前回は「ロシアと中国の協力と世界」の話でした。

中国:ウクライナ戦争停戦交渉へ
ロシアのウクライナ侵攻開始後一年となり、中国が停戦交渉に正式に乗り出しました。

ゼレンスキー大統領は、「中国の和平案提案」のXi Jinping(習近平)中国家主席との直接会談の予定を明言しました。
ほとんど原稿を読まずに「自らの言葉をしっかりと説明する」姿勢を強く打ち出しているゼレンスキー大統領。
原稿ばかり読んで、下を向きっぱなしの日本の政治家の方々も少し見習ってほしいものです。
重要度が様々な日頃の会見ですら、下を向きっぱなしで「時々前を向く」姿勢の日本の政治家の方々たち。
ゼレンスキー大統領の会見のような事態になることは「ない」と考えているでしょう。
それが「本当にない」のかどうかは、様々な国家と日本が「本当の同盟関係」を構築できるかに関わっています。
G20では中国がロシア非難を拒否し、共同声明が発せられることはありませんでした。
これは「中国側の視点」から見たら、当然のことでした。
そして、ロシアの同盟国であり、「明白なロシア側」である中国が提案する和平案。
バイデン米大統領は

Putin大統領が歓迎しているのだから、
良いはずがない!
と一蹴しています。
現実的な視点から見れば、具体的進展が見込める和平案を出せるのは中国しかありません。
米中関係:偵察気球
攻撃を続けるロシア軍を率いるプーチン大統領に対して、欧米が提案する状況には全くありません。
中国の具体的立場が明らかにされ、ロシアは中国案を歓迎しています。
「ロシア軍のウクライナ撤退」に関してゼレンスキー大統領が具体的に要求している状況です。
水面下で交渉が行われていた時点でも、ウクライナ側は「ロシア軍撤退」を要求していたでしょう。
そして、中国が「和平交渉仲裁」を明らかにした後もなお、この最重要課題が残っています。
「中国の見解」が具体的な停戦交渉に入る時までに、「ロシア軍撤退を含むかどうか」となります。
この「ロシア軍撤退」が停戦交渉の前提となると、ロシアが受け入れるはずがないでしょう。
この中、バイデン大統領は



Xi Jinping(習近平)中国国家主席が、
「偵察気球を知らなかった」可能性がある・・・
と明言しました。
これは米国なりの戦略であり、緊張関係にあった米中関係緩和に向けたシグナルと考えます。
様々な情報機関等が、中国が具体的にウクライナに提示する「停戦案」の内容を探っています。
そして、「停戦案」の条件は「ロシア・ウクライナ・中国の間」で調整され続けていると思われます。
中国側は南シナ海上空などで、米軍機を追尾するなど、さらに強気の姿勢を打ち出しています。
ロシアとウクライナの停戦交渉を具体的に進めうる国家が「中国しかない」状況が明白となった今。
欧米側の複雑な思い
欧米側としては、中国が「和平交渉のイニシアティブ」を取ることには非常に複雑な思いを持っています。
現実的には世界中の多くの方々が「少なくとも一時停戦」を望む中、交渉が進展する可能性が大きいと考えられます。
この「ロシア・ウクライナ一時停戦」を中国が主導してまとめた時、中国の世界政治における力は大きく増大します。


その場合、上海協力機構SCOの力も増大すると見られ、「NATO急拡大」とは衝突することになります。
中国としては「是が非でも成立させたい」停戦交渉。
ゼレンスキー大統領とXi Jinping(習近平)中国家主席が「直接会談する」時は、具体的和平案がまとまった後です。
それがいつになるのか。
世界政治・経済などに与える影響が極めて大きい「和平交渉の進展」は、主導権争いが活発化しそうです。