増強すべき「女性の大学進学環境」〜異常に女性が少ない日本の大学・低下続ける日本のGlobal Gender Gap指数・もうすぐ発表の”2024 Global Gender Gap Report”〜|日本の教育問題

前回は「科学技術・イノベーションの地位が凋落続ける日本〜イノベーションへ後押しする中国政府とインド政府・科学者と技術者を「軽視し続けたきた」日本・理系軽視の政治と大学〜」の話でした。

目次

もうすぐ発表の”2024 Global Gender Gap Report”

新地球紀行
金閣寺(新地球紀行)

世界における様々な地位が、低下を続けている日本。

円安もあり、外国の方のインバウンドが急速に回復しているので、

最近は
外国の方がすごく増えたな!

うちは、外国人の来客で
売り上げがかなり増加してきた!

東京の物販店などの方に話を聞くと、「外国人の来客によって売上増加」という話をよく聞きます。

これはこれで大変喜ばしいことですが、問題は「異常な勢いの円安」です。

円安もあって、日経平均株価は急速に回復し、一時は「バブル期越え」をしました。

ところが、「円安過ぎる」のは日本という国家を安売りし続けていることです。

この「日本安売り」が良い結果に結びつくはずはなく、先行きは非常に暗い状況の日本。

そして、今年もそろそろGlobal Gender Gap Reportが発表される時期になりました。

このGlobal Gender Gap Reportは、「女性がいかに社会に参画しているか」を示すレポートです。

2022年では、驚愕の「世界116位」だった日本。

先進国で、これほど低い地位にいるのは日本だけでした。

我が日本は
116位なのか・・・

流石にこれ以上
下がることはないだろう・・・

という声もある中、蓋を開ければ、翌2023年では「世界125位」に低下した日本。

さらに下がって、
125位か・・・

対象とするのは146の国なので、「ほとんどビリ」と評価されているのが日本です。

今年のGlobal Gender Gap Reportでは、「同様の結果」になることが予想されます。

低下続ける日本のGlobal Gender Gap指数

左上から時計回りに、Rishi Sunak英首相、Olaf Scholz独首相、Giorgia Meloni伊首相、Emmanuel Macron仏大統領(Wikipedia)

日本において、

女性の社会進出が
非常に遅れている!

と言われる時、多くの場合で「政界における女性の異常な少なさ」が挙げられることが多いです。

確かに、「首相や大臣などの政府幹部に女性が多い」欧州などの国々と比較すると明らかです。

一見すると、「女性が多い」と言いよりも「女性が普通にいる」のが欧州の政治事情です。

1977年生まれのGiorgia Meloni伊首相は、まだ47歳という若さです。

まだ「女性首相」が誕生したことはなく「女性首相誕生の気配」すらない日本。

日本の政治においては、ある会合の写真などで、

おいおい、
全員男性じゃないか・・・

これでは、発想が「男性寄り」に
なってしまうのでは・・・

社会の「ある組織・部分」が「男性のみ」というのは異常であり、不気味です。

もっと、政治の場に
女性を多くしなければ!

という声が挙がって久しいですが、それほど変化していないのが実情です。

増強すべき「女性の大学進学環境」:異常に女性が少ない日本の大学

New Global Voyage
左上から時計回りにハーバード大学、イエール大学、京都大学、東京大学(Wikipedia)

「女性政治家や企業の女性幹部を増やそう!」という姿勢は、大いに望ましいことです。

ところが、この議論には「無理がある」のが実情です。

2023 Global Gender Gap Reportにおける”Education Attianment”を見てみましょう。

項目ランキング
Literacy rate1位
Enrolment in primary education1位
Enrolment in secondary education1位
Enrolment in tertiary education105位
日本のEducation Attianment(2023 Global Gender Gap Report)

いわば、「教育における女性の割合」などを評価項目にしているEducation Attianment。

識字率・小学校入学・中学校〜高校など高等教育入学では、日本は世界1位ランキングです。

ところが、「高校以降」つまり「大学における女性割合」では一気に105位に下がる日本。

この「大学において極めて女性が少ない」のが日本の「女性社会進出の最大の問題」です。

“World University Ranking”のデータをもとに、世界のトップ大学の女性の割合を見てみましょう。

世界ランキング大学名国名女性の割合(%)
1オックスフォード大英国49
2スタンフォード大米国47
3マサチューセッツ工科大米国41
4ハーバード大米国51
5ケンブリッジ大英国48
6プリンストン大米国47
10イエール大米国51
11チューリッヒ工科大スイス33
13シカゴ大米国47
15ジョンズ・ホプキンス大米国56
19シンガポール大シンガポール49
21トロント大カナダ56
29東大日本20
30ミュンヘン大ドイツ37
35香港大香港(中国)55
37メルボルン大オーストラリア58
40パリ大フランス51
世界の大学のランキングと女性の割合(World University Ranking)

“World University Ranking”は、かなり欧米寄りで、米国、英国ばかりが目立ちます。

ここでは、出来るだけ様々な国の大学を選びました。

中国の大学もいくつかランクインしていますが、女性の割合が不明(香港大以外)です。

「女性率の比較対象とならない」ため、ここでは除外しています。

パッと見て、女性の割合は東大の20%が圧倒的に低いことに気づきます。

ここでは、「世界との比較」で東大を代表として挙げていますが、京大も同様の状況です。

つまり、世界の大学と比較すると「異常に女性が少ない」のが我が国の大学です。

政治家や企業幹部の女性率を議論する前に、

もっと東大や京大などの
大学における女性を増やすべきだ!

と、女性の大学進学増強の環境づくりが求められるでしょう。

この「異常に女性が少ない大学」という環境が続く限り、

我が大学の理系学部は
女性が10%もいない・・・

日本のGlobal Gender Gap指数が上昇する見込みはなさそうです。

それには、日本における「女性と勉学」に対する視線が変化する必要があります。

ところが、この「女性と勉学に対する視線」が日本において急速に変わる可能性はゼロでしょう。

文部科学省などが、思い切った「女性の大学進学環境の増強」をすべきと考えます。

次回は上記リンクです。

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