前回は「リメンバー・パール・ハーバー 1〜日本の宣戦布告後の奇襲攻撃・山本五十六連合艦隊司令長官〜」の話でした。

山本長官の乾坤一擲の作戦:真珠湾奇襲攻撃
連合艦隊司令長官となった山本五十六。

米国に勝つのは、
非常に難しい!



国力が違いすぎる。
現代でも、日本と米国では国力が全く違います。
それでも、現代は高度成長期に日本が急成長したので、GDPは米国の1/6ほどある日本。
国名 | GDP(Trillion Dollars) |
米国 | 26.85 |
中国 | 19.37 |
日本 | 4.40 |
ドイツ | 4.30 |
インド | 3.73 |
真珠湾開戦時では、日本は米国の1/9程度のGNPしか有していませんでした。
国名 | GNP(億ポンド) |
米国 | 173.5 |
英国 | 48.0 |
ソビエト連邦 | 86.4 |
ドイツ | 72.4 |
日本 | 18.3 |
さらに、原油が唸るほど自国で算出できる米国。
対して、原油がほとんど内地では産出しない日本。
当時の米国と日本の国力の違いは、「米国が日本の20倍以上」と言っても過言ではなかったのです。
その中、



勝つためには、緒戦で米軍に大打撃を与え、
米国民を意気消沈させるしかない
山本長官は、米国への奇襲攻撃を考えます。
その奇襲攻撃の標的。


それは、日本にとって米海軍最前線基地であり、大型の基地であったハワイでした。
山本長官が、いつ頃からハワイ奇襲攻撃を考えていたのかは不明です。
日独伊三国軍事同盟締結直前に連合艦隊司令長官となり、その頃から日米開戦を念頭に、考えていたに違いないでしょう。
この「緒戦で米国に大打撃を与えれば、米国民が意気消沈」と山本が考えた点。
この点には、僕は大いなる疑問を感じます。
実際に米国へ行ってみて、米国の国・国民たちをみてみれば、到底思えません。
「最初に、おもっきりぶん殴ったら意気消沈する国民」とは。


むしろ、猛然と反撃してくるイメージです。
米国駐在を経て、米国民をよく知っているはずの山本五十六。
その「知米派」であった山本ですが、なぜこのようなことを考えたのでしょうか。
僕には、不思議でならない。
山本長官の「危険すぎる」投機的作戦
いずれにしても、真珠湾奇襲攻撃を本気で考え、強烈に推進した山本長官。



米国海軍に緒戦で壊滅的ダメージを与え、
米国政府及び米国民を、意気消沈させる!



そして、日本に早期講和を
打診してくる状況をつくり出す!



そのために、
我が空母の航空部隊が大挙して・・・



米太平洋艦隊の真珠湾を
奇襲攻撃するしかない!
山本長官が強く、強く主張したハワイ真珠湾奇襲攻撃。
一方で、この奇襲攻撃は、当時の各国海軍の発想からは大きく逸脱していました。



大きく逸脱した
発想だからこそ、価値がある!
強い新年持つ山本長官は、
危険すぎます!
と、軍令部から猛反対を受けます。
当時、連合艦隊司令長官であり、「日本海軍のトップ」であったと誤解されがちな山本長官。
実は、海軍の権限は山本長官の手には、ほとんどありませんでした。
職名 | 氏名 | 権限 | |
軍令部総長 | 永野修身 | 軍令・作戦 | |
海軍大臣 | 及川古志郎 | 人事・兵站・管理 | |
連合艦隊司令長官 | 山本五十六 | 前線の作戦指揮 |
実際には、山本長官は「前線の海戦指揮」ほどの権限しか持っていませんでした。
連合艦隊への作戦指導権を握る、永野修身軍令部総長。





それは無理だろう。
危険すぎる!
とにかく、軍令部が賛成してくれなければ、「作戦実行は不可能」な状況です。
実施部隊を率いる予定の第一航空艦隊司令長官 南雲忠一もまた反対していました。





そんなこと
できるわけないだろう!
そもそも、米太平洋艦隊の総本部のハワイへ、近づくことすら容易ではないのです。
その米太平洋艦隊の総本部:ハワイへ
悟られないように大部隊で近づいて、
奇襲攻撃をしろ!
ということは、



無理だ!
と考えるのが自然だったのです。
猛反対する海軍将官たち


南雲機動部隊の「航空部隊の事実上の指揮官」である第一航空艦隊参謀長 草鹿龍之介。
草鹿参謀長もまた、猛反発します。



そんな無茶なこと、
出来るわけないだろう!



山本長官は、
一体何を考えているんだ!


軍令部の事実上の最高意思決定者である、伊藤整一次長も反対です。



こんな投機的
作戦は、認められない!



日本の大事な空母を
一気に投入するなんて!
そして、軍令部が揃って反対の意を唱えます。
山本長官は博打が好きだから、
こんな投機的なことを考えるのだ。
日本海軍の虎の子の空母を全部ハワイに行かせて、
やられてしまったらどうするんだ?
軍令部は、どうあっても賛成しません。
山本長官は「軍令部にハワイ奇襲攻撃を認可してもらう」ために、必死に考えます。