「存在しない書類」が登場する裁判の現場〜建築裁判において頻発する偽造書類・「偽造見破る」ポイント〜|日本の裁判

前回は「「偽造エビデンス」が跳梁跋扈する裁判の現場〜「前科者になるべき」偽造者・エビデンス超重視の日本の裁判・裁判を左右するエビデンスの重要性とその真贋性〜」の話でした。

目次

建築裁判において頻発する偽造書類:「偽造見破る」ポイント

新地球紀行
工事現場(新地球紀行)

建築裁判のコンサルティングをしていると、実に様々な驚きがあります。

弁護士や裁判官の友人がいても、「裁判の話」を聞くことはほとんどありません。

「代理権」などの非常に強力な権限が付与されている弁護士には、「守秘義務」があります。

この「守秘義務」は、会社員なども会社に対して有していなければならない「義務」です。

一方で、国家資格である弁護士の「守秘義務」はかなり強力で、弁護士の方々は、

守秘義務があるから、
裁判のことは一切他に話せない・・・

という立場であり、守秘義務違反は即弁護士の免許につながります。

このこともあり、裁判に関しては、一般の方は「ほとんど知らない」のが現実です。

そして、「弁護士ドラマ」などで繰り広げられる「法廷バトル」もほとんどありません。

この中、裁判は「裁判官がしっかりと真偽を見定め、正当な判断を下す場」であるべきです。

ところが、「偽造したとしか考えられない」書類が多数証拠として登場するのが裁判の現場です。

この「偽造かどうか」の真実は「書類を作成した本人しかわからない」かも知れません。

一般的な犯罪であれば、「偽造を見破る」のは難しい面がありそうです。

一方で、建築裁判・不動産裁判において、偽造書類を見破るのは比較的簡単です。

その理由の一つは、建築に関する書類は建築基準法などの諸法規と関係していることがあります。

もう一つの理由は、建築の設計・工事における書類には「ある流れ」があります。

そのため、「流れに合わない」書類は「合理性を欠く」ことになります。

建築裁判の「偽造書類を見破る」ポイント

・建築基準法や建設業法との整合性を判断

・設計や工事の流れとの整合性・合理性を見定める

工学に所属する建築は、「合理性が極めて重要」な分野です。

そのため、「合理性から裁判の書類を判断する」ことは大事な姿勢です。

「存在しない書類」が登場する裁判の現場

New Global Voyage
東京地方裁判所(新地球紀行)

原告あるいは被告の立場であれば、

自分の立場を
守るために書類を偽造するか・・・

そして、その偽造書類を
出せば、こちらに有利になるはずだ・・・

と考えるのは、一面「止むを得ない」かも知れません。

裁判という「戦争」に巻き込まれている当事者からすれば、

「勝てば官軍、負ければ賊軍」
なのだ・・・

という気持ちになることもあるでしょう。

本来許されるべきではない「偽造書類の裁判・裁判所への提出」。

この「偽造書類の作成」が、原告・被告の当事者であれば、

やってはいけないことだろうが、
やるしかない・・・

となってしまうかも知れません。

これらの偽造書証に対しては、裁判官が、

これは
嘘っぽいな・・・

と判断したら、却下してくれれば良いと考えます。

ところが、裁判では「提出された書証は正しい」と扱われる傾向が強いです。

以前、ある建築裁判で、

この契約書は、建設業法違反で
偽造した証拠です!

この工程表も辻褄が合っていない、
合理性を欠く書類です!

と主張しても、裁判官は、

ふ〜ん、
そうですか・・・

そう主張するのは
別に良いですが、「偽造」と認定するのはちょっと・・・

という感じで、なんとなく「うやむや」になりました。

それでも、意見書だけでなく弁護士の準備書面でも主張してもらったら、裁判官は、

確かに、この書類は
ちょっとおかしいかもしれない・・・

やっと「書証の不自然さ」を「少し理解してくれた」ようになり、裁判は大きく有利になりました。

契約書・見積書・設計図書・工程表で様々な「偽造」が登場する建築裁判。

もっとすごいことがあったのは、

こんな書類は
建築・建設業界には存在しない!

という書類が裁判に証拠・書証として登場しました。

施工会社・設計者・建主の三者が関わる建築においては、相互で「報告書」などが提出されます。

例えば、設計者が工事監理を完了した時、「工事監理報告書」を建主に提出する義務があります。

この「工事監理報告書」には雛形があり、「適切に工事監理を行なった」証拠として重要です。

施工会社は工事を完了した時に、膨大な書類を建主に提出します。

中でも重要な建主への書類は「引き渡し証」です。

工事中は、建物の所有権は施工会社にあり、この書類があって初めて「建物は建主のもの」となります。

このように「報告書」や「〜証」が多数建築では登場します。

ところが、ある建築裁判では、施工会社と設計者が建主に提出した「〜届」が登場しました。

「〜届」は、設計者・施工会社が役所など「お上」に届け出る書類です。

民間同士の施工会社・設計者・建主は「対等な関係」なので「〜届」は絶対にありません。

この「〜届」は
建築・建設業界には存在しません!

と意見書等で主張しても、

そう言われても、
建築・建設業界のことは知らないし・・・

現に「存在する書類」なのだから、
「存在しない書類」とは言えない・・・

という感じで、またもや「うやむや」になりました。

関係者にとっては、「戦争」でもある大事な裁判の場。

そこにおける「書証・証拠の真偽」は、第三者機関などが関わって慎重に判断されるべきと考えます。

それにはコストと時間がかかりますが、極めて大事なことだと考えます。

新地球紀行

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