前回は「利上げのタイミングが遅すぎた日銀・植田総裁〜日本の株価への痛恨の打撃・果断に政策金利を操る「通貨の司令官」中央銀行総裁たち〜」の話でした。
米政策金利0.5%引き下げの衝撃:戦闘モードのパウエル議長
米政策金利を
50bp(0.5%)引き下げます!
米政策金利を「一気に0.5%引き下げる」衝撃の決定をFOMCで発表したパウエル議長。
まさに「経済の司令官」を自認するような「果断な決定」を下しました。
四年半ぶりに金利引き下げを行い、しかも「大幅な引き下げ」を強行しました。
今度のFOMCでは、
引き下げになるな・・・
ああ・・・まあ、久しぶりの引き下げだし、
「25bp(0.25%)引き下げ」だろうな・・・
市場関係者の声は基本的に「25bp(0.25%)引き下げ」でしたが、「虚をついた」形になりました。
ある意味で「奇襲攻撃」とも言えるFRBの大胆な戦略。
様々なビジネス経験があるパウエル議長は、「ビジネスの現場」を知り尽くしています。
そして、「パウエル議長独特の勘」を持っているでしょう。
一方で、この「勘頼み」ではなく、明確なファクト(事実関係)を根拠にしているのが、FRBらしいです。
米国経済は
総じて堅調なのだ!
米GDPは
堅調に伸びると考えられる!
だが、労働市場は
かなり冷え込んでいる・・・
さてと、
どうするのがベストか・・・
これらのファクトから、考えに考え抜いた挙句に、
ここは米政策金利を
50bp(0.5%)引き下げるべきだ!
強力な一手に出たのがFRBであり、ある意味で「大きな賭け」とも言えます。
我々は後手には
出ないのだ!
「後手に出たら負け」は、戦争やビジネスの世界では常識です。
このパウエル議長の「強力すぎる一手」は、まさに「戦闘モード」と言えそうです。
米国に振り回され続ける日本:恐る恐る金利を操る日銀
コロナによるパンデミック以降、急速すぎる勢いで政策金利を引き上げたFRBとECB。
我々は、通貨と経済の
司令官なのだ!
こうパウエル議長・FRB幹部は考えており、ジェットコースターのような金利となりました。
この四年半ほど急速に引き上げて、5.0%ほどとなっていた政策金利は、一気に4.5%ほどになりました。
2024年内に
もう50bp引き下げる可能性あり!
さらに強力な一手を打つことを示唆したパウエル議長。
私たちは「通貨の番人」だから、
じっと番人として見守っています・・・
対して、「いつも大人しい」日銀総裁は、いつも「為替を見守っている番人」のような存在です。
「司令官」は文字通り「司令を下す」立場ですが、「番人」は「何事もなければいなくても良い」存在。
だから、私たちは、
いつもじっと注視していますから・・・
通貨や経済のボスであれば、金融市場を「注視する」のは当然のことです。
それにも関わらず、「注視している」と発言するのが好きなのが日銀総裁・財務大臣です。
遅ればせながら、
日本の政策金利を0.25%引き上げます・・・
2024年7月31日に「日本の政策金利0.25%引き上げ」を決定した日銀。
まさに「遅すぎる決定」でした。
後手に出ず、常に
先手を打つのだ!
このような「超積極的な姿勢」のパウエル議長に対して、
後手も何も、決断はゆっくりと、
後悔しないように、慎重に・・・
「超消極的な姿勢」を堅持し続ける日銀総裁。
まるで、
ちょっと金利を上げたら、
どうなるのかな・・・
経済理論の通りになるのか、
ならないのか・・・
「経済理論の研究者」である植田総裁は、「理論との整合性」を実験しているかのような姿勢です。
米国に振り回されてきた日本は、さらに米国に振り回され続けそうです。
米国の政策金利「大幅引き下げ」で、ドル円相場は円高になりそうです。
そもそも、日米の「日常生活におけるコスト感」を考えると、どう考えても今は円安すぎます。
ニューヨークに出張で
行ったら、普通のランチが30ドルだった・・・
一ドル160円だった時ならば、日本円で「30ドル=4,800円」となります。
日本よりも物価が高い米国とは言え、これは「異常すぎる事態」です。
これが一ドル100円ならば「30ドル=3,000円」で、それでも高いですが「理解できる」価格です。
今はドル高すぎるから、
政策金利で是正だ!
こう考えて、手ぐすね引いているパウエル議長。
円相場や日本の株価もまた、米国依存をさらに強めそうです。