太平洋の未来 2〜中国と台湾・台湾の外交関係・アジアにおける中国・足利義満〜|世界戦略

前回は「太平洋の未来 1〜日中・日韓と英日〜」の話でした。

左上から時計回りにXi Jinping(習近平)中国家主席、Yoon Suk Yeol韓国大統領、岸田首相、Tsai Ing-wen(蔡英文) 台湾総統(Wikipedia)
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減少続ける台湾の外交関係

台湾が公式な外交関係を持つ国が、また一つ減少しました。

中米ホンジュラスは、中国と国交を樹立し、台湾との外交関係を断ちました。

ホンジュラスと台湾は長年にわたる外交関係があったため、台湾にとっては大きな打撃です。

ずっと主張してきている、台湾は「中国の不可分の領土の一部」であることを力で実現しようとする中国。

対して、台湾は極めて大きな危機感を持っています。

ここ3年ほどの間に、米国など西側との協力関係構築を大きく推進している台湾。

公式な外交関係を持つ国が14から13へ減少した台湾にとっては、「一か国の減少」にとどまらない影響があります。

台湾と公式な外交関係を持つ国(外務省)

欧州:バチカン(1か国)

中南米・カリブ:グアテマラ、パラグアイ、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント

        セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア(7か国)

大洋州:ツバル、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国、ナウル共和国(4か国)

アフリカ:エスワティニ(1か国)

欧州では台湾と「正式な外交関係を持つ国」は、バチカンのみです。

台湾と外交関係のない欧州・米国

左上から時計回りにRishi Sunak英首相、Giorgia Meloni伊首相、Emmanuel Macron仏大統領、Scholz独首相(Wikipedia)

英独仏伊の強国をはじめとする欧州は、基本的に「台湾と正式な外交関係がない」状況です。

清国 (Qing Dynasty):1820年頃 Wikipedia)

1820年頃に、最大版図を迎えた「過去の中国」とも言える清国。

世界史の中では「過去の中国」と考えられますが、支配する民族が異なる点が、大きなポイントです。

この頃の清国では、台湾は「領土の一部」です。

そして、朝鮮半島など周辺の国々が「冊封体制」に入っており、「従属国」となっています。

この頃に、清国と大英帝国の間で、アヘン戦争・アロー戦争などが勃発しました。

アジアにおける中国の立場

アジアにおいて、強大な力を持ち続けた中国。

日本もまた、中国の影響を強く受け続けてきた国であります。

いわば「アジアの文化の中心」であった中国は、「中華思想」によってアジアに君臨し続けてきたのでした。

日本にとっては、中国は少なくとも兄貴分であり、「場合によっては師匠格でもあった」と言えます。

室町幕府第三代将軍:足利義満(Wikipedia)

室町幕府で、かなり強力な力を持っていた第三代将軍:足利義満。

アジア最大の国である
中国と貿易をしたい。

と考えました。

当時の中国は明国でした。

日本が
我が明国の冊封を受ける(従属する)ならば良い。

という条件を突きつけられた、足利義満。

困った・・・

私は太政大臣で、
日本の天皇の臣下。

日本の天皇の臣下でありながら、「明国の臣下」にはなれません。

・・・・・

悩んだ義満は思い切った行動に出ます。

太政大臣を
辞任しよう。

ならば、
フリーの身分となる。

国内で非常に名誉であり、強権の源である太政大臣を辞任したのでした。

これで、
良いでしょうか?

明国に尋ねる将軍・足利義満。

それならば、
良いだろう。

日本は明国の「冊封を受けて」勘合貿易を開始したのでした。

そして、明国から清国となった中国。

日本との間で戦争となり、日清戦争が勃発、日本は快勝しました。

その際に、「台湾を清国から割譲して」日本が台湾を50年ほど支配したのでした。

大日本帝国の最盛期・敗戦時の領土(第二次世界大戦全史 洋泉社MOOK)

国境が度々変わった欧州に比べると、国境の変化が少ないように感じられる「太平洋の海がある」アジア。

実際には、歴史的に「国境の変化」が頻繁だったのが、アジア・太平洋の地域です。

この歴史に対して、中国が主権国家として見せ続けている姿勢。

日本および欧米諸国は、台湾の国家としての立場を本気で再考する時期に来ています。

新地球紀行

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