「奇襲攻撃と日米交渉両建て」の日本〜異様に「にこやか」な野村・来栖大使・米国の冷たい視線・弱気な南雲長官と強気な草鹿参謀長・確実に戦争に向かう米国〜|リメンバー・パール・ハーバー28・真珠湾奇襲攻撃

前回は「真珠湾へ向かう空母機動部隊〜山本長官の対米戦への「半年から一年は暴れてご覧にいれる」本音・空母航空隊を育て上げた山本五十六・交錯する提督たちの思い〜」の話でした。

目次

異様に「にこやか」な野村・来栖大使:米国の冷たい視線

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ルーズベルト大統領と日米交渉直後の野村吉三郎・栗栖三郎 米国大使:1941年11月27日(Wikipedia)

ついに1941年11月26日に、連合艦隊の第一航空艦隊が真珠湾奇襲攻撃に向かいました。

そして、その翌日である11月27日には「継続中の日米交渉」が行われました。

ルーズベルト大統領と会談後に、異常に「にこやかな表情」を見せつけた野村・来栖両大使。

上の写真を見ると、「にこやか」なのは野村・来栖両大使のみであるのが分かります。

周囲を取り囲む記者たちは、

一体、我がUnited Statesと
Japanはどうなっているんだ?

もはやJapanとは
戦争しかない空気だが・・・

なぜ、このNomuraとKurusuは、
こんなにもにこやかなんだ・・・

なんだか、Japaneseは
不気味な連中だな・・・

こんな思いを抱いていたでしょう。

一種異常なまでに「にこやか、朗らか」な表情の野村・来栖大使。

大統領とは
良い話が出来ましたよ・・・

それに対して、記者たちの表情は、「険しい」を超えて「引きつっていた」のが分かります。

中には、ほとんで野村と来栖を睨んでいるような表情の記者たちもいました。

後世から見ると、「不気味」を超えて「間抜け」でしかない野村・来栖大使の表情と空気感。

この「異常な空気感」こそが、と当時の日本と米国の「国家の立場と空気感」を示していました。

弱気な南雲長官と強気な草鹿参謀長

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左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

そして、何はともあれ、万全を期して真珠湾に向かっている第一航空艦隊。

もともと、奇襲攻撃に大反対だった南雲長官。

本当に奇襲攻撃は
成功するのだろうか・・・

不安で不安で仕方なかった南雲長官は、

やはり、この攻撃部隊の長官は
引き受けるべきではなかったか・・・

と弱音を吐きますが、意気揚々とした草鹿参謀長は、

大丈夫ですよ!
私がおりますから!

懸命に南雲長官を励ましていました。

空母六隻を主軸とする「前代未聞の大部隊」が「前代未聞の遥か遠く」を攻撃する異常な作戦。

実際、投機性が強すぎる
作戦だが・・・

もうままよ・・・
エイッとやるしかないわ!

剣術の達人でもあった草鹿龍之介参謀長は、「思い切ったらやる」人物でした。

この点において、「どう考えても困難」な真珠湾奇襲攻撃の参謀長としては最適だったでしょう。

弱気な南雲長官と強気な草鹿参謀長というセットは、ある意味でベストでした。

この「投機性が強すぎ、危険すぎる」作戦には。

海軍兵学校卒業期名前役職
32山本 五十六連合艦隊司令長官
36南雲 忠一第一航空艦隊司令長官
40宇垣 纏連合艦隊参謀長
41草鹿 龍之介第一航空艦隊参謀長
連合艦隊幹部の海軍兵学校卒業期(真珠湾奇襲攻撃)

日米戦は、この真珠湾奇襲攻撃に
全てがかかっているのだ!

だが、日米交渉妥結の際は、
ひっかえしてこい!

この「乾坤一擲」と「即時退却」という「完全に相反する命令」を出した山本長官。

この時点で「既に軍神」となっていた山本長官は、「大日本帝国海軍の顔でありシンボル」でした。

確実に戦争に向かう米国:「奇襲攻撃と日米交渉両建て」の日本

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南雲機動部隊のハワイ奇襲攻撃の航路図(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

空母・航空隊の「ズブの素人」であった南雲長官ですが、水雷と操艦のプロでした。

当時、南雲長官ほどの軍歴を持つ高い立場で、これほど操艦能力が高い提督は皆無でした。

慎重に、着実に
真珠湾を目指すのだ!

事前に米軍の哨戒に引っ掛かってはならなく、秘匿第一の作戦であり、安全第一の作戦でもあります。

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戦艦大和(Wikipedia)

真珠湾奇襲攻撃のちょうどこの頃、「大日本帝国海軍と連合艦隊のシンボル」戦艦大和が完成します。

戦艦大和の巨砲で
米海軍を叩き潰すのだ!

戦艦大和の建造を最も強く推進した「大艦巨砲主義の権化」の宇垣纏参謀長。

これからは空母・航空隊の
時代なのだ!

この宇垣参謀長は、「空母航空派の急先鋒」であった山本長官の補佐役をしていました。

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第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

世界の海軍では、まだまだ「戦艦中心主義」でしたが、いち早く空母機動部隊を整えた日本。

この点では、当時の大日本帝国海軍は「世界最強であった」と表現しても良いでしょう。

そして、「大日本帝国海軍の虎の子」である正規空母六隻を率いて奇襲に向かう南雲長官。

本当に
大丈夫だろうか・・・

「不安にならない」方が「どうかしている」極限の状況の中、着々と真珠湾に向かっていました。

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左上から時計回りに Adolf Hitler独総統、Winston Churchill英首相、Franklin Roosebelt米大統領、東條英機首相(Wikipedia)

Japanとは
もはや戦争しかないな!

どうやって、
Japanを追い込んでやろうか!

日本が「奇襲攻撃と日米交渉の両建て」で挑む中、米国は完全に戦争に心が決まっていました。

次回は上記リンクです。

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