前回は「リメンバー・パール・ハーバー 10〜立ちはだかる年功序列制度〜」の話でした。

山本長官の主張する「小沢治三郎を機動部隊の長官に」を絶対に認めない、及川海軍大臣。

ダメったらダメ!



なんど言っても同じ。





「先任順序」を乱すことは、
絶対にできぬ!
及川大臣は、山本の人事変更案を断固突っぱねます。



そこをなんとか・・・



なんとか、ならない!
また、読書家でもある及川大臣にとって、「秩序を乱す」ことは論外です。
ほとんど「年功序列」とも言える悪弊を、米国との戦争という非常時においても守ろうとする及川大臣の頑迷さ。
この及川大臣の姿勢こそが、論外であったのです。





南雲は、空母の素人です!



素人であろうが、制度が大事!



草鹿や源田が補佐するから
大丈夫!





・・・・・
米軍では、およそ考えられないでしょう。
「能力あるものが上に立ち、責任者となる」のが欧米での通念です。
まして、
補佐役の草鹿参謀長と
源田参謀がいるから
みたいな、低レベル極まりない発想。
実に日本的でした。
そして、どうしようもなく低レベルな状況でした。
航空艦隊司令長官という最高意思決定者こそ、最高責任者かつ最高権限者であり、補佐役は補佐役に過ぎないのです。
責任者は「きちんと自己の責任のもとに、権限も持つ」という基本が出来ていない組織でした。
平時ならば及川古志郎のような、凡庸極まりない人間が人事決定者であっても良いでしょう。
しかし、戦時という緊急時においては、こういう人間が意思決定者であることは、存在自体が弊害でした。
「及川古志郎」という存在自体が、日本海軍の大きな害だったのです。
この「硬直した人事」という「戦時における最悪の弊害」を引きずったまま、日本は敗戦へと突き進むことになります。