いとも簡単に「書面のミス」とする不思議な弁護士たち〜「とにかく書面」で淡々と進行する裁判・書面での「静かな戦い」〜|法曹界の謎2

前回は「「一人歩きする」訴状や準備書面と「一人歩きしない」設計図書〜「とにかく書面が最重要」の法曹世界・弁護士の最重要業務「書面作成」〜」の話でした。

目次

「とにかく書面」で淡々と進行する裁判:書面での「静かな戦い」

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建築工事見積書(新地球紀行)

建築裁判に関わるようになって、10年ほど経過しました。

それまでは、裁判の世界は全く知らず、裁判所に行ったことも勿論ありませんでした。

「裁判の現場」に関わる人は、原告か被告以外には「なんらかの活動に関わる人」の傾向があります。

多くの裁判は、「誰でも傍聴する権利がある」のですが、

日本人D

裁判を傍聴出来ることは
知っているけど・・・

日本人D

裁判所に行こうと思った
ことはないかな・・・

「裁判所に行こう」とは、なかなか思わないことです。

そのため、多くの人にとっては「裁判の実態は全く不明」です。

日本人D

裁判の雰囲気は、
時々ドラマとかであるね・・・

そして、「裁判のイメージは、テレビドラマ」となります。

裁判に関わって、非常に驚いたことがあり、「書面が極めて強い存在感を持っている」ことです。

裁判における書面等

・訴状、準備書面等の主張書面

・書証、証拠などの書類

弁護士C

それでは、原告の
主張は、この書面です・・・

裁判官A

原告の準備書面を
読みましたが、被告は反論ありますか?

弁護士A

被告は反論があるので、
次回期日前に準備書面と書証を提出します。

このように、ほとんどの裁判は「粛々と書類ベースで進行」する傾向があります。

侃侃諤諤の議論があると思っていましたが、裁判所の雰囲気は「シーンとした空間」です。

裁判官A

被告の準備書面を
拝見しましたが、原告の反論は?

弁護士C

原告は反論があるので、
次回期日前に準備書面を提出します。

裁判官A

それでは、次回期日は
〜日でいかがですか?

とにかく「書面に記載された主張」と「主張を補完する書証と証拠」ベースで淡々と進行する裁判。

時々、テレビなどで「10年以上かかった裁判」のニュースがありますが、裁判は時間がかかります。

このように「原告と被告の主張」だけで、優に1年は「粛々と進行」する裁判。

裁判官A

どうも原告の主張は
疑わしいな・・・

原告と被告の書面を読み込みながら、裁判官は「心証」を持ってゆくようですが、

裁判官A

まあ、もう少し
原告と被告に論争してもらおうか・・・

書面での「静かな戦い」が延々と続きます。

いとも簡単に「書面のミス」とする不思議な弁護士たち

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東京地方裁判所(新地球紀行)

この「書面超重視」の傾向が極めて強い裁判においては、当然ながら「書面が超重要」です。

そして、裁判は「書面次第で進行が全て決まる」ことになり、

裁判官A

原告と被告の書面を
検討した結果・・・

裁判官A

まずは、〜という
和解案を提示したい・・・

損害賠償裁判が多く「お金が結論」である建築裁判では、和解案が提示されることが多いです。

この和解案は、原告の主張・反論と被告の反論を裁判官自身(大事件の場合は複数)が判断して、

裁判官A

この和解案を
双方で検討頂きたい・・・

「原告か被告の主張の間」ですが、「原告か被告の、どちらかに不利」な内容となります。

場合によっては、裁判官が抱く心証の影響が如実に表れて、

弁護士A

この和解案は、被告にとって
ほとんど敗訴に近い・・・

どちらかにとって「敗訴に近い」和解案が提示されるケースもあります。

和解案で妥結しない場合は、判決に向かいますが、多くの場合は和解で終了します。

そして、和解・判決いずれにしても、裁判官は「書面と書証によって全てを判断する」傾向があります。

弁護士は、原告や被告と様々な打ち合わせをして、主張書面を作成します。

弁護士C

原告の主張を考慮すると、
次回は、この書面を裁判所に提出したいですが・・・

弁護士は「代理人」という強力な権限を持ちます。

一方で、「代理」である以上、本人に確認する必要があります。

被告P

書面確認しましたが、
先生の書面通りで結構です・・・

弁護士は「提出書面の確認」を当事者に求めますが、ほぼ原案通りで進みます。

被告P

裁判に関しては素人だから、
書面のことは、よく分からない・・・

「裁判の素人」である一般人である原告・被告は、「弁護士任せ」になる傾向があります。

弁護士C

それでは、この書面を
裁判所に提出させて頂きます・・・

そして、担当弁護士は、主張書面と書証などを裁判所に提出します。

この業務の流れから、弁護士の業務は「書面作成が根幹」であり、

弁護士C

この裁判の書面を提出したから、
次の事件の裁判の書面を・・・

「書面によって収入を得る」とも言えます。

この「弁護士業務の根幹」である書面において、建築裁判では、

Yoshitaka Uchino

設計や工事に関して、
色々と主張しているが・・・

Yoshitaka Uchino

この点とこの点が
完全に不合理だ・・・

建築士の視点から見ると、「不合理であること」や「不自然なこと」が記載されている場合があります。

この点を、建築士から弁護士に説明して、

弁護士A

建築士の指摘で、
原告の主張に不自然な点があります!

弁護士A

具体的には〜で、
原告の主張には、不備があります!

具体的な内容を文章として、当方の弁護士に主張書面を作成してもらうことが多いです。

ケースにもよりますが、「どうやっても合理的反論は難しい」となると、

弁護士C

先日の書面で
ミスがありました・・・

弁護士C

準備書面〜における
主張を変更し、追加書証を提出します!

いとも簡単に「書面をミスとして、修正・変更する」弁護士が時々います。

ミスの程度にもよりますが、多くの場合で「根幹となる部分」を「ミス」として片付けることがあります。

「書面が超重要」である視点から考えると、弁護士が「書面がミス」とする姿勢に対しては、

Yoshitaka Uchino

なぜ、ミスで終わりにして、
変更・修正出来るのだろう?

建築士の視点から考えると、どうしても納得が出来ないです。

この「書面のミス」が通るならば、「何を主張しても後で変更可能」となってしまいます。

裁判所も法曹界も「安易に書面の主張をミスとする」ことに対しては、厳しい姿勢を持つべきです。

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