前回は「太平洋の未来 4〜中国・台湾と世界・不安な日本の情報力・フランス・米国〜」の話でした。
日豪伊独仏海軍の共同訓練と太平洋の未来:太平洋の島々と欧州
日豪伊独仏の艦艇が、沖縄東方付近で共同訓練を実施しました。
海上自衛隊の発表によると、2024年8月27日〜29日の3日間です。
このエリアに強く関わる日豪が共同訓練するのは当然としても、意義深いのは「伊独仏の参加」です。
各国海軍(自衛隊) | 参加部隊・艦艇 |
海上自衛隊 | 護衛艦「いずも」、護衛艦「おおなみ」、潜水艦、P-1 |
オーストラリア海軍 | 駆逐艦「シドニー」 |
イタリア海軍 | 空母「カブール」、フリゲート艦「アルピーノ」、 哨戒艦「モンテクッコリ」 |
ドイツ海軍 | フリゲート艦「バーデン・ヴュルテンベルク」 補給艦「フランクフルト・アム・マイン」 |
フランス海軍 | フリゲート艦「ブルターニュ」 |
海上自衛隊からは、護衛艦「いずも」が出動しました。
事実上の空母ながら「自衛隊である」ため、「空母」とは表現できないのが実情です。
日本近海で行われた共同訓練であるため、日本の参加鑑定が多数であることは当然となります。
太平洋には、ポリネシアなどフランス領の島が多数ありますが、ドイツ・イタリアは領有権がありません。
一方で、第一次世界大戦前までは、太平洋の島々に多数の権益を有していたのがドイツでした。
第一次世界大戦において敗戦に伴い、それらの「太平洋の島々の権益」を失ったドイツ。
そして、多数の「太平洋の島々の権益」を日本(大日本帝国)が受け取った歴史があります。
太平洋におけるイタリア海軍の狙い:空母Cavour出動
この中、イタリア海軍は思い切って空母Cavourを投入してきました。
過去から現在において、太平洋の島々に強い権益を有する日独仏。
そして、かつては大英帝国の植民地ながら、太平洋に面して広大な領土を持つ豪。
これらの「太平洋の島々と強い関係を持つ」のが日独仏豪で、イタリアの存在感は低いです。
この中、独仏豪とは異なり、わざわざ空母を投入してきたイタリア。
各国海軍(自衛隊) | 空母保有数 |
米国 | 11 |
中国 | 3 |
日本 | 2 |
英国 | 2 |
イタリア | 2 |
インド | 2 |
フランス | 1 |
オーストラリア | 0 |
空母を建造・保有するのは、大変高い技術が必要であり、さらに高額の維持費がかかります。
そのため、各国海軍は、「空母は是非欲しいが、建造・維持のハードルが高い」のが現実です。
この中、米国は圧倒的な11隻の空母を保有し、近年急増させているのが3隻の中国。
空母の規模や艦載機の数にもよるので、空母の数で一概に比較は出来ません。
「空母の数」は海軍力の指標にはなり得る中、空母2隻で次ぐのが日本・英国・イタリア・インドです。
フランスは1隻、オーストラリアに至っては0隻である空母。
いかに、空母が貴重な戦力であるかが分かります。
この共同訓練の主たる目的が、中国への牽制であることは明白ですが、イタリアの強い参加に注目したい。
2022年には、日英伊で次世代戦闘機共同開発が締結されました。(上記リンク)
この「日英伊:次世代戦闘機共同開発」は英国の政権交代で、少し不透明になっているのが現状です。
この中、イタリアの積極的姿勢を活かして、日伊の関係を強化すべきと考えます。
そして、日伊間での軍事的・技術的協力を推進するのが良いと考えます。