前回は「堂々と偽造書類を裁判所へ提出する東証上場ゼネコン・総合建設業者〜とても大事な工程表・年間工程表と月間工程表と週間工程表・重要な証拠を提出する者は「第三者」なのか?〜」の話でした。
法律違反是認の裁判所:建設業法違反は「損害賠償事件とは無関係」

建築のコンサルティング業務を開始して、10年ほどになります。
建築設計業務が主体ですが、中学から大学まで同期の友人の弁護士から連絡があり、

建築裁判の代理人を
やっているんだが・・・



設計図書とか、
見積書とか、見ても全然分からない・・・



ちょっと
協力してくれないか・・・
建築裁判への協力の依頼を受けました。



OK!
協力するよ!
二つ返事で協力を約束し、その裁判では、様々な設計図書などを読み込んで、意見書を作成しました。
建築裁判・不動産裁判では、ほとんどの場合が「損害賠償裁判」です。
原告と被告は、大抵の場合が「建主vs工事を請け負った建設会社」となります。
他の裁判と同様に、「双方に言い分がある」のが現実のようですが、設計図書や契約書などを精査すると、



この設計図書には、
〜の問題があるな・・・
設計図書に問題がある場合があったり、



この工事請負契約書は
建設業法違反だな・・・
事件の根幹である工事請負契約書に大きな問題があり、建設業法違反の疑いが濃厚であることもあります。
「係争になる」からには、「建設会社や設計会社が、全体的に正しい業務を行った」ことはなく、



設計図書や工程表、
見積書、工事請負契約書などに問題が必ずあります。
建築関連法規では、建築基準法、建築士法、建設業法などあります。
そして、建設業者にとっては、建設業法は最重要です。
設計においては、建築士が「一級建築士事務所」などの建築士事務所の免許を受けて、業務を行います。
そして、建設業者は建設業法に基づいて、「一般」と「特定」の建設業免許を得て、業務を行います。
この観点から見れば、「建設業法違反をした」ことが明白であれば、建設業者に問題があるはずです。
そして、建設業者側が「著しく不利」になるべきです。
ところが、



工事請負契約書が、
建設業法違反の疑いがある?



そんなこと、
損害賠償事件には一切関係ありません!
裁判所も裁判官も「建設業法違反は、損害賠償事件とは無関係」という立場です。
この「異様なスタンス」は、「法の論理」として理解は出来ますが、やはり不可解です。
罰せられるべき「建設業法違反」のゼネコン


日本は「法治国家」であり、法律を遵守しなければなりません。
例えば、交通事故で他人に怪我を負わせたり、場合によっては亡くなってしまうことがあります。
これは「法律以前の問題」であり、法律がなくても「運転者=加害者が悪い」のは明白です。
明白ですが、ここで登場するのが法律であり、「道路交通法違反」などの罪状によって、



道路交通法違反で、
Iは懲役〜年・・・
懲役や罰金などの罰則が、裁判所で決定されます。
ここで重要なことは「法治国家」なので、警察や検察が勝手に決めるのではなく、



我ら裁判官が、
しっかりと裁判をします!
必ず裁判を経ることが大事です。
この観点から見れば、



建設業法に違反することは、
損害賠償事件とは無関係!
このように「建設業法違反は、損害賠償とは無関係」と裁判所が認定することは、



ゼネコンや建設業者は、
建設業法に従わなくても良いです!
ゼネコン・建設業者が「建設業法に従わなくても良い」と裁判所が公式に認定することに等しいです。
これは、どう考えても、明らかにおかしいです。



契約は、民法上の
規定で判断します!
そもそも、建設業法のことを「ほとんど知らない」裁判官は、民法によって判断するようです。
ここで、建設業法で「工事請負契約に関する規定」が様々あるのは、「紛争を予防するため」のはずです。
「工事請負契約において、建設業法違反しても良い」ならば、建設業法は「ない方が良い」法律です。
法治国家であっても、「法律は少なく、シンプルな方が良い」に決まっています。



定められた法律に従うのが、
法治国家の国民です。
建築裁判のコンサル業務を行っていると、多数の「不思議な工事請負契約書」に出会います。
建設業法では「工事内容を明記・建主に交付する」ことが定められています。
実際の運用においては、この点は不十分であることが多いです。
自動車や家電製品のように「既製品を購入」するのではなく、基本的に「一品製品」である建築。
工事請負契約において、「工事内容がしっかりと明記、明らかにされる」ことは当然でしょう。
この観点から考えると、裁判所のスタンスは間違っているのが明白です。
そして、建設業法違反のゼネコン・建設業者は罰せられるべきです。
裁判所は「損害賠償との因果関係」よりも先に、「法治国家」としてのスタンスを明確にすべきです。
次回は上記リンクです。