前回は「英国ともっと有効深めよう」の話でした。
80年前の1941年12月8日に、日本は米国に対して真珠湾奇襲攻撃を行い、宣戦布告しました。
この奇襲攻撃は「宣戦布告後」ではなく「宣戦布告前」となったため、米国及び米国民を心底怒らせてしまいます。
2001年9月11日の米国同時多発テロの際、米国では「これは新たなパールハーバーだ!」という声もありました。
ウサマビンラディン率いる過激派テロ組織アルカイダによって行われた、卑劣な事件でした。
真珠湾奇襲攻撃は、この同時多発テロと大きく異なります。
アルカイダは「米国・米国民にダメージを与えること」が目的でした。
しかし。「米国と戦争をする」ことを目的とした攻撃ではなかったことです。

翌年の2002年、ブッシュ米大統領は北朝鮮、イラン、イラクに対して「悪の枢軸=Axis of Evil」と呼びます。
Axis=枢軸国は、第二次世界大戦の時は日本、ドイツ、イタリアの3国であったのです。
つまり、「Axis=枢軸国」は悪であるという通念が米国・英国などの欧米社会にはあることは銘記しておくべきと思います。
その「悪=Axis」の一部に我が日本は、少なくとも一時はなっていたのです。

日本の真珠湾奇襲攻撃によって、ヨーロッパでの第二次世界大戦、アジアでの日中戦争などがさらに拡大します。
そして、太平洋戦争へと突入しました。
今後、日本は将来にわたってずっと「卑怯者ジャップ」と呼ばれ続けるかもしれません。
米国に対して同様なことを行う国が出てこない限り。

今回は、その「宣戦布告後」となった奇襲攻撃に関する話です。
まずは、日本側のスタンスです。
米国との緊張が一気に高まった最大の要因は前年の1940年に締結された日独伊三国軍事同盟です。
明治維新を経て、急速に近代化した日本は陸軍の模範をドイツに、海軍の模範を英国に求めます。
そのため、陸軍は伝統的に新ドイツであり、1940年当時ヨーロッパを席巻していたドイツとの同盟を強く推進します。

対して海軍はドイツとの同盟に徹底的に反対します。
その大きな理由は「米国を敵に回すことになり、米国と戦争しても勝てないから」でした。
当時は海軍省次官であり、後に連合艦隊司令長官となる山本五十六は「絶対、断固反対」でした。

山本は、常々言っていました。

米国のテキサスの油田、
デトロイトの自動車工場を見てこい。



米国に勝てるはずがないと分かるから!
しかし、山本が海軍省から連合艦隊司令長官へ異動となった後、陸軍に押しきられた海軍は日独伊三国軍事に同意します。
そして、日独伊三国軍事同盟締結となります。
「山本を避難させるために連合艦隊司令長官に任命した」という説もあります。
つまり、「三国同盟締結に断固反対している人物から、山本五十六が暗殺されるのを防ぐため」です。


その間、ドイツは強力な陸軍と空軍で、ヨーロッパを席巻しました。
ヨーロッパ全土がドイツ(および同盟国=枢軸国)になったかのような状況となっていました。
英国はチャーチルが徹底抗戦を叫び、断固交戦しますが押され気味となります。



ヒトラー率いるドイツを
なんとかしてくれ!
そして日本は南部仏印へ進駐し、さらに米国との緊張関係が高まります。


こうした中、正常な頭脳と神経を持った人間ならば「勝てるはずのない相手」と考えるはずの米国。
その「米国との戦争」が現実味を帯びてきます。