世界の未来 3〜SVB破綻の行方・加熱続けるインフレ・FRB〜|世界戦略

前回は「世界の未来 2〜米中のせめぎ合い〜」の話でした。

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米銀シリコンバレー・バンク(SVB)破綻の影響

破綻したシリコンバレー・バンク(Wikipedia)

2008年の金融危機以来最大の破綻となった、米銀シリコンバレー・バンク(SVB)の破綻。

40年前の1983年に創業した若き銀行であるSVB。

名前の通り、シリコンバレーの数多くの若き企業・スタートアップに資金を投入していました。

ベンチャーキャピタルから支援を受けたテクノロジー企業などの約半数が、SVBと提携していました。

SVBの経営破綻により、今後スタートアップ企業が資金の借入をするのが困難になる見込みです。

多くの人にとって、「極めて唐突な事態」であった今回の破綻。

原因の一つは、あまりに急速な利上げでした。

つづく米銀破綻の懸念

今回の経営破綻を、当局・経済関係者などの専門家の中で「予想できていたのか?」は不透明です。

急成長したとは言え、全米16位の資産規模をもつSVBの行方は、FRBなどの米当局が非常に注視していたと思われます。

この中、いとも容易く破綻に至り、「米国で過去2番目の資産規模の経営破綻」に至ったSVB。

これからも米銀をはじめとして、「銀行破綻が続く」とみられ、急激な信用収縮につながる方向です。

先週末大きく値下げした米国株は、様子見の状況ですが、日本株もまた大きく値下げしています。

そして、昨日の欧州株は軒並み3%程度以上の下落となりました。

米国に続き、日欧の銀行株が急落し、非常に大きな影響をもたらし続けるとみられます。

2022年のFRBによる急速な利上げによって、「銀行の問題は数ヶ月前から明らかだった」という声もあります。

加熱続けるインフレ

膨大な緩和とコロナ・ウクライナ戦争による影響から、加熱し続けていたインフレ。

CPIの上昇幅は、ここ10年以上見たこともない「8%以上の上昇」を記録しました。

米国CPI指数:2003-2023年(US BUREAU OF LABOR STATISTICS)

米国の成長の象徴的存在であるシリコンバレー。

その名前を冠し、実際にシリコンバレーのスタートアップ企業と密接な関係を持ち続け急成長したSVBの破綻。

これがもたらす悪影響は甚大です。

大規模なレイオフ・人員削減によって、復調しかけていたGAFAなどの企業においても、大きなダメージになりそうです。

昨年大きく下げた米株の復調傾向に、大きな冷や水を浴びせる事態となった今回の事態。

「ロシアからの天然ガスストップ」によるエネルギー問題は、一致団結して戦略的回避に成功した欧州。

一方で、米国と欧州は強烈な「インフレの過熱」に悩まされ続けていました。

この「過熱」に対して、急速に冷却し続けたFRB。

それは、「熱された物体を冷やすのではなく、凍結させること」に近い「危険な緊急措置」でした。

「次のFRBの政策金利引き上げは0.25%」の声が高かった今。

この緊急事態に対して、FRBは金利引き上げを「一度見送り、戦略的静観」をすべきと考えます。

新地球紀行

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