科学技術・イノベーションの地位が凋落続ける日本〜イノベーションへ後押しする中国政府とインド政府・科学者と技術者を「軽視し続けたきた」日本・理系軽視の政治と大学〜|日本の教育問題

前回は「カンニングをした高校生への異常過ぎる厳罰〜犯罪より遥かにマシなカンニング・前時代的な「ペーパー試験重視」の日本の受験と教育〜」の話でした。

目次

科学技術・イノベーションの地位が凋落続ける日本

新地球紀行
グレーの日の丸(Wikipedia)

かつては、「日本のお家芸」でもあった科学技術力が著しく低下しています。

世界各国の科学技術・イノベーションのレベルの指標の一つに「論文数」があります。

この科学技術に関する論文数において、世界各国が著しく増加しているのに、日本は横ばいです。

そして、相対的に日本の科学技術における論文数は低下を続けています。

2000年頃までは、「世界で二位」だった論文数のランクは現在は五位まで下がりました。

順位国名シェア
1中国23.4
2米国16.8
3ドイツ4.0
4インド4.0
5日本3.9
Top10%及びTop1%補正自然科学系論文数:上位国(科学技術・学術政策研究所)

2000年頃までは、日本のシェアが8.9%程度あったのが現在では半分以下の3.9%程度となりました。

つまり、科学技術・イノベーションの論文の世界において、日本の地位は「半分以下」となりました。

この最も大きな原因は、急速に成長した「中国の論文数」です。

2000年頃に3.1%程度だった中国は、「急速」と言い寄り「爆速」に論文数を増加させました。

その結果、20年間で3.1%から23.4%へと、約8倍へと増加させています。

「論文の数」よりも「論文の質」が大事かもしれません。

それでも、「数が質に転化する」こともあるので、やはり数も大事です。

イノベーションへ後押しする中国政府とインド政府

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左上から時計回りにJoe Biden米大統領、Narendra Modi印首相、Xi Jinping(習近平)中国家主席、岸田首相(Wikipedia)

欧州では常にドイツがトップを占めてきた科学技術・イノベーションの論文数。

20世紀に入る頃から、ドイツはこの分野では欧州トップの地位は揺らぎません。

対照的なのが、この分野の「アジアの台頭」です。

科学技術の分野で
我がChinaga派遣を握る!

そして、この「アジアの台頭」を最も顕著に示すのが中国の勢いです。

科学技術・イノベーションの論文数のような「頭脳系」は、

科学技術は圧倒的に
我がUnited Statesが強いのだ!

米国と欧州が「覇権を握ってきた」歴史があります。

我がGermanyは、
科学技術には自信がある!

成長著しいのは、中国と同様にインドもです。

2000年頃までは、科学技術・イノベーションの論文数において「トップ10圏外」だったインド。

それが、現在では日本を抜き去って4位に躍り出ました。

我がIndiaも、
科学技術を推進するのだ!

我がJapanも科学技術は
推進していますが・・・

インドは日本ともある程度近い距離を保っていおり、日本にとっても非常に大事な国家です。

米国とドイツは「相変わらず」の中、中国とインドがイノベーションの分野で一気に成長しました。

これは、中国とインドの「国家としての活気」の強さが最も大きな理由でしょう。

さらに、政府が最もイノベーションを強く推進している影響が重要です。

科学者と技術者を「軽視し続けたきた」日本:理系軽視の政治と大学

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SCO加盟国(緑:加盟国、黄緑:オブザーバー国、黄:大和パートナー(Wikipedia)

元は「大英帝国の植民地」であるインドの立ち位置は、欧州とも距離を近くしています。

対して、ロシア・中国と共にSCO・上海協力機構の一員であるインド。

インドの立ち位置は、基本的には「アジア中央アジアの一員」です。

Chinaは隣国であり、
仲良くしなければな・・・

東洋のメッカともいうべきインドは、「西洋的価値観」とは一線を隠す姿勢が明確です。

1990年代のバブル崩壊以降「失われた30年」と言われてきた日本。

日本においては、

我がJapanも科学技術は
超重要です!

科学技術は「軽視されている」訳ではありません。

ところが、科学者や技術者は明確に「軽視され続けたきた」のが事実です。

最近、AIが活発になり、「AIがイノベーションを引き起こす」可能性すらあるかもしれません。

この「AIの推進」においても、日本の存在感は薄いのが実情です。

AIも勿論大事ですが、なんといっても中心となるのは人間であり、それぞれの分野の方々です。

それにも関わらず、教育において「理系を重視する姿勢」が非常に薄かったのが日本です。

政治家は法学部卒業ばかりで、理系卒の政治家が極めて少ない日本。

まるで、

理系の奴が政治家に
なれるはずがないだろう!

理系の連中は
法律が全然分からないからな!

とでも言いたそうなほど、全く「理系の存在感」がない日本の政界。

そして、「ポスドクの扱い」などで著しく条件が悪い日本の大学における理系研究者の立場。

まさに科学技術・イノベーションの論文数を「下げる政策」を続けてきた日本。

最近、「ポスドクの待遇改善」というニュースもありますが、全然足りません。

日本再帰には、まず科学技術・イノベーションへの政府の後押しが最重要です。

これをしない限り、科学技術・イノベーションの自然科学系論文数は「低下の一方」となるでしょう。

そして、この傾向が続くとき、資源なき日本はまさに二流国へ向かってゆきます。

新地球紀行

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