

・民事訴訟法

・刑事訴訟法

「六法全書」という書籍がありますが、上の六法が法治国家日本の根幹となります。

そして、建築基準法等の法律は、行政法などに位置付けられます。

弁護士や裁判官は、司法試験に合格する必要があり、司法試験で問われるのは六法が基本です。

裁判官B

六法は一生懸命勉強したから、
よく知っている・・・

裁判官B

司法試験でも行政法は
出題されるから勉強したけど・・・

裁判官B

行政法の基本は理解しているけど、
建築基準法の詳細など分からない・・・

数え方にもよりますが、現在の日本では「1,800ほどの法律」が存在しています。

どんな法曹のプロであっても、「1,800の法律全てを理解」は不可能であることは当然であり、

裁判官B

よく知らない建築基準法や
建設業法に関しては、判断できないから・・・

裁判官B

調停委員の意見を聞くことも
あるが、基本は六法!

どうしても、裁判官の思考は「六法が基本」となります。

そして、事裁判において重視されるのは、当然、法となります。

そのため、契約が特に重視される傾向があり、

裁判官B

契約は
全ての基本だ!

「契約重視」のあまり、契約以外は「個別の因果関係」で論じられる傾向があります。

この「法律論理」で考えると、

裁判官B

建築基準法や建設業法
違反は関係ない!

「建築関連法規の違反は無関係」となります。

この「法律論理」は、法曹関係者の人にとっては当然であり、筆者も大体理解できました。

一方で、間の一般人が従うべきが法であることを考えるとき、法律違反は重視されるべきです。

日本人C

法律違反をしたら、
ダメでしょ・・・

日本人B

どんな法律であれ、
法律違反をした方が責められるべき!

一般人・民間人の論理で考えれば、「法律違反は絶対NG」です。

諸外国の裁判も似た面があるかもしれませんが、「法律の遵守」はもっと裁判で重視されるべきです。

法務省・裁判所には、「法律の遵守と法律違反への厳しい姿勢」を、是非再考して頂きたい。

次回は上記リンクです。

新地球紀行

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