前回は「英国の未来 6〜激論続けるトラス外相・スナク財務相・成熟した英国の民主主義・潜在能力抜群の英国の底力〜」の話でした。
英国新首相=保守党新党首

間もなく来月9月5日に決定する、英国新首相=保守党新党首。

世界的に、LNGなどのエネルギー価格が高騰し、英国では「光熱費上限を80%引き上げ」が決定しました。
「80%引き上げ」という尋常ならざる事態に対して、新首相がどのように対応するのか、が問われています。

「困窮する世帯への追加支援策」の明示を求められているスナーク元財務相・トラス外務相。

これまでも様々な憶測がありましたが、この「追加支援策」次第で、党首選の結果が変わる可能性があります。
急速なインフレ:高騰する電気ガス料金
今月末に、「保守点検」で「ノルドストリーム2停止」を発表しているロシアのガスプロム。

カナダなどからのLNG等エネルギー輸入を急ぐドイツですが、エネルギー供給を急速に変えるのは不可能です。
ノルドストリームによる供給が回復しない場合、ドイツは今年の冬にも非常に困難な事態となる見込みです。

欧州全体が、天然ガス価格高騰・ガス不足による「恐ろしい冬」に怯えている状況です。
続くポンド下落と英国新首相の方針

FRBのパウエル議長の講演後に、大きく下げた米株価。
欧州株価も下げる一方で、英独仏各国で「コロナ前」の株価より下げています。
米国・日本も「下げている」とはいえ、「コロナ前」より7~10%程度上げています。
日本株の上昇は「円安の影響」も大きいです。
コロナ前に、1ドル=約108円だった対ドル相場は、1ドル=138円程度と「30%近く下落」しています。
英国ポンドは、コロナ前に「1ドル=約0.77ポンド」だったのが、最近は「1ドル=約0.85ポンド」と10%ほど下落しています。
同様にユーロも対ドルで、10%程度下落しています。
この中、支援策に悩む英国新首相。
あまりに追加支援等を大きくすると、ポンドが更に下落する可能性もあります。
新首相の力量が試されますが、当面は「国民生活最重視」の方針となるでしょう。