前回は「日本らしい「曖昧で正反対」の盟約書〜岩倉使節団と留守政府の誓い・明治新政府の大幹部四名中三名が「欧米使節団」に出陣・「岩倉使節団」の基本アイデアを生んだ超優等生大隈重信〜」の話でした。
天皇から武家に移行した統治権力:維新の四傑

1868年に行われた明治維新は、日本の歴史における「大革命」でした。
それまでにも、日本の歴史においては大きな変革がありました。
国境が度々変わり、革命時には多くの血が流れた欧米の歴史と比較すると、「穏やか」だった明治維新。


明治維新は、
「無血革命」と言って良いですな・・・
作家・司馬遼太郎は、明治維新を「無血革命」と表現しています。


実際には多数の血が流れて、多数の死者が出た明治維新は、筆者は「無血革命」とは考えません。
1868年に成立した明治維新ですが、多数の血が流れ、靖国神社成立に至ります。
戊辰戦争から靖国神社に繋がる話を、上記リンクでご紹介しています。



徳川幕府を
潰して、新たな世を!



我らが、
新しい国家を作るのだ!
西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允を「明治維新の三傑」と呼びます。
筆者は、これに岩倉具視を加えて「明治維新の四傑」とするのが本質的と考えます。
・薩摩:西郷隆盛・大久保利通
・長州:木戸孝允
・公家:岩倉具視



新たな時代に相応しい
体制を作らねばな・・・
時代 | 統治者 | 統治・権力の主体 |
〜平安時代 | 朝廷 | 天皇 |
鎌倉時代 | 鎌倉幕府・執権 | 武士 |
室町時代 | 足利幕府・将軍 | 武士 |
(戦国時代) | 織田信長・豊臣秀吉 | 戦国大名(武家) |
江戸時代 | 徳川幕府・将軍 | 武士 |
日本の歴史は、概ね上の表のとおり「天皇から武家」に統治権力の主体が移行しました。
新しく「古い時代に戻った」明治維新:王政復古と天皇親政


鎌倉時代から室町時代へ、そして戦国時代の混乱期を経て、江戸徳川時代となりました。


そして、江戸時代が始まり、少しずつ外国との折衝に制限をかけた徳川幕府。



我が国は
鎖国を国是とする!



そして、外国との窓口は
公式には長崎とする!
「鎖国」によって、無理やり「外国との窓口」を閉じた徳川幕府。
1.長崎・出島:徳川幕府の公式窓口(オランダ・中国)
2.対馬・宗氏:徳川幕府が公認・間接的関与(朝鮮)
3.蝦夷・松前氏:徳川幕府が半公認・間接的関与(蝦夷及びアイヌ)
4.薩摩・島津氏:徳川幕府は非公認・事実上黙認(琉球・中国・東南アジア)
実際には、長崎以外に、上の「対馬・蝦夷・琉球」などが窓口として残存しました。
とは言っても、現代とは全然違う時代で、「外国との折衝が禁止」の時代でした。
この間、統治権力の主体は武士であり続け、民衆からすれば、



今の最高権力者は、
大樹様・徳川将軍だな・・・



誰であろうと、
とにかく武家だな・・・



鎌倉幕府以来、
ずっと武家が権力者だな・・・
一般民衆にとっては、最高権力者が徳川であろうと、足利であろうと、大して関係ない状況でした。



新たな国家を作るには、
藩をなくして、新体制へ!



徳川の時代、武家の
時代を終わらせよう!



そうだな、12世紀から
続く「武家の時代」は終わり!
明治新政府の大幹部たちは、「武家の時代」にピリオドを打つことにしました。





ならば、
天皇陛下主体の時代にするか!



そして、我らが天皇を輔弼(補佐)して
政治を進めてゆけば良い!



うむ・・・
新たな時代として、それが良いな!



うむ・・・
そもそも我が国は「天皇中心の国家」だからな!
「武家の時代」が続き、「統治権力者の武家が入れ替わっただけ」だった日本の歴史。
そこに、一気に「天皇親政の時代」を決定づけた明治新政府の大幹部たち。
明治維新は、文字通り「新たな時代」をつくる変革でした。
そこに、王政復古という「古きに戻る」変革を「普通に断行」したのが明治新政府でした。
つまり、新しく「古い時代に戻った」のが明治維新でした。
この強引であり、日本らしい曖昧さを持っていた「明治維新+王政復古」の新政府。


そして、岩倉使節団の使命や「対内統治体制の約束」もまた、全てが曖昧でした。