利上げのタイミングが遅すぎた日銀・植田総裁〜日本の株価への痛恨の打撃・果断に政策金利を操る「通貨の司令官」中央銀行総裁たち〜|世界経済・戦略

前回は「イエレン財務長官から叱責受けた日銀〜危険レベルの円安進行・「禁じ手」のマイナス金利と日本の金融・思考停止の無難思考・世界とズレまくる日本の発想〜」の話でした。

目次

果断に政策金利を操る「通貨の司令官」中央銀行総裁たち

New Global Voyage
日本銀行(新地球紀行)

「マイナス金利」という以上な経済状況が続いた日本円。

そして、コロナショックで世界中で物価高が続き、世界の中央銀行が大きな利上げに踏み切りました。

それでも事実上の「ゼロ金利」である政策金利を堅持し続けた日本円。

新地球紀行
Jerome Powell FRB議長(Wikipedia)

「通貨の司令官」を自認するパウエルFRB議長は、2022年に凄まじい勢いの利上げを行い、

Powell

俺たちが司令塔となって
このインフレを退治するのだ!

Powell

政策金利の決定こそが、
極めて大事なのだ!

「ゼロ金利」に近い状況であった米国の政策金利は、階段を駆け上がるように6%近くまで上昇しました。

新地球紀行
日米欧の政策金利(Bloomberg)

「ずっと低空飛行」の日本の金利と比較すると、米欧の金利はジェットコースターのように感じます。

上記リンクでご紹介しました通り、米国や欧州の中央銀行総裁には、常にある種の緊張感がみなぎっています。

Powell

俺たちがしっかり
金利の舵取りをしなければ!

Powell

俺たちが米国の、ひいては
世界の経済を動かしているのだ!

そして、2022年には最も大きい時には「0.75%の利上げ」を果断に実行しました。

いかに当時の米国CPIが急上昇だったとしても、

Powell

0.75%もの
政策金利の引き上げをして大丈夫だろうか・・・

Powell

・・・・・

Powell

よしっ!
ここは一気に0.75%引き上げるぞ!

この「思い切りの良い決定」の背景は、経済理論などの背景ではなく、パウエル議長の経験によるものでしょう。

そして、米国は強い金利の引き上げの結果、インフレを抑え込みつつあります。

利上げのタイミングが遅すぎた日銀・植田総裁:日本の株価への痛恨の打撃

新地球紀行
植田和男 日本銀行総裁(Wikipedia)

世界各国の中央銀行総裁が利上げの指令を下す中、

植田和男

私たちは「通貨の番人」だから、
じっと番人として見守っています・・・

植田和男

ずっと為替を
注視しています・・・

中央銀行幹部であれば「為替を注視する」のは「当然のこと」です。

英国

一体いつになったら、
Japanはマイナス金利を解除するのか・・・

このような世界からの声がずっと聞こえ続けた中、

植田和男

Japanは金融緩和を
続けます!

各国通貨の政策金利が上がる中、「ゼロ金利」の日本円の価値は急落を続けました。

欧州人A

おいおい、「安全資産」と言われた
yenが異様に安いな・・・

欧州人B

それはそうだろう・・・
金利が0%では、どうしようもない・・・

2024年に下落を続けた日本円は、ついに1ドル160円まで急落しました。

植田和男

円安になったら、
株価が上がるから良いでしょう!

ドルやユーロに対して「異常な円安」から、「ドル換算」等で日本の株価は割安に写りました。

欧州人A

Japanの大会社の
株価は、ドル建てで見ると安いな・・・

欧州人B

Japanの株を
今のうちに買っておこう!

さらに、異常な円安は「日本への観光客の急増」ももたらし、

外国人C

yenが安いから、
今のうちにJapanへ行ってみよう!

大勢の方が外国からいらっしゃるのは、日本人として嬉しいですが、その理由が、

外国人C

yenが安いから、
Japanでブランド品買うと安い!

このような理由であれば、嬉しいのではなく、少しガッカリです。

新NISAの影響もあり、ジャパンマネーが株や投資信託に流れ込んで、円安効果に加わって日経平均は暴騰しました。

2024年3月頃から、10円ほど一気に円安になったこともあり、

日本人B

このままでは、
ドル円は、180円とかになるのでは・・・

このような懸念も聞こえてきました。

せめてこの辺りで、一気に「果断に決断」すればよかったのですが、「注視」は続きました。

植田和男

遅ればせながら、
日本の政策金利を0.25%引き上げます・・・

2024年7月31日に「政策金利0.25%引き上げ」のニュースが世界を駆け巡り、

欧州人A

おっ、この感じだと、
日本の金利は、すぐに1%超えるか?

欧州人B

まあ、ずっとJapanは
マイナス金利かゼロ金利だったからな・・・

欧州人A

Japaneseは変わり始めると、
一気に変わる傾向があるしな・・・

日本の政策金利への期待もあり、急速に円高となり、160円/ドルから一気に145円/ドルほどに急進した円。

「自国通貨が強くなる」のは大変嬉しいことですが、タイミングが最悪でした。

「注視を継続」した結果、日経平均が異様な暴騰を続け、日本の大企業の株価が「上がり過ぎた」状況になりました。

そして、ちょうど「米国ハイテク株への懸念が広がった」状況とちょうど重なったタイミングで、

植田和男

今更ながら、
日本の政策金利を0.25%引き上げます・・・

これによって「急速すぎる円高」が進んでしまい、日本経済にショックが走りました。

そして、2024年8月2日には史上二番目の下落幅となった日経平均株価。

なんと、8月2日は「2200円を超える暴落」となり、本記事執筆時の8月5日12:50でも2100円を超える暴落です。

一時は42,000円を超えた「猛烈な勢い」だった日経平均は、34,000円を切る推移まで下落しました。

この「遅すぎる日銀の決定」によってもたらされた日本経済の混乱は「人災」と言えるでしょう。

なぜ、もっと早く「利上げの決定」をしなかったのか、理解に苦しみます。

日本株は、しばらくは調整しながら下落傾向を続け、一度30,000円を切る水準まで下がると考えます。

次回は上記リンクです。

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