前回は「率先垂範して奇襲攻撃の陣頭指揮へ〜山本司令長官の決断・第一航空艦隊旗艦・赤城のかつての艦長と航空隊の育ての親・猛反対受ける山本司令長官・もはや「打つ手なし」〜」の話でした。
猛反撃を受ける「山本第一航空艦隊司令長官」案
山本長官が直卒して、第一航空艦隊司令長官を指揮すること。
作戦指揮官としては、「山本第一航空艦隊司令長官」が「ベスト」であることは間違いないことでした。
山本五十六空母赤城を最も知っているのは、
私だ！
山本五十六航空本部長、海軍次官として、
空母・航空隊を育てたのは私！
山本五十六押し切った当事者・責任者ある私が、
機動部隊を直卒し、攻撃に向かう！
山本五十六私が第一航空艦隊司令長官と
なるのだ！
ところが、永野総長からすると、
永野修身ちょ、ちょっと
待て・・・
永野修身万が一、
山本が戦死したら・・・
永野修身それこそ大変なことになる
ではないか・・・
「山本が戦死したら大変」であり、その考えもまた「当然のこと」でした。
人事権握る及川大臣の猛烈な反対姿勢：メンツの勝負
海軍大臣として「大日本帝国海軍全体の人事権を握る」存在である及川大臣。
及川古志郎何言っているんだ・・・
論外だろう・・・
及川古志郎大将が
最前線で戦うなど・・・
山本長官自らが、真珠湾攻撃部隊の司令長官となることには、絶対に賛成しません。
永野総長と及川大臣の「仲良し組」は、徹底的に反撃しました。
永野修身山本の意気込みを
信じて・・・
永野修身ハワイ真珠湾奇襲攻撃は、
やらせよう・・・
及川古志郎だが、
人事にはタッチするな！
山本五十六・・・・・
猛反撃してくる永野総長と及川大臣。
| 職務 | 名前 | 権限 |
| 軍令部総長 | 永野修身 | 軍令：戦略 |
| 海軍大臣 | 及川古志郎 | 軍政：人事・管理 |
| 連合艦隊司令長官 | 山本五十六 | 前線戦略・戦術 |
「連合艦隊司令長官に過ぎない」山本長官には、「第一航空艦隊司令長官を決める権限」がありませんでした。
そして、二人して強行に主張します。
及川古志郎第一航空艦隊
司令長官は・・・
及川古志郎山本でも小沢でもなく、
南雲のまま！
及川古志郎南雲といったら、
な・ぐ・も！
及川古志郎この人事は、
絶対に曲げないぞ！
及川古志郎人事権を持ってなければ、
私の存在価値がなくなるではないか！
どうしたら「日本海軍が米海軍とうまく戦えるか」ではなく、最後はメンツの勝負でした。
断念する山本五十六：「前線司令長官」に過ぎない連合艦隊司令長官
永野総長も及川大臣も、共に本音は、
永野修身これ以上、
我々の領域を侵さないでくれ・・・
及川古志郎そう、我々の立場は
なんなんだ？
これが本音であったでしょう。
山本五十六流石に
これ以上・・・
山本五十六私の意見を
通すのは難しい・・・
流石の山本もここで、
山本五十六私の機動部隊長官就任は
断念しよう・・・
「断念する他ない」と判断するに至りました。
第一航空艦隊司令長官は、南雲忠一のままで作戦・人事が最終決着します。
米海軍ならば、前線の太平洋艦隊司令長官に戦略指揮と各艦隊幹部の人事権が、ある程度は委ねられていました。
対して大日本帝国海軍は、全く異なる組織でした。
とにかく人事権・作戦決定権は、後方の海軍省・軍令部が握っていました。
永野修身軍令部の領域は、
特別に折れて、山本案を認めたのだ！
及川古志郎人事権は、海軍省の最も大事な
権限だ！
及川古志郎この海軍省の領域までは、
山本案は承認しない！
とにかく「メンツと自己の存在が最優先」である及川大臣。
及川古志郎私のメンツは
どうなる！
大きな権限を持たない、連合艦隊司令長官の立場が鮮明になった瞬間でした。
山本五十六私に人事権は
ないか・・・・・
つまり、連合艦隊司令長官は単なる「連合艦隊の前線司令長官」に過ぎない存在であったのでした。
山本五十六・・・・・
このギクシャクした人間関係のまま、ハワイ真珠湾奇襲攻撃の作戦・人事は最終決定となりました。
海軍内で米国との戦争に備え、長々と揉めている間。
この間も日米交渉は、続けられていました。
そして、この頃からすでに「暗号を解読されていた」大日本帝国。
Hullさて・・・
次にJapanはどう出てくるかな・・・
HullJapanの暗号解読を
徹底的に進めよ！
米情報部Aはっ！
Hullまあ、Japanの「手の内」は、
全部お見通しだがな・・・
万全の暗号解読の体制を整えている米国は、静かに日本の動きを睨んでいたのでした。
次回は上記リンクです。
