前回は「リメンバー・パール・ハーバー 13〜煩悶する山本長官〜」の話でした。

荒々しい性格で知られる南雲忠一は、山本五十六とは性格が合いません。

南雲とは気が合わないのだが・・・
山本とは盟友関係にある井上成美 第四艦隊司令長官がかつて軍令部 軍務局第一課長としていた頃の話。
当時、井上軍令部第一課長は、軍令部の権限を大幅に強化する法案に反対していました。


反対する井上に対して、痺れを切らした推進派の南雲忠一。


酔った勢いで、



井上の馬鹿!



貴様なんか殺すのは、何でもないんだ!



短刀で脇腹をぐさっとやれば、貴様なんかそれで終わりだ!
と詰め寄ったことがあります。
海兵36期卒業の南雲に対して、37期卒業の井上は「一期後輩」です。
しかし、山本長官は職場で、こういうことは絶対に言いません。



南雲は、
一体何考えているんだ?
また、山本は海軍兵学校同期の堀悌吉と大変親しい仲でした。


「肝胆相照らす」とは、まさに山本と堀のためにあったような言葉とも言える、極めて良い関係でした。
ロンドン軍縮条約の際に、米英に対して日本の艦船比率が抑えられそうになった時のこと。


日本海軍内で、派閥が二つに割れて、非常に大きな争いとなりました。
「条約推進派」の堀に対して、「艦隊は出来るだけ多くすべきだ」という「艦隊派」の争い。
後に艦隊派が大勢を占め、堀は海軍を追われることになりました。
山本五十六にとって、それは痛恨時とも言えることでした。





頭脳明晰で、人柄優れた
堀を予備役(クビ)にするとは・・・



一体何考えているんだ!



堀よ・・・・・
この時、軍令部の幹部として「艦隊派」にいた南雲。



南雲も堀を追った一味ではないか!
山本長官にとって「憎き奴」なのです。



やはり、南雲は好まない!
南雲に「奇襲攻撃の司令長官を任せる」気持ちには到底なれない山本長官でした。