山本五十六連合艦隊司令長官の執念と乾坤一擲の作戦〜山本長官の「危険すぎる」投機的作戦・猛反対する海軍将官たち・伊藤軍令部次長〜|リメンバー・パール・ハーバー2・真珠湾奇襲攻撃

前回は「リメンバー・パール・ハーバー 1〜日本の宣戦布告後の奇襲攻撃・山本五十六連合艦隊司令長官〜」の話でした。

目次

山本五十六連合艦隊司令長官の執念と乾坤一擲の作戦

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

連合艦隊司令長官となった山本五十六。

米国に勝つのは、
非常に難しい!

国力が、
国の総合力が違いすぎる・・・

現代でも、日本と米国では国力が全く違います。

それでも、現代は高度成長期に日本が急成長したので、GDPは米国の1/6ほどある日本。

国名GDP(Trillion Dollars)
米国26.85
中国19.37
日本4.40
ドイツ4.30
インド3.73
世界各国GDP:2023年(Wikipedia)

真珠湾開戦時では、日本は米国の1/9程度のGNPしか有していませんでした。

国名GNP(億ポンド)
米国173.5
英国48.0
ソビエト連邦86.4
ドイツ72.4
日本18.3
世界各国GNP:2023年(Wikipedia)

さらに、原油が唸るほど自国で算出できる米国。

対して、原油がほとんど内地では産出しない日本。

当時の米国と日本の国力の違いは、「米国が日本の20倍以上」と言っても過言ではなかったのです。

その中、

勝つためには、緒戦で米軍に大打撃を与え、
米国民を意気消沈させるしかない

山本長官は、米国への奇襲攻撃を考えます。

その奇襲攻撃の標的。

左上から時計回りに Adolf Hitler独総統、Winston Churchill英首相、Franklin Roosebelt米大統領、東條英機首相(Wikipedia)

それは、日本にとって米海軍最前線基地であり、大型の基地であったハワイでした。

山本長官が、いつ頃からハワイ奇襲攻撃を考えていたのかは不明です。

日独伊三国軍事同盟締結直前に連合艦隊司令長官となり、その頃から日米開戦を念頭に、考えていたに違いないでしょう。

この「緒戦で米国に大打撃を与えれば、米国民が意気消沈」と山本が考えた点。

この点には、僕は大いなる疑問を感じます。

実際に米国へ行ってみて、米国の国・国民たちをみてみれば、到底思えません。

「最初に、おもっきりぶん殴ったら意気消沈する国民」とは。

ニューヨーク(新地球紀行)

むしろ、猛然と反撃してくるイメージです。

米国駐在を経て、米国民をよく知っているはずの山本五十六。

その「知米派」であった山本ですが、なぜこのようなことを考えたのでしょうか。

僕には、不思議でならない。

山本長官の「危険すぎる」投機的作戦

いずれにしても、真珠湾奇襲攻撃を本気で考え、強烈に推進した山本長官。

米国海軍に緒戦で壊滅的ダメージを与え、
米国政府及び米国民を、意気消沈させる!

そして、日本に早期講和を
打診してくる状況をつくり出す!

そのために、
我が空母の航空部隊が大挙して・・・

米太平洋艦隊の真珠湾を
奇襲攻撃するしかない!

山本長官が強く、強く主張したハワイ真珠湾奇襲攻撃。

一方で、この奇襲攻撃は、当時の各国海軍の発想からは大きく逸脱していました。

大きく逸脱した
発想だからこそ、価値がある!

強い新年持つ山本長官は、

危険すぎます!

と、軍令部から猛反対を受けます。

当時、連合艦隊司令長官であり、「日本海軍のトップ」であったと誤解されがちな山本長官。

実は、海軍の権限は山本長官の手には、ほとんどありませんでした。

職名氏名権限
軍令部総長永野修身軍令・作戦
海軍大臣及川古志郎人事・兵站・管理
連合艦隊司令長官山本五十六前線の作戦指揮
日本海軍の三顕官

実際には、山本長官は「前線の海戦指揮」ほどの権限しか持っていませんでした。

連合艦隊への作戦指導権を握る、永野修身軍令部総長。

永野修身 軍令部総長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

それは無理だろう。
危険すぎる!

とにかく、軍令部が賛成してくれなければ、「作戦実行は不可能」な状況です。

実施部隊を率いる予定の第一航空艦隊司令長官 南雲忠一もまた反対していました。

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61新人物往来社)

そんなこと
できるわけないだろう!

そもそも、米太平洋艦隊の総本部のハワイへ、近づくことすら容易ではないのです。

その米太平洋艦隊の総本部:ハワイへ

悟られないように大部隊で近づいて、
奇襲攻撃をしろ!

ということは、

無理だ!

と考えるのが自然だったのです。

猛反対する海軍将官たち:伊藤軍令部次長

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本戦記シリーズNo.61 新人物往来社)

南雲機動部隊の「航空部隊の事実上の指揮官」である第一航空艦隊参謀長・草鹿龍之介。

草鹿参謀長もまた、猛反発します。

そんな無茶なこと、
出来るわけないだろう!

山本長官は、
一体何を考えているんだ!

伊藤整一 軍令部次長(Wikipedia)

軍令部の事実上の最高意思決定者である、伊藤整一次長も反対です。

こんな投機的
作戦は、認められない!

日本の大事な空母を
一気に投入するなんて!

そして、軍令部が揃って反対の意を唱えます。

山本長官は博打が好きだから、
こんな投機的なことを考えるのだ。

日本海軍の虎の子の空母を全部ハワイに行かせて、
やられてしまったらどうするんだ?

軍令部は、どうあっても賛成しません。

山本長官は「軍令部にハワイ奇襲攻撃を認可してもらう」ために、必死に考えます。

新地球紀行

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