前回は「G7の未来〜広島サミット・平和記念公園・ウクライナ・英国・インド・韓国〜」の話でした。
世界で急増する戦火の嵐:イスラエル・ガザ戦争の巨大な衝撃

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1年半以上続いているウクライナ戦争。
他にも様々な紛争が起きていますが、大きな戦争がさらに2023年10月に勃発しました。
パレスチナガザ地区を支配するハマースによる、イスラエルに対する奇襲攻撃で始まったイスラエル・ガザ戦争。
新たな戦争が勃発したことに、

ウクライナもイスラエルも、日本から見ると「遠い国」に感じられてしまうのが現実です。
ところが、世界地図で考えた時、ウクライナとイスラエルは非常に近い位置にあります。
「黒海を挟んだ両側」と表現しても良いほど近くに位置するイスラエルとウクライナ両国。
ここで、大規模な戦争が行われており、大勢の方が亡くなっています。
ちょうどウクライナとイスラエルに挟まれた位置にあるトルコ・シリアなどの国にとっては、大変な状況です。
そして、ドイツ・イタリア・ポーランドなど欧州各国にとっては、「目と鼻の先」で戦争が2つ起きているのが実情です。

同程度の縮尺の地図で見れば、例えばイタリアにとっては、「すぐ近くで戦争が勃発している」気持ちになります。
イタリア・ローマからガザ地区までの距離は、およそ東京から上海くらいの距離です。
日本から距離的に遠いウクライナ・イスラエルでの大戦争。
この「戦争の実態」を日本人が実感するのは難しい面があるかもしれません。
一方で、起きてはならないことですが「東アジア周辺で大戦争が勃発」することを考えると、背筋が凍る思いです。
諜報の新たな時代:モサド・イスラエル諜報特務庁の失態

この大戦争の中、大勢の方が亡くなっている事実は大変重いですが、今回は驚愕すべき事態が起こりました。
それは、「ハマースの奇襲攻撃」をモサド(イスラエル諜報特務庁)が「事前に探知できなかった」ことです。

米国CIAなどと並ぶ「世界超一流の諜報機関」と言われているモサド(イスラエル諜報特務庁)。
世界各国に多数の諜報機関がありますが、米国CIAと英国SISが「最強諜報機関」とされています。

実際には、米国にはDIA、NSAなどの諜報機関が多数あり、「表に出ていない組織」もありそうです。
その中、必ずしも「CIAが最強」かどうかは様々な説がありますが、「世界一」と言って良い能力と規模を持ちます。
そして、CIAよりは遥かに規模が小さいながら、その卓抜たる能力で圧倒的立場を持っていたモサド。
ハマースに対しては、モサドが注視し続け、継続的に諜報活動を行なっていたはずです。
さらに、イスラエルの強力な友邦国である米国のCIAもまた、ハマースに対する諜報をモサドに伝えていたでしょう。

BBCによると「ハマースのイスラエル襲撃訓練」は、数年前から数度に渡って実行されていたことが明らかになりました。
この「数年前からのハマースの軍事訓練」は、モサドもCIAも気づいていたはずで、
Hamasの軍事訓練が
激しいな・・・
どうも、Hamasの軍事訓練の規模が
拡大している・・・
と感じていたでしょう。
ところが、
HamasがIsraelを
本気で攻撃しようとしている!
とは、モサドもCIAも、場合によっては英国のSISも「気づかなかった」ことになります。
そもそも、「本気で攻撃する意図」とは何なのか、という基準は非常に不明瞭で、ケースバイケースでしょう。
「基準がない」中、
HamasがIsraelを
攻撃しようとしている!
と判断することは非常に困難ですが、こういう点にこそ「諜報のノウハウ」があるのでしょう。
この「諜報のノウハウ」では、世界を圧倒しているはずのCIA・SIS・モサドが「気づかなかった」事実。
「諜報の新たな時代」が始まったとも考えられます。
内閣情報調査室と警察:日本が目指すべき諜報組織

この超強力なCIA・SIS・モサドに対する日本の諜報機関は、内閣情報調査室(CIRO)です。
兼ねてから、
日本の諜報能力を
飛躍的に高めなければ!
日本版CIAの
設立を!
という声が強い中、相変わらず「何も進まない」国である日本。
情報漏洩に対する罰則などを定めた「特定秘密保護法」が2013年に制定されたのが「進展」かもしれません。
これによって、各国のスパイに対する日本政府としての「情報を守る」姿勢が明確になりました。
ただ、「姿勢が明確になった」だけで、具体的な「諜報組織」としては貧弱なままの内調(内閣情報調査室)。
その実態は、政府幹部しか分かりませんが、代々のトップは概ね警察庁の方です。
つまり、「日本の諜報機関は警察が担っている」ことになります。
「諜報」は戦争と密接に関わっており、扱う主体は警察ではなく、軍隊であるべきです。
ところが、「憲法上、軍隊が存在しない」国である日本。
日本では、自衛隊は自衛隊法、警察は警察法で動きます。
そして、内閣情報調査室は名前通り「内閣の一角」に過ぎません。
つまり、バラバラな組織の中で運営されていて、最も肝心な軍が存在していない日本の諜報組織。

「台湾有事」が可能性としては「ありうる」中、日本は「真の諜報機関の設立」を目指すべきでしょう。
憲法9条改正の議論も大事ですが、この「9条改正」は現実としては非常に困難です。
「真の諜報機関の設立」には、「警察の範疇ではなく、自衛隊を超えた軍に準じる」組織とすべきでしょう。
それを真面目に考えて取り組む方にこそ、次の総理大臣になって欲しい。