山本五十六連合艦隊司令長官の「辞任」攻撃〜日本海軍のシンボル”Yamamoto”・機動部隊司令部の思惑・消極的賛成に回った草鹿参謀長・困った伊藤次長の「奥の手」・大先輩登場〜|リメンバー・パール・ハーバー4・真珠湾奇襲攻撃

前回は「禁じ手に踏み切る山本五十六連合艦隊司令長官〜連合艦隊司令長官の権限と軍令部・原油の確保を最優先する軍令部・正統派の伊藤次長〜」の話でした。

目次

山本五十六連合艦隊司令長官の「辞任」攻撃:日本海軍のシンボル”Yamamoto”

山本五十六 連合艦隊司令長官(Wikipedia)

しびれを切らして、遂に「奥の手=禁じ手」に踏み切った山本五十六。

ハワイ奇襲攻撃を了承しなければ、
連合艦隊司令長官を辞任する!

山本五十六連合艦隊司令長官の申し出に、軍令部は困り果てます。

伊藤整一 軍令部次長(Wikipedia)

「山本長官が、
辞任する」だと・・・

連合艦隊司令長官は、
山本さんしかいない・・・

当時の日本海軍において、「軍を抜いた存在」であった山本五十六。

海軍省にいた頃は海軍次官として、米国や英国を様々な交渉を行い、海外にも名を馳せていました。

山本はいわば「日本海軍のシンボル」だったと言えるでしょう。

対外的にも「日本が米国に戦争を仕掛ける」ならば、指揮官は山本五十六以外には「あり得ない状況」でした。

1934年のロンドン軍縮条約に海軍首席代表として出席する山本五十六(Wilipedia)

実際に、軍略や戦略などで山本五十六を超える人物はいました。

米国との戦争を行い、最前線に立つ連合艦隊司令長官は「海軍の顔」です。

米国滞在時の山本五十六:1920年代後半(Wilipedia)

日本的考え方では、海軍を統括できるのは山本しかいません。

その山本に連合艦隊司令長官を辞任されては、米国とはとても戦えません。

山本五十六は、分かっていたのでしょう。

俺の代わりに連合艦隊司令長官として、
米国と戦える人物が日本海軍にいるのか?

いないだろう・・・

ならば、私の信念を信じて、
任せて欲しい!

そして、職を賭して「禁じ手」に打って出てきたのでした。

機動部隊司令部の思惑:消極的賛成に回った草鹿参謀長

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

こうして真珠湾奇襲計画が揉めている間、南雲第一航空艦隊司令長官は反対の姿勢を崩しません。

南雲第一航空艦隊司令長官は、奇襲攻撃の実行部隊の司令長官・責任者です。

絶対に
無理だ!

もともと南雲長官と山本長官はウマが合わず、大して口をきく間柄でありませんでした。

この前後、前線で「実際にハワイ奇襲攻撃を実施する」南雲機動部隊の参謀長 草鹿龍之介。

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

山本長官に直接会って、
作戦実施を断りにいく!

作戦実施部隊の責任者として、断固断りに山本長官のもとへ向かった草鹿参謀長。

ここで、同じ海軍兵学校卒業で、9期上の山本長官ならぬ「山本先輩」は、

草鹿くん・・・

はい・・・

ハワイ奇襲攻撃は、
私の悲願だ。

私の信念なのだ。
なんとか協力してくれ。

草鹿に懇願します。

9期も上の先輩に懇願されては、断れません。

分かりました・・・

山本長官にここまで
言われてしまっては・・・

とても
断れるものではない・・・

山本に懇願されて断りきれなかった草鹿参謀長。

草鹿は、真珠湾奇襲攻撃に対して「消極的賛成」に回ります。

困った伊藤次長の「奥の手」:大先輩登場

世界の原油生産量 1940年(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

軍令部次長として、海軍全体の作戦指示の統括をしていた伊藤整一。

困り果てた伊藤次長。

本来、次長である自分が却下すれば、
即廃案になるのだが・・・

本来はそうなのですが、山本長官は絶対に折れません。

伊藤次長にとって、山本長官は海軍兵学校の先輩です。

こういう時、「先輩後輩」の関係は多少なりとも影響します。

山本長官ならぬ「山本先輩」が、絶対折れません。

軍令部としては、
南方資源地帯の確保最優先なのだが・・・

山本長官に、
何度も何度も言ったが・・・

全く
耳を貸してくれない・・・

・・・・・

「禁じ手」を出した山本長官に対して、「手の打ち様がない」伊藤次長。

ここで、伊藤次長は「奥の手」を思いつきます。

「禁じ手」には
「奥の手」で応じるしかない・・・

大先輩に、
却下してもらうしかない

伊藤次長は、永野軍令部総長に山本長官の「辞職宣言」を伝えます。

軍令部総長は陸軍では参謀総長にあたり、日本政府の超重鎮です。

永野さんに「絶対ダメだ」と
言ってもらおう。

そして、山本長官には
真珠湾奇襲攻撃を諦めてもらおう。

大先輩登場。

永野修身 軍令部総長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

永野軍令部総長は、山本の連合艦隊司令長官の前々任者です。

永野総長も、また悩みます。

う〜む・・・・・

米国と戦う前から、こんなに揉めてしまって
どうするんだ?

新地球紀行

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