OpenAIの巨大な野望〜地球の頭脳を握ろうとする米国・全ての根幹の設計と製造を握る戦略を展開する米国〜|先端科学技術

前回は「身近な価値に気づく大事さ〜身の回りの科学技術・八木アンテナ・マグネトロン・自国の最先端技術を敵国から教わった日本〜」の話でした。

目次

OpenAIの巨大な野望

新地球紀行
Sam Altman OpenAI CEO(Wikipedia)

「対話型AI」の開発元である米OpenAI CEOのサム・アルトマン氏が巨大な野望を表明しました。

世界の半導体産業を
再構築するのだ!

長らく世界の中心であり続ける半導体産業を再構築しようとして、巨額の資金を集めています。

パソコンが普及し始めて1980年代から、世界中の注目を集めている半導体。

パソコン・ゲーム・スマホなどが高機能化し続ける中、半導体の需要は追いつかないほどです。

資本集約型の特徴が強い半導体産業は巨額の資金を必要とし、好不況に左右される要素が強い産業です。

一方で、「好不況は一時的」であることもまた事実です。

そのため、長期的視点立てば、半導体産業が今後も世界の中心産業であり続けるのは確実です。

地球の頭脳を握ろうとする米国:戦争とAI

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左上から時計回りに、Volodymyr Zelenskyウクライナ大統領、Joe Biden米大統領、Xi Jinping(習近平)中国家主席、Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

このOpenAIによる「半導体産業の革命的再編」は、米国の国家戦略にも適合する動きです。

一大ブームとなっている「対話型AI」は、様々な業務にも有効であることが判明してきています。

場合によっては、「専門家の見立てよりも正確性が高い」可能性を持つAI。

業務分野によっては、

人間よりも
AIの方が生産性が高い!

という状況に既になりつつあります。

さらに、状況次第によっては、

人間よりも
AIの方が正確性が高い!

という状況になる分野も多数見込まれます。

この中、AIが活躍するのは「一般社会における分野」だけではありません。

軍事技術においても、急速に成長するAIの際立った能力は使われています。

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ウクライナ戦争(Wikipedia)

もうすぐ2年となるウクライナ戦争では、無人機による爆撃が続いています。

この無人機の攻撃能力を左右するのは、「無人機の頭脳」を構成する半導体です。

爆弾の性能も大事と考えられますが、いかに高性能な爆弾であっても「敵に当たらなければ意味がない」です。

そして、無人機が攻撃に向かえば、敵側の有人機・無人機と戦う必要があり「撃墜されないこと」も大事です。

「自国側の人命を重視」するのが当然の戦争において、無人機の活躍の場は拡大する一方です。

イスラエル・ガザ戦争が発生し世界で戦火が広がる中、「無人機の頭脳」の開発は各国の最優先課題です。

中でも、世界最強の軍事技術・科学技術を有する米国にとっては、「半導体を握る」ことが国家戦略です。

そして、半導体設計・製造を担う米国のNvidia社は、異常な株価の高騰を続けています。

Nvidia株の高騰ぶりは、少し異常すぎるくらいで、ビッグテックの中でも際立っています。

それほど重要視され続けてきて、さらにその重要性が比類ないほど上昇して続けているのが半導体です。

全ての根幹の設計と製造を握る戦略を展開する米国

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NVIDIA Geforce 256(Wikipedia)

アルトマン氏が「半導体産業再編」を目論むのは、Nvidia一強状況となっている中、

Nvidia社の半導体は
高すぎる!

と考えていることがあります。

あまりにも世界中で需要があるため、「言い値」となっているNvidiaの半導体。

半導体産業を再編して、
新たな半導体企業を生み出す!

新たな半導体産業を生み出して、OpenAIと連動させれば「全ての根幹を握る」ことになります。

一強のNvidiaは急成長しましたが、その理由の一つがファブレスであることです

企業名国家
TSMC台湾
Samsung韓国
Intel米国
世界の三大半導体生産企業

世界中で、膨大な半導体を製造する能力があるのは、TSMC、Samsung、Intelの三社です。

長らく世界最強であったIntelは、2000年代にアジアのTSMC、Samsungに追い抜かれる形となりました。

中でも、最も大規模な生産能力を有するのが台湾のTSMCです。

中国と台湾が睨み合う中、積極的に台湾に加担する傾向を見せている米国。

台湾の国家戦略企業であるTSMCは、Nvidiaの半導体の受託生産も膨大に引き受けています。

この「設計と製造の分業体制」こそが、半導体企業発展の「一つの型」となってきました。

それに対して、

新たな半導体企業では、
設計から製造まで全て!

と考えるアルトマン。

これは、米国の国家戦略の方向性とも一致しており、背景では米国も国家として後押ししているでしょう。

「現代社会の全ての根幹」とも言える半導体。

そして、「全ての根幹=半導体の設計・製造を握る」ことを目論むOpenAIと米政府。

米国の大いなる野望は、かつてなく大きく、巨大となっています。

アルトマンの活動は、世界各国の株価の行方にも影響を与えそうです。

サイエンス・テクノロジーのみならず、社会全体に甚大な影響を与える米国の挑戦は、国家関係にも影響するでしょう。

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