前回は「交錯するアジアの視線〜岸田首相ウクライナ訪問〜」の話でした。
フィンランドNATO加盟へ
フィンランドのNATO加盟が決定しました。
フィンランドのNATO加盟を強く反対していた、トルコが議会で「フィンランドのNATO加盟」を承認しました。
これで、フィンランドが31番目のNATO加盟国となることが決定しました。
NATOの思想と存在意義
元々は、ソ連に対抗するために北米・欧州の12カ国で締結された軍事同盟であるNATO。
第二次世界大戦終了後の1949年に発足しました。
当時は、ドイツが東ドイツ・西ドイツの二カ国に分割され、東ドイツは「ソ連陣営」だった時代です。
ドイツと共に枢軸国として参戦・敗北した日本。
分割は免れたものの、米国の支配下で「欧米陣営」となりました。
一時はアジアで猛烈な勢いを持っていた日本でしたが、第二次世界大戦の中心は欧州でした。
そのため、まずは「対ソ連・欧州の安定化」が最優先された歴史があります。
初代Secretary General(事務総長)は、英国の元軍人であり、Hastings Ismayでした。
イスメイの主張が、NATOの目的を明確に示しています。
ロシア(ソ連)
を締め出し・・・
ドイツを
抑え込む!
そして、そのために
米国を
引き込む!
これが、NATOの思想でした。
ソ連解体とNATO
ソ連が解体、ワルシャワ条約機構も解散した1991年。
第一次世界大戦と第二次世界大戦のキッカケを作ったドイツは再統一されて、間もない状況でした。
ソ連の軍事力が相対的に弱体化し、ドイツもまた軍事強国ではない1991年当時。
「NATOが対峙する目標国がいなくなった」状況となりました。
それにも関わらず、NATOはその後も拡大を続けました。
SCOと太平洋
欧州を東へ、東へと拡大したNATOへ、欧州の北側に位置するフィンランドも加盟します。
「NATOの東進」に強い危機感を持っているプーチン露大統領にとっては、不愉快な展開となっています。
かつてのワルシャワ条約機構に代わる存在となっているSCO・上海協力機構。
先週にロシアは、The Wall Street Journalの記者をスパイ容疑で拘束しました。
米露の対話チャンネルが機能不全に陥る非常事態の最中、二つの陣営に分かれる世界。
太平洋を取り巻く各国の戦略が、世界の方向性を決めそうです。
次回は上記リンクです。