日米開戦へ向けて完全準備する米国〜交錯する東條首相の真意と山本長官の真意・明確な国家戦略・日米開戦の行方・ズレる日本政府と軍部の思考〜|リメンバー・パール・ハーバー25・真珠湾奇襲攻撃

前回は「米国が理解できなかった「日本の意味不明な姿勢」〜「ヒトラーの友達」を送り込んだ日本・強い不信感をもったハル長官・いよいよ対米戦を決意した日本・近衛総理から東條総理へ〜」の話でした。

目次

日米開戦の行方:ズレる日本政府と軍部の思考

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左上から時計回りに Adolf Hitler独総統、Winston Churchill英首相、Franklin Roosebelt米大統領、東條英機首相(Wikipedia)

1940年に日独伊三国同盟を締結して「正式に枢軸国入り」を果たした日本(大日本帝国)。

ところが、近衛文麿首相は、

我が大日本帝国は
枢軸国陣営ですが・・・

米国とは
仲良くしたいのです・・・

と主張し、「米国との融和路線」を堅持しました。

Japanは、
枢軸国の一員になったんだろう・・・

枢軸国は、我が米英にとっては
どう考えても敵だ・・・

Hitlerは、我らの価値観では、
「人類の敵」であり倒さねばならん!

枢軸国なのに、
我がUnited Stateと融和だと?

二元論が主軸の米国から考えると「意味不明の日本の姿勢」でした。

この中、近衛首相と東條英機陸相が完全に意見が割れ、決裂してしまいました。

これはどう考えても、
米国とは戦争しかないだろう・・・

近衛総理は甘い!
甘すぎる!

陸相
辞任します!

東條陸相に辞任され、陸軍は、

近衛内閣に
陸相は出しません!

無念だ
・・・・・

ここで、1941年10月18日に近衛内閣は倒閣してしまい、同日に東條内閣が成立しました。

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昭和天皇(Wikipedia)

東條よ・・・
内閣を組閣せよ・・・

はっ!
私が組閣致します!

日米交渉妥結に
尽力せよ!

ははっ!
承知致しました!

根が真面目な東條首相は、「天皇陛下のお考え」を最優先しますが、

米国とは融和と戦争の
両方で考えねば・・・

客観的に考えれば、「日米開戦に向かって一直線」であった当時。

日本政府の首班となった東條首相と、東條首相が握っていた陸軍の思考はズレていました。

交錯する東條首相の真意と山本長官の真意

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東條内閣:1941年10月18日(Wikiepdia)

近衛内閣が倒閣して、東條内閣が成立したのは1941年10月18日のこと。

この時点から2ヶ月経過しない1941年12月8日に、真珠湾奇襲攻撃が実行されました。

日本政府の首班であり、天皇陛下の御心を最重視していた東條首相は、

とにかく、天皇陛下の
御心通り「日米交渉が妥結」出来れば良い!

だが、我が陸軍の権益を
失うことは一切ダメだ!

こう考えていたのでした。

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山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

この頃、真珠湾奇襲攻撃の準備を着実に進めていた山本五十六 連合艦隊司令長官。

米国と戦っても
絶対に勝てん!

デトロイトの自動車工場や
テキサスの油田を見てみろ!

しかし、米国と「開戦せざるを
得ない」場合はどうしますか・・・

うむ・・・
・・・・・

米国には勝てんが、
戦争になるならば、暴れてみせよう!

それに向けて
海軍は、真珠湾奇襲攻撃を準備万端にする!

開戦初頭で米海軍に痛撃を
与えるしか、日本に勝ち目はない!

天皇陛下と
東條首相は「日米交渉最優先」ですが・・・

当然だ!
日米交渉妥結すれば、最も良い!

とにかく、日米交渉の「和平」と
真珠湾奇襲攻撃の「戦争」の両立てで進めるのだ!

我が海軍としては、
最後の最後まで「日米交渉妥結」を諦めん!

山本長官自身は「最後の最後まで日米交渉妥結」を望んでいました。

このように、陸軍の東條首相と海軍の山本長官の真意は交錯を続けていました。

この「日米戦争準備」と「日米交渉妥結」は、戦略的思考ではなく「玉虫色的思考」でした。

一体、日米関係は
どうなるんだ?

戦争か交渉妥結か、
どちらなのか?

そして、それぞれの周辺の陸海軍および日本政府の幹部たちも様々な思いを抱いていたのでした。

何となく「ハッキリしない」思考であり、「緊急事態を先送りする」思考とも言える発想でした。

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Cordell Hull米国長官(Wikipedia)

これに対して、米国のハル国務長官は、

JapanはChinaに
侵攻しすぎだ・・・

大体、奴らは
Manchuria(満州)に傀儡政権を建てた・・・

それだけでも「一定のライン」を
超えているのに、さらに領土を広げている・・・

この勢いでは、Chinaだけでなく、
Asiaが全てJapanになってしまう・・・

そんなことは
絶対に認めん!

米国は「中国で侵攻を続けていた」日本の姿勢を、既に「絶対に認めるつもりはなかった」のでした。

日米開戦へ向けて完全準備する米国:明確な国家戦略

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Franklin Roosebelt米大統領(Wikipedia)

Japanの真意は
どこにあるのだ?

Japanは本気で
我がUnited Statesと友好関係を保とうとしているのか?

これまでの経緯からして、
考えにくいのですが・・・

JapanはNomuraとKurusuの
二人を米国大使として、我が国へ派遣し・・・

NomuraとKurusuは
私と交渉を続けています・・・

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Cordell Hull国務長官と野村・来栖米国大使(歴史街道 2021年12月号 PHP研究所)

何がなんだか
さっぱり分からんな・・・

大体だ!Franceを占領し、
United Kingdomと戦っているHitlerと組んでおいて・・・

さらにJapanは、Chinaでの
侵攻をガンガン続けて・・・

それで、我がUnited Statesと
友好関係だと?

あり得ない
だろう!

おっしゃる通りです・・・
もはや、Japanとは戦争しかないかと・・・

あとは、Japanとの
開戦をどう始めるかだな・・・

なんと言っても、大統領選の公約から、
こちらから参戦は出来んからな・・・

Japanとは開戦準備を
万全にします!

よしっ!あとは、
どうJapanに「こちらを攻撃させる」かだな!

Japanは「開戦せざるを得ない」
状況になるでしょう・・・

その文章は
こちらで準備を進めます・・・

東條内閣成立の頃には、ルーズベルト大統領らは「日米開戦のみ」と判断していました。

そして、のちに「ハル・ノート」と呼ばれる文書を作成に入ったハル国務長官。

Tojoの考えが甘いことを、
ハッキリと教えてやろう!

日本の「和平と戦争の両方の路線」とは大きく異なる米国。

米国は、「明確な一つの目標」に絞って全力を上げていました。

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