スナーク英首相の大英断〜キャメロン元首相の外相就任・混乱が続く英政界・ブラヴァマン内相更迭・キャメロン外相のメリットとデメリット・サッチャー以降の英首相〜|世界政治・戦略

前回は「高まる英国の存在感〜欧州金融不安・スナーク英首相・米英豪・AUKUS〜」の話でした。

目次

スナーク英首相の大英断:キャメロン元首相の外相就任

新地球紀行
David Cameron英外相(Wikipedia)

先日、内閣改造を行ったスナーク英首相。

一つの大きな大英断を行い、元首相のDavid Cameronが外相に就任しました。

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Rishi Sunak英首相(Wikipedia)

6年間の長期に渡り、
英首相として務めた経験と人脈に期待!

なんといっても、6年もの長きに渡り英国首相であったデイビッド・キャメロン外相。

キャメロン外相は、即座に行動を開始しました。

ウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領と会談した元首相であるキャメロン外相。

ウクライナに
倫理的、外交的、そして何よりも軍事的支援を続ける!

ウクライナへの強固な支援を続けることを明確にしました。

この「英国のウクライナへの強力な支援」は、これまでずっと続いてきていることなので「当然のこと」です。

それをわざわざ「就任後初の外遊」としてウクライナを訪問し、発言する意味は大きいです。

英国としての「国家の大方針」を明確にすることで、

ガザ・イスラエル戦争も問題だが、
我が英国にとっては、ウクライナが最優先!

ということを世界各国に対して「英国の姿勢」をハッキリ示したのでした。

混乱が続く英政界:ブラヴァマン内相更迭

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Suella Braverman前英内相(Wikipedia)

この「 キャメロン外相誕生」のきっかけとなったのは、ブラヴァマン内相更迭でした。

スナーク首相誕生において、大きな貢献をしたブラヴァマン前英内相。

親パレスチナ派デモに関しては、

これはヘイト(憎しみ)の
行進!

と言い放ったBraverman前英内相。

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Elizabeth Truss前英首相(Wikipedia)

そもそも、2022年のトラス政権で内相だったブラヴァマンは、

それでは、
辞任します!

問題を指摘されて、あっさり辞任したものの、スナーク新首相誕生に寄与したため、

また、
内相に復帰しました!

と英内相に復帰しました。

英政界において「最右翼」であるブラヴァマンは、英Times誌への寄稿がきっかけとなり、更迭になりました。

ブラヴァマンの主張は「英国を守る」視点であり、共感できる点も多いですが、少し発言が極端すぎます。

何事も
一気に進めなければ、「進まない」でしょ!

ということでしょうが、「一気すぎる」傾向が強いブラヴァマン。

非常に頭が良く、有能であることから、内相としてガンガン仕事を進めていましたが、

Bravermanは少し
極端すぎる・・・

内務大臣として、
もう少し穏便にして欲しかった・・・

これが、スナーク首相の本音でしょう。

昨2022年には、ジョンソン首相からトラス首相、そしてスナーク首相と混乱が続いた英政界。

ここで、

元首相であり、経験豊富な
Cameronに補佐してもらおう・・・

というスナーク首相の判断は、的を得ていると考えます。

キャメロン外相のメリットとデメリット:サッチャー以降の英首相

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London(新地球紀行)

一方で、キャメロン外相就任によるデメリットもたくさんあります。

まず、

変化を
推進する!

ことを主義としているスナーク首相が、「過去の人」であるキャメロン元首相を外相に据えることは、

「変化」どころか、
「元に戻っている」だろう・・・

という批判にさらされるでしょう。

これは、若き「変革のリーダー」であるスナーク首相にとっては、大きなデメリットになります。

ところが、なんといっても、キャメロン首相は6年英首相に在任した実績があります。

首相任期名前
711979-1990Margaret Thatcher保守党
721990-1997John Major保守党
731997-2007Tony Blair労働党
742007-2010Gordon Brown労働党
752010-2016David Cameron保守党
762016-2019Theresa May保守党
772019-2022Boris Johnson保守党
782022Mary Elizabeth Truss保守党
792022-Rishi Sunak保守党
1979年以降の英国首相
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Margaret Thatcher元英首相(Wikipedia)

11年の長きに渡り、英首相を務めたサッチャー元首相。

サッチャー元首相以降、おおむね7年以上同じ首相であった英国ですが、近年は首相が変わる頻度が上がっています。

その中、6年政権を維持したキャメロン元首相の政治力は、かなり際立っていると考えられます。

1980年生まれで、まだまだ若きスナーク首相。

一時は政権を担った老練なキャメロン元首相に補佐してもらうことで、政権の安定化を図ります。

そして、スナーク首相、キャメロン外相共にオックスフォード大学出身です。

David先輩に
政治の安定化を担ってもらいたい!

後輩のRishiのためにも、
我がUKのためにも、再登板だ!

様々な意見もあると思いますが、難しい判断を一気に下したスナーク首相は英断を下したと考えます。

混乱が続く英政界は、安定化に向かうと考えますが、

私は発言を
続けます!

今後も「爆弾発言」を続けると思われるブラヴァマン元内相の存在は、難しいところでしょう。

ブラヴァマン元内相の発言や行動が物議を醸し出すでしょうが、それもまた「世界の英国」らしい民主主義とも言えます。

多少の余波はあるでしょうが、「ブラヴァマン元内相の発言と行動」は、むしろ英国にとってメリットかもしれません。

我が国の政治家と比較しても仕方ありませんが、下ばかり向いて「何を考えているかわからない」日本の政治家たち。

この「おとなしすぎる」日本の政治家に比べれば、

私は
こう考えます!

ガンガン自己主張するブラヴァマン元内相の存在は貴重です。

すこし極端すぎる傾向もありますが、彼女の発言は「様々な議論のきっかけ」を英政界にもたらすでしょう。

英国は安定化して、飛躍を遂げてゆくと考えます。

新地球紀行

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